夜 空



お誕生日おめでとう


星空に向かい、そう呟く。
きっとあの人もこの夜空をながめていると思うから・・・。

「お祝いに行かないのですか?」

業を煮やしたようすでロザリアが聞いた。
夜も更けてしまった私室。
私とロザリアと二人きり。
食事も入浴も済ませ、あとは就寝するのみとなっていた。
彼女の言葉に首を横に振る。

「お祝いは昼間言ったから・・・」

今日は地の守護聖ルヴァの誕生日。
昼間、謁見の間にて祝いの品と祝いの言葉を授けた。
皆の見守る中、絡まりそうになる視線をお互い意識した数分間の謁見。

「そうではなくて・・・」

彼女の言いたい事はわかっていた。
特別な感情を持った二人。
しかし、女王と守護聖と言う立場になった今、個人的な付き合いなど、
できるはずがなかった。
お互いに忠実に職務を全うする毎日。

「誰の誕生日の時にも、私邸を訪問したりはしていませんから」

彼だけ特別扱いをするわけにはいかなかった。
私は宇宙を統べる女王なのだから・・・。

「でも・・・」

不服そうなロザリアに微笑んで、帰宅を勧める。

「今日の執務は終わったでしょう?ありがとう、早く帰らないと
ゼフェルが待ちくたびれてしまいますよ」

彼女の夫の名前を告げると、少しだけ彼女の表情が和らいだ。
自分だけが幸せになったことが、彼女にとっては負い目になっているのだと力説する。
本当にいいのかと何度も言い置いて、彼女は帰宅の準備をした。
私は決して不幸ではない。
人を好きになると言う気持ちはこんなに温かだから・・・。

「おやすみなさい。いい夢を」

そう言って親友を見送ると部屋の明りを落とした。
暗闇の中、月明かりを頼りにバルコニーへと足を進める。
いつにも増して美しい星空。
この星空を彼も見ているだろうか?
こんな切ない想いを胸に・・・。

「お誕生日おめでとうございます」

もう一度、星空に囁く。
二人きりの時間なんてなくてもいい。
少しでも彼が長くこの地にいてくれるなら。
同じ時間の流れの中、生きていくことができるのならば・・・。
こうして同じ夜空を眺めることができるのならば・・・。




masanorikoさまのサイト『pinebase』さまのルヴァさまお誕生日企画で
フリー配布されていた創作を誘拐してきました♪

masanorikoさまの切ない系のお話も大好きです。
「お互いに好きなのに〜〜っ(>_<)」ともどかしく思っちゃうんですが
『それでも幸せ』と思えるこのアンジェって
健気で応援したくなります。

こんなに素敵なお話をフリーで下さったmasanorikoさまに
感謝感謝です。