face


―トン
不意にほほに触れる金色の綿毛。
ふわりと鼻孔に広がる甘い香り。
少しだけ重くなった肩先、そして聞こえてくる規則正しい息遣い。
姿勢を変えないようにしながら、彼女の顔を覗き込む。
安らかな寝顔。
そっと体を引いて、起こさないように彼女の体を横たえた。
膝のあたりに感じる心地よい重さ。
ゆっくりとした動作で上着を脱ぐと彼女にかける。
額にかかる髪をそっと払う。

想いを伝えあって、2週間余り。
照れくささのためか、意識しすぎるのか、二人の時間はぎこちなく過ぎていた。
彼女にどう向き合えばいいのか、この気持ちをどう伝えればいいのか、それさえもわからなくて・・・。


包まれるような温かさに目覚める。
目の前に広がる風景に自分が横たわっていることに気付く。
顔の前にある手のひらは見覚えのある色の布地をぎゅっと握り締めていた。
ひざまくら・・・。
いつの間にか彼の膝の上で眠っていたらしい。
恥ずかしさに身じろぎもできなくなる。

昨夜、何を話そう、何を着ていこうかと迷い、過ぎていった時間を思い出す。
彼と会う前夜はいつもドキドキが募って眠れない。
彼への気持ちを意識してしまうと、何を話せばいいのかそれさえもわからなくなってしまう。
気まずい時間が流れてしまったらどうしよう。
変な子だと思われたら・・・そう思うと視線さえも合わせられなくて・・・。


膝の上、固くなり動かなくなった気配に彼女が目覚めたことを知る。
手にしていた本を隣に置くと彼女に視線を落とした。
首まで真っ赤に染め、身じろぎもしない肩にそっと手を置く。
ピクリ とますます固くなる彼女の体。
唇から漏れる苦笑、手のひらに力を込め、くるりと彼女の姿勢を変える。
ぶつかる視線。
恥ずかしそうに顔を覆う手のひらを両方の手で捕らえる。

「すみません・・・眠ってしまって・・・。」

慌てて起き上がり、下を向いてしまう彼女の仕草さえも愛しいと感じる。

「・・・疲れていたんですね。気にしないでください。」

彼女の表情を見ていたい。
もっと、ずっと・・・。
そして見つけたい自分だけが知ることのできる彼女自身を。

「寝顔もかわいかったですが、恥ずかしがる顔もかわいいですね・・・。」

少しだけ距離を取って隣に座った彼女の手を握り締めると軽く引く。
腕の中に倒れこむように入ってきた小さな体を、力いっぱい抱きしめる。

「色んな顔を見せてください。色んなあなたを知りたい、そう思っています。そして・・・。」

いろいろな顔の自分も知って欲しい。
彼女だけに見せるだろうその想いも全て受け止めて欲しい。

そっと背中に回された細い腕。
小さく頷くその額にそっと唇を寄せた。


二人の恋はまだはじまったばかり。




pinebase』のmasanorikoさまにいただきました。

15000カウントのキリ番をGETして、
「初々しいルヴァアンを」のリクエストに
こんなに素敵なおはなしを書いていただけました。
(しかも「手を繋ごう」との2個セットで!)

緊張しまくりのアンジェが可愛い〜!
ルヴァさまも何気に独占欲強いし…。
ツボです〜。

masanorikoさま、ありがとうございました!