私のボランティアの思い出 その1
私が現在行っている、音楽を通したボランティア活動をやるにあたり、「音楽とは、ボランティアとは?」を、改めて問う経験となった、あるエピソードを書きます。、実は今から述べる事は、以前、お知り合いに成ったごく少数の方にはメールを差し上げてご存知の方もおり、重複するかもしれませんが、私にとっては音楽ボラを現在行っている上で、少なくとも、重要なターニングポイントになったエピソードなので、改めて記してみます。
事の始めは、音楽ボランティア活動や、そもそもボランティアそのものの意義を、一人手探りで模索していた時期に遡ります。地元の社会福祉センター内の心身障害者ディケア施設・Mに初めて挨拶に訪ねた時のことです。ここは主に養護学校等を卒業した、18歳以上の重度の知的障害の方々の授産施設ですが、ここで電子ピアノを試し弾きさせて頂い時の事です・・・・・。
接触不良のコード(これについては、後述します・・・)を気になりながら、サラっと軽く弾いたのですが、それまで、人見知りして遠慮気味に上目つかいに遠巻きに眺めていた通所生の方が、ピアノの音が鳴ったとたん、こちらが驚く程の鋭い反応で、目をギラギラさせて凝視し始めました。少し言葉にしがたいですが、音楽に餓えているかの様に見えました。
あまりの事に訝って聞くと、音楽は皆、好きなのだけど、他の作業がおろそかになるので、30人ほどを4グループに分け、週1回だけ、時間をきめて短時間だけさわらせ、集団では週1回ピアノの教師をしている地元のボランティアさんがお昼の前後2時間ほど教えており、後はフタをしたままだそうです。さらに、通所生が勝手に弾くと終始がつかなくなるので、電源コードを抜き管理している・・・と聞きました。聞いた時、正直、何とも複雑な心境でした。
音を出すという事に特別、何ら疑問も持たず、自由に好き勝手に弾いていた私には大げさかもしれませんが、一体人間にとって音楽って何だ?と脳裏をよぎりました。そして、この施設では、それでも弾きたいという通所生には(実際は知的障害者の方なので演奏というより鳴らすというニュアンスが近いそうですが・・・でも、音を楽しむ事には違いありませんね・・・)、その電源コードを持たせてあげてました。
私は、コードを持っている子の行動が最初理解できなくて、「あれは何ですか?」と聞いて分かった事です・・・。 ヘルパーさんも申し訳なさそうに「あの子はピアノの音が好きで好きでしょうがないので・・・・」と、かわいそうなんだけども、けじめがつかないので持たせてあげる事で彼の音楽欲を満足させている事を教えてくれました。
私は正直、声を無くしました。当時者、関係者でしか計りしれない事情があるとはいえ、これが福祉の現場の現実なのかと思いました。(私の勝手な意見でスミマセン)先で述べた接触不良のコードの訳は、その子があまりにも愛着があって束ねて持ちあるいている為、コードの一部が断線しており、その為の接触不良状態でした。予算が出ないのか?必要としないのか?だまし、だまし使っているそうです。ですから・・・・音を出したくても出せない時があるそうです。・・・・・・・施設には失礼ですが、こんな不条理があって良いのか?と、思いながら施設を後にしたものです。
数日後、テスターと半田ごてを持参して再び来訪し、修理が終わった時、多分実年齢は23歳であろうが、どうみても16歳ぐらいにしか見えない天真爛漫な女性から「ありがと、ありがと、ありがとう」と何回も言われました。 私は、その瞬間、思わずウっと胸がつかえてしまいました。・・・・・いいしれぬ深い感情でした。 車のハンドルを握って帰途に着く際、最初の信号が霞んでしまい、どうし様もない状態でした。そして、彼女の発した一言を反芻しながら、個々の事情を知らずに憶測で、表面的な事象だけを捉え、判断していた自分がとても恥ずかしくなりました。 大事なのは、簡単に批判したり、あらを挙げつらったりする事ではなく、では、自分は何をするのか?だと思いました。 そして、また、してやるとか、されるとかの次元の思考を超え、少し面映ゆくて恥ずかしいですが、まさに「愛」を感じました。陳腐な表現ですが、偽らざる気持ちだったと思います。いわば、高慢な与える気持ちでボランティアをしに行って、私が逆に彼ら、彼女らから、代償を問わない慈悲の愛と、行動する事の意味を教えられました。まったく、お恥ずかしいかぎりでした・・・。
他人から見たら大した事ではないでしょうが、私の音楽ボランティアの原点だと思ってます。よく動機で、弾いてあげて喜ばれたから・・・とか、色々ありますが、私にとっては、誰でも平等に音楽を聴け、演奏し、音楽を通して自己表現し、ジャンルに関係なく、好きな曲に自分の想いが投影できるものが音楽だと、現在は思ってます・・
・。そして、その素晴らしい音楽を、個々の諸事情で外で親しむ事の難しい方々に、私のできる範囲で、ほんの少しでもお役に立てればと、思う様になりました。
私自身、音楽に対して技術的にも、人間的にもまだまだ未熟なので、他人にとやかく言える立場ではありませんが、ぜひ、興味のある方がおられれば、ジャンルを問わずにボランティアを経験する事をお薦めします。そして、
このHPが、少しでも活動のキッカケになれば、嬉しく思います。