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対酒当歌 人生幾何 酒に対しては当に歌ふべし。人生は幾何ぞ。
譬如朝露 去日苦多 譬へば朝露の如し。去日苦だ多し。
概当以慷 幽思忘難 概して当に慷すべし。幽思忘れ難し。
何以解憂 惟有杜康 何を以って憂を解かん。惟杜康有るのみ。
(曹操『短歌行』より)
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両人対酌山花開 両人対酌 山花開く
一盃一盃復一盃 一盃一盃 復た一盃。
我醉欲眠卿且去 我醉ふて眠らんと欲す卿且く去れ
明朝有意抱琴来 明朝意有らば琴を抱いて来れ。
(李白『山中幽人対酌』)
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葡萄美酒夜光杯 葡萄の美酒 夜光の杯
欲飲琵琶馬上催 飲まんと欲すれば 琵琶 馬上に催す。
醉沙臥場君莫笑 醉うて沙場に臥すとも君笑う莫かれ。
古来征戦幾人回 古来 征戦 幾人か回る。
(王瀚『涼州詩』)
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勧君金屈巵 君に勧む 金屈巵
満酌不須辞 満酌 辞するを須いず
花開風多雨 花開けば風雨多く
人生足別離 人生 別離足る
(宇武陵『勧酒』)
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コノサカヅキヲウケテクレ
ドウゾナミナミツガセテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガジンセイダ。
(井伏鱒二『厄除詩集』より)
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人生無根蔕 人生 根蔕なく
瓢如陌上塵 瓢として陌上の塵の如し
分散随風転 分散し風に随いて転ず
此已常身非 此れ已に常身に非ず
落地成兄弟 地に落ちては兄弟と成る
何必骨肉親 何ぞ必ずしも骨肉の親のみならんや
得歓当作楽 歓を得なば当に楽しみを作すべく
斗酒聚比隣 斗酒もて比隣を聚めん
盛年不重来 盛年 重ねては来たらず
一日難再晨 一日 再び晨なり難し
及時当勉励 時に及んで当に勉励すべし
歳月不待人 歳月 人を待たず
(陶淵明『雑詩十二首』其一)
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独酌復独酌 独酌 復独酌
満盞流霞色 満盞 流霞の色
身外皆虚名 身外 皆虚名
酒中有全徳 酒中 全徳有り
風清与月朗 風清と月朗
対此情何極 此に対す 情何ぞ極まらん
(権徳輿『独酌』)
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天若不愛酒 天若し酒を愛せずんば
酒星不在天 酒星天に在らず。
地若不愛酒 地若し酒を愛せずんば
地應無酒泉 地に應に酒泉無かるべし。
天地既愛酒 天地既に酒を愛す
愛酒不愧天 酒を愛するは天に愧ぢず。
已聞清比聖 已に聞く清を聖に比し
復道濁如賢 復た道ふ濁は賢の如しと。
賢聖既已飲 賢聖既に已に飲む
何必求神仙 何ぞ必ずしも神仙を求めん。
三盃通大道 三盃 大道に通じ
一斗合自然 一斗 自然に合す。
但得酒中趣 但だ酒中の趣を得んのみ
勿為醒者伝 醒者の為に伝ふる勿れ。
(李白『月下独酌』其二)
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居止次城邑 居は城邑に次るを止め
逍遥自閑止 逍遥として自ら閑止す。
坐止高蔭下 坐は高蔭の下に止め
歩止篳門裏 歩は篳門の裏に止む。
好味止園葵 好味は園葵に止め
大歡止稚子 大歡は稚子に止む。
平生不止酒 平生 酒を止めず
止酒情無喜 酒を止むれば情 喜ぶ無し。
暮止不安寝 暮に止むれば寝を安んぜ不。
晨止不能起 晨に止むれば起くる能は不。
日日欲止之 日日 之を止めんと欲するも
営衛止不理 営衛 止むれば理まら不。
徒知止不楽 徒だ知る止むるの楽しから不るを
未信止利己 未だ信ぜず止むるの己の利するを。
始覺止爲善 始めて覺る止むるの善と爲すを
今朝眞止矣 今朝眞に止めたり。
此從一止去 此從一たび止め去りて
將止扶桑涘 將に扶桑の涘に止まらんとす。
淸顏宿止容 淸顏宿容を止む
奚止千蔓祀 奚ぞ止に千蔓祀のみならんや。
(陶淵明『止酒』)
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花間一壺酒 花間 一壺の酒
獨酌無相親 獨酌相親む無し。
擧盃邀明月 盃を擧げて明月を邀へ
對影成三人 影に對して三人と成る。
月既不解飮 月は既に飮を解せ不
影徒隨我身 影は徒らに我身に隨ふ。
暫伴月將影 暫く月將影とを伴ひ
行樂須及春 行樂須らく春に及ぶべし。
我歌月徘徊 我歌へば月は徘徊
我舞影凌亂 我舞へば影は凌亂。
醒時同交歡 醒時じく同交歡し
醉後各分散 醉後各々分散す。
永結無情遊 永く無情の遊を結び
相期雲漢 相期す雲漢 かなり。
(李白『月下独酌』其一)
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朝亦獨醉歌 朝も亦獨り醉うて歌ひ
暮亦獨醉睡 暮も亦獨り醉うて睡る。
未盡一壺酒 未だ一壺の酒を盡さず
已成三獨醉 已に三獨醉を成す。
勿嫌飮太少 飮の太だ少きを嫌ふ勿らん
且喜歡易致 且く喜ぶ歡の致し易きを。
一盃復兩盃 一盃復た兩盃
多不過三四 多くも三四を過ぎず。
便得心中適 便ち心中の適を得て
盡忘身外事 盡く身外の事を忘る。
更復強一盃 更に復た一盃を強ふれば
陶然遺萬累 陶然として萬累を遺る。
一飮一石者 一飮一石者は
徒以多爲貴 徒だ多きを以て貴しと爲す。
及其酩酊時 其の酩酊の時に及んでは
與我亦無異 我與亦た異る無し。
笑謝多飮者 笑うて謝す多飮者は
酒錢徒自費 酒錢徒だ自ら費す。
(白楽天『效陶潜體詩』其三)
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二年洞庭秋 香霧長噴手 二年洞庭の秋、香霧、長しへに手を噴く。
今年洞庭春 玉色疑非酒 今年洞庭の春、玉色酒に非ざるを疑ふ。
賢王文字飮 醉筆蛟蛇走 賢王文字の飮、醉筆、蛟蛇走る。
既醉念君醒 遠餉爲我壽 既に醉うて、君の醒めたるを念い、遠く餉つて、我が壽を爲す。
瓶開香浮座 盞凸光照窓 瓶開けば香座に浮かび、盞凸にして光窓を照らす。
方傾安仁醴 莫遣公遠嗅 方に安仁の醴を傾け、後遠をして嗅がしむる莫れ。
要當立名字 未用問升斗 要するに、當に名字を立つべし、未だ升斗を問ふを用ひず。
應呼釣詩鈎 亦號掃愁帚 應に呼ぶべし釣詩鈎、亦た號す掃愁帚。
君知葡萄惡 正是 母黝 君知る、葡萄の惡しきを、正に是れ 母の黝。
須君 海杯 澆我談天口 須らく、君が 海の杯、我が談天の口に澆ぐべし。
(蘇東坡『洞庭春色』)
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道喪士失己 出語輒不情 道、喪うて、士、己を失ふ。語を出す、輒ち情ならず。
江左風流人 醉中亦求名 江左風流の人、醉中亦た名を求む。
淵明獨淸眞 談笑得此生 淵明、獨り淸眞、談笑、この生を得たり。
身如受風竹 掩冉衆葉驚 身は風を受くるの竹の如く、掩冉として衆葉驚く。
俯仰各有態 得酒詩自成 俯仰、各々態あり、酒を得て、詩、自ら成る。
(蘇東坡『和陶飮酒二十首』其三)
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眞珠爲漿玉爲醴 眞珠を漿と爲し玉を醴と爲し、
六月田夫汗流泚 六月田夫汗流泚たり。
不如春甕自生香 如かず春甕自ずから香を生ずるに、
蜂爲耕耘花作米 蜂を耕耘と爲し花を米と作す。
一日小沸魚吐沫 一日小沸して魚沫を吐き、
二日眩轉淸光活 二日眩轉して淸光活す、
三日開甕香滿城 三日甕を開けば香城に滿つ。
快瀉銀瓶不須撥 銀瓶に快瀉して撥するを須たず、
百錢一斗濃無聲 百錢一斗濃かに聲無し。
甘露微濁醍醐淸 甘露微濁なるも醍醐淸し、
君不見南園采花蜂似雨 君見ずや南園の采花蜂雨に似たり。
天敎醸酒醉先生 天は酒を醸して先生を醉はしむ、
先生年來窮到骨 先生年來骨窮に到り、
問人乞米何曾得 人を問ひ米を乞ふも何ぞ曾て得ん。
世間萬事眞悠悠 世間萬事眞に悠悠、
蜜蜂大勝監河侯 蜜蜂大いに勝る監河侯。
(蘇東坡『蜜酒歌』)
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撥雪披雲乳得泓 雪を撥し、雲を披いて乳泓を得たり。
蜜蜂又欲醉先生 蜜蜂、又先生を醉はしめむと欲す。
稲垂麥仰陰陽足 稲は垂れ、麥は仰いで、陰陽足れり。
器潔泉新表裏淸 器は潔く、泉新たにして、表裏淸し。
曉日著顔紅有暈 曉日、顔に著いて、紅、暈有り。
春風入髓散無聲 春風、髓入つて、散じて聲無し。
人間眞一東坡老 人間、眞一東坡の老。
與作靑州從事名 與に作す靑州從事の名。
(蘇東坡『眞一酒』)
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渭城朝雨潤軽塵 渭城の朝雨 軽塵を潤し
客舎青青柳色新 客舎 青青として柳色新たなり
勧君更尽一杯酒 君に勧む 更に尽せ一杯の酒
西出陽関無故人 西のかた陽関を出づれば故人無からん
(王維『送元二使安西』)
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杏花飛簾散余春 杏花 簾に飛んで余春を散じ
名月入戸尋幽人 名月 戸に入りて幽人を尋ぬ
搴衣歩月踏花影 衣を搴げ月に歩して花影を踏めば
炯如流水涵青蘋 炯として流水の青蘋を涵すが如し
花間置酒清香発 花間に酒を置けば清香発す
争挽長条落香雪 争でか長条を挽きて香雪を落とさん
山城酒薄不堪飲 山城酒薄くして飲むに堪えず
勧君且吸杯中月 君に勧む 且く吸え 杯中の月を
洞簫声断月明中 洞簫 声は断ゆ 月明の中
惟憂月落酒杯空 惟だ憂う 月落ちて酒杯の空しきを
明朝捲地春風悪 明朝地を捲いて春風悪しくば
但見緑葉棲残紅 但だ見ん 緑葉の残紅を棲ましむるを
(蘇東坡『月夜与客飲杏花下』)
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酒是古明鏡 酒は是古明鏡
輾開小人心 小人の心を輾開す。
酔見異擧止 酔へば擧止を異にするを見
酔聞異擧音 酔へば擧音を異にするを聞く。
酒功如此多 酒功は此の如く多く
酒屈亦以深 酒屈も亦た以て深し。
罪人免罪酒 人を罪して酒を罪する免れ
如此可爲箴 此の如く箴と爲す可し。
(孟郊『酒徳』)
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靑天有月來幾時 靑天 月有って來幾時ぞ
我今停盃一問之 我今 盃を停めて一たび之を問ふ。
人攀明月不可得 人 明月を攀づるは得可から不
月行却與人相随 月行却て人與相随ふ。
皎如飛鏡臨丹闕 皎として飛鏡の丹闕に臨むが如く
綠烟滅盡淸暉發 綠烟滅し盡して淸暉發す。
但見宵從海上來 但見宵從海上來
寧知曉向雲間沒 寧ぞ知らん曉に雲間に向つて沒するを。
白兔擣藥秋復春 白兔 藥を擣いて秋復た春
嫦蛾孤棲與誰鄰 嫦蛾 孤棲して誰與か鄰す。
今人不見古時月 今人は見不古時の月
今月曾經古照人 今月は曾經古人を照らせり。
古人今人若流水 古人 今人 流水の若し
共看明月皆如此 共に明月を看ること皆如の此し。
唯願當歌對酒時 唯だ願はくは歌に當り酒に對するの時
月光常照金樽裏 月光の常に金樽の裏を照さんことを。
(李白『把酒問月』)
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勸君莫拒盃 君に勸む盃を拒む莫れ
春風笑人來 春風 人に笑つて來る。
桃李如舊識 桃李 舊識の如く
傾花向我開 花を傾け 我に向つて開く。
流鶯碧啼樹 流鶯 碧樹に啼き
明月窺金罍 明月 金罍を窺ふ。
昨來朱顏子 昨來 朱顏の子
今日白髪催 今日 白髪催す。
棘生石虎殿 棘は生ず石虎の殿
鹿走姑蘇臺 鹿は姑蘇の臺を走る。
自古帝王宅 古自帝王の宅と
城闕閉黄埃 城闕とは黄埃に閉さる。
君若不飮酒 君若し酒を飮ま不れば
昔人安在哉 昔人安に在り哉。
(李白『對酒』)
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晝雪落旋消 晝の雪は落ちて旋ち消ゆ
夜雪寒易積 夜の雪は寒くして積り易し
燈淸古屋深 燈淸くして古屋深く
爐凍殘煙碧 爐凍りて殘煙碧し
爲沽一斗酒 爲に一斗の酒を沽い
暫對千里客 暫く千里の客に對す
酒薄意不淺 酒は薄くとも意は淺からず
輕今須重昔 今を輕んじては須からく昔を重んずべし
重昔是年華 昔を重んずるは是れ年華の
飄飄猶過隙 飄飄として猶隙を過ぐるがごとくなればなり
一醉冒風歸 一醉 風を冒して歸る
平明馬無跡 平明 馬 跡無し
(梅堯臣『雪夜留梁推官飮』)
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醉後樂無極 醉後 樂み極まり無く
彌勝未醉時 彌勝る 未だ醉はざる時に。
動容皆是舞 動容 皆是れ舞
出語總成詩 出語 總て詩と成る。
(張説『醉中作』)
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尋芳不覺醉流霞 芳を尋ねて覺え不流霞に醉ふ
倚樹沈眠日已斜 樹に倚り沈眠して日已に斜なり。
客散酒醒深夜後 客散じ酒醒む深夜の後
更持紅燭賞殘花 更に紅燭を持して殘花を賞す。
(李商隱『花下醉』)
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秋菊有佳色 秋菊 佳色有り。
裛露掇其英 露に裛して其の英を掇る。
汎此忘憂物 此の忘憂の物に汎べ
遠我遺世情 我が遺世の情を遠くす。
一觴雖獨進 一觴 獨り進むと雖も
杯盡壺自傾 杯盡きて壺自ら傾く。
日入羣動息 日入りて羣動息み
歸鳥趨林鳴 歸鳥 林に趨きて鳴く。
嘯傲東軒下 東軒の下に嘯傲し
聊復得此生 聊か復た此の生を得たり。
(陶淵明『飮酒』其七)
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置酒高殿上 酒を置く高殿の上
親友從我遊 親友 我に從つて遊ぶ。
中廚辦豐膳 中廚 豐膳を辦じ
烹羊宰肥牛 羊を烹し肥牛を宰す。
奏箏何慷慨 奏箏何ぞ慷慨なる
齊瑟和且柔 齊瑟和にして且つ柔。
陽阿奏奇舞 陽阿 奇舞を奏し
京洛出名謳 京洛 名謳を出だす。
樂飮過三爵 飮を樂みて三爵を過ごし
緩帶傾庶羞 帶を緩めて庶羞を傾く。
主稱千金壽 主は稱す千金の壽
賓奉萬年酬 賓は奉ず萬年の酬。
久要不可忘 久要は忘る可から不
薄終義所尤 薄終は義の尤むる所。
謙謙君子德 謙謙たるは君子の德
磬折欲何求 磬折して何をか求めんと欲す。
驚風飄白日 驚風 白日を飄へし
光景馳西流 光景 馳せて西に流る。
盛時不可再 盛時 再びす可から不
百年忽我遒 百年 忽ち我に遒る。
生存華屋處 生存しては華屋に處り
零落歸山丘 零落しては山丘に歸す。
先民誰不死 先民 誰か死せ不る
知命復何憂 命を知らば復た何をか憂ひん。
(曹植『箜篌引』)
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君不見黄河之水天上來 君見不や黄河之水 天上より來る
奔流到海不復回 奔流して海に到り復回ら不。
君不見高堂明鏡悲白髪 君見不や高堂の明鏡 白髪を悲しむ
朝如靑絲暮成雪 朝には靑絲の如く暮には雪と成る。
人生得意須盡歡 人生 意を得て須らく歡を盡すべし
莫使金樽空對月 金樽をして空しく月に對せしむる莫れ。
天生我材必有用 天 我が材を生ずる必ず用ゐる有り
千金散盡還復來 千金散じ盡して還復來る。
烹羊宰牛且爲樂 羊を烹牛を宰りて且く樂みを爲さん
會須一飮三百杯 會に須らく一飮三百杯なるべし。
岑夫子 丹丘生 岑夫子 丹丘生
進酒君莫停 酒を進む 君停むる莫れ。
與君歌一曲 君が與に一曲を歌はん
請君爲我傾耳聽 請ふ君 我が爲に耳を傾けて聽け。
鐘鼓饌玉不足貴 鐘鼓 饌玉 貴ぶに足ら不
但願長醉不用醒 但だ願はくは長醉して ―醒むるを用ゐ不るを。
古來聖賢皆寂寞 古來聖賢は皆寂寞たり
惟有飮者留其名 惟だ飮者の其の名を留むる有り。
陳王昔時宴平樂 陳王 昔時 平樂に宴し
斗酒十千恣讙謔 斗酒十千 讙謔を恣にす。
主人何爲言少錢 主人何爲ぞ錢少しと言はんや
徑須沽取對君酌 徑に須らく沽取し君に對して酌むべし。
五花馬 千金裘 五花の馬 千金の裘、
呼兒將出換美酒 兒を呼び將出して美酒に換へ
與爾同銷萬古愁 爾與同じく銷さん萬古の愁。
(李白『將進酒』)
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玉壺繫靑絲 玉壺 靑絲に繫け
沽酒來何遲 酒を沽うて來ること何ぞ遲き。
山花向我笑 山花 我に向つて笑ふ
正好銜盃時 正に盃を銜むに好きの時。
晚酌東牕下 晚酌す東牕の下
流鶯復在玆 流鶯復た玆に在り。
春風與醉客 春風與醉客と
今日乃相宜 今日乃ち相宜し。
(李白『待酒不至』)
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滌蕩千古愁 滌蕩す千古の愁
留連百壺飮 留連す百壺の飮。
良宵淸宜談 良宵 淸談に宜しく
皓月未能寢 皓月 未だ寢る能はず。
醉來空臥山 醉ひ來つて空山に臥すれば
天地卽衾枕 天地は卽ち衾枕。
(李白『友人會宿』)
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故人賞我趣 故人 我が趣を賞し
挈壺相與至 壺を挈げて相與に至る。
班荊坐松下 荊を班きて松下に坐し
數斟已復醉 數斟 已に復醉ふ。
父老雜亂言 父老 雜亂して言ひ
觴酌失行次 觴酌 行次を失ふ。
不覺知有我 覺え不 我有るを知るを
安知物爲貴 安んぞ物を貴しと爲すを知らんや。
悠悠迷留所 悠悠 留まる所に迷ふ
酒中有深味 酒中 深味有り。
(陶淵明『飮酒 其十四』)
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三月咸陽城 三月 咸陽城
千花晝如錦 千花は晝 錦の如し。
誰能春獨愁 誰か能く春獨り愁ふ
對此徑須飲 此に對して徑に須らく飲むべし。
窮通與修短 窮通與修短と
造化夙所稟 造化の夙に稟する所。
一樽齊死生 一樽 死生を齊しくす
萬事固難審 萬事固より審かにし難し。
醉後失天地 醉後 天地を失ひ
兀然就孤枕 兀然として孤枕に就く。
不知有吾身 吾身有るを知らず
此樂最爲甚 此の樂み最も甚しと爲す。
(李白『月下独酌』其三より)
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