手を繋ごう
ぎこちなく過ぎていく時間。
一緒に歩くことなんて何度もあったはずなのに、二人の関係が変わってしまってから意識してしまって歩く歩幅さえもどかしくなる。
「ルヴァさまが好きです。」
「私もあなたが好きですよ。」
通じ合った想い。
守護聖と女王候補というだけでなく恋人と呼べる存在となった。
望んでいたことなのに、幸せな気持ちのはずなのに・・・。
視線を外すと、フッと苦く響く彼の苦笑。
少しだけあいた二人の距離。
無意識に彼との間を開けてしまう。
鼓動さえ聞こえてしまいそうで・・・。
「・・・リーク、アンジェリーク?」
不意に呼ばれた声に顔を上げる。
不思議そうに見つめる瞳。
先程から何度も名前を呼ばれていたらしい。
気付かぬ私の肩にそっと置かれた手。
ピクリと体が跳ねる。
ぎゅっと体に力が入る。
その仕草に驚いた表情で、彼はあわてて手のひらを外す。
また、唇から漏れる苦い微笑みに、心がぎゅっと絞られる。
嫌なわけじゃない。
ただ・・・。
「大丈夫、何もしません。そんなに意識しないでください。いつも通りのあなたでいいんですよ。ただ、あなたと散歩したいだけなんですから・・・。」
「はい・・・。」
と言われても、意識し始めてしまったものはどうしようもなくて・・・。
一生懸命話しかけてくれる彼の言葉も耳に残らない。
響くのはただ、自分の鼓動だけ・・・。
「・・・私が怖いですか?」
唐突に発せられた言葉。
思い切り首を振る。
「隣を歩くのは嫌ですか?」
さっきより一生懸命、首を横に振る。
他の誰にも譲りたくないこの場所。
「じゃあ、慣れることから始めましょうか」
しばらく思案して、差し出された右手。
包むような微笑、大きな手のひら。
交互に瞳を走らせる。
差し出された手、とてもうれしいはずなのに、指先が伸びない。
熱くなる頬が朱に染まるのを感じつつ、その場に立ちすくむ。
どうしよう・・・。
手のひらからドキドキが伝わってしまう・・・。
ぎゅっ
握り締められた左手。
立ちすくむ私の手をゆっくりと引く優しい力。
そして、冷たい指先。
驚いて視線を上げると、はにかむような笑顔。
彼の頬も少し染まっている。
「・・・その・・・私も緊張しているのですよ・・・行きましょうか?あなたに見せたい所がたくさんあるんです。」
自分だけでない戸惑い。
手のひらに感じる彼の想い。
同じ想いを分かち合いたくて、手のひらにぎゅっと力を込めた。

『pinebase』のmasanorikoさまにいただきました。
15000カウントのキリ番をGETして、
「初々しいルヴァアンを」のリクエストに
こんなに素敵なおはなしを書いていただけました。
(しかも「face」との2個セットで!)
これもまた、緊張しまくりのアンジェが可愛い〜!
このぎこちなさはもしや初デート?
まさに初々しいお話で、感激です。
masanorikoさま、ありがとうございました!
