一行の冒険B 第一話「忘れっぽい彼」

ここは街の中央公園...そこに、一人の男がベンチに座っている
黒い大型の鎧に深い青色の髪、目はギラギラと炎のように赤い
明らかに街の中央公園に、普段いるべきではない人物だった
その人物に誰かが話しかけている
「―――と言うことだ、ただちにガリオン様の元へ...」
声はするものの、姿形はない、言われた男は、ただ黙って空を見ている、聞いているのかいないのか、さっぱり分からない
「あのお方はお前に期待をしていらっしゃる、くれぐれも、期待を裏切らぬことだな...『ベルセルク』...」
それだけ言った後、ベンチの後ろにある木が、風もないのに揺れた
その後は、そのものの気配など無かった
ベルセルク「...ど素人が...」
ベルセルクと呼ばれたその男は、黙ってベンチから立ち上がった
ベルセルク「行くか...」
男はそのまま歩き出した、目の前にある、とある建物へ

副社長「天界まで一緒に来てほしい〜〜〜!?」
会社のロビーに、大きな声が響き渡った
ヨシアイ「兄さん...周りに迷惑がかかるよ」
鋭い弟のツッコミに、副社長は気がつき、頭をかく
副社長「あ....すいません」
ベルセルク「だめか?お前が来てくれると、心強いんだがな...」
副社長の向かいの席に座っている、ベルセルクが言う
副社長「君がそんなことを言うとは...よっぽど大変なところなのですか?」
副社長が驚いた顔で言う、本来ベルセルクという男は、豪快で、自分自身に圧倒的な自信を持っている男なので、こんな事を言うことはまず無い
ベルセルク「いや...実はな...」
ベルセルクは苦い顔をして語り始めた

副社長「天界への道を忘れたぁ〜〜〜〜!?」
またまた大きな声が、ロビーに響く
ヨシアイ「兄さん!」
またしても弟のツッコミを受ける副社長、そして...
ベルセルク「そうだ、あんまりでかい声出すんじゃねぇよ...恥ずいだろ」
ベルセルクはまたしても苦い顔で言った
ベルセルク「今度、神々同士の戦争が行われるから。俺様がその指揮に当たらなくちゃいけねぇんだが...」
副社長「そんなんで大丈夫なのですか?」
副社長はあきれた顔で言った
ベルセルク「それを言うなよ...ま、しかし何だ、無理にとはいわねぇからよ、できたら頼むぜ、俺様は中央公園にいる」
それだけ言って、ベルセルクはスクッと立ち上がり、さっさと行ってしまった
副社長「あ!.....」
止めようと手を出したのだが、その姿はすでに見えず...副社長はロビーで立ちつくした
ヨシアイ「どうするの?兄さん」
副社長「...どうしよう...」

副社長は苦悩していた、友だちの力になってやりたいけど、会社を長く欠席するわけにもいかない
それにもうすぐスマデラ本大会だ、アイテム運送会社は殺人級の忙しさに見舞われる
そんなことをウンウン考えていると...
R・ヨッシー「あ!副社長!実は僕、今日退社したいのですが...」
考え中に突然声をかけられて、副社長は何を言われたのか分からず
副社長「あ...うん...」
とだけ答えて、また考え出した

この後、副社長は社長室に行き、長期休暇を頂きたいのですがと聞いたが、社長のマリオはあっさりOKした
マリオ「しばらくは旅に明け暮れた方が...お前に良いと思う」
というのが、社長の言い分だった

中央公園に、二人の影が現れる、ベルセルクは、ベンチから立って、迎えた
ベルセルク「来てくれると思ったぜ」
副社長「友を失うのは...もうまっぴらですから...」
副社長はうつむいて言った
ベルセルク「...おまけもいるみたいだな」
ヨシアイの方を見ながら、ベルセルクが言った
ヨシアイ「兄さんだけに任せられませんからね、だいたい、方向音痴の兄さんと、ある場所に行こうとする、貴方の考えに心配したという考え方もあるけど」
ヨシアイは肩をすくめる、その時、副社長が気づいた
ベルセルクの隣に、ある男がいたのだ、しかも、その顔には見覚えがあった
副社長「君は...確かロイ君?」
ロイと呼ばれた少年が、軽く会釈をする
ロイ「はい、さっき偶然ベルセルクさんと会って、事情を聞き、協力することにしたんです」
副社長「会社の方は、大丈夫なのですか?」
ロイ「実は...」
少々声のトーンを落として、ロイが話した

ヨシアイ「修行の旅に出ることにしたと...」
ロイ「ええ...スマデラ大会で、マッハピザのガノンドロフさんと当たった時、自分の実力のなさに痛感して...」
ロイは暗い感じの話し方だが、決して、悔しさは感じさせなかった
ベルセルク「...で、会社を出てきたと...」
副社長「自分を強める旅に出るのはいいことだと思いますよ、ロイ君はまだ若いし、素質もあると思います、きっとこれからメキメキ強くなりますよ、自信を持ってください」
副社長は優しく、正直に言った、副社長にここまで言わせるのだから、ロイは確かな素質の持ち主と分かる

ベルセルク「さて...問題の天界への道探しだが...」
副社長「何しろ天界ですからね...手がかりなんてつかめないでしょう?」
副社長があごに手を当てて考え込む
ベルセルク「そうでもないぜ...俺様みたいに、人間界で暮らしている神々を探せば、そいつが知っている確率が高い」

???「その話!ホントッスか!?」
ロイ「わっ!」
急に後ろから声をかけられ、ロイがビックリする、振り返ると、少女が立っていた
ベルセルク「...何だ?お前...」
ベルセルクが訝しげに言った
その少女は、茶色のショートヘアで、目は右が青で、左が緑だった、額には角らしきモノが前髪で見え隠れしている、おそらく10歳前後だろう
???「あたし?あたしはクレア、あなた達、天界にいくんッスよね?おねがい!あたしも連れてって!」
クレアと名乗った少女は、手を顔の前で合わせて懇願している
副社長「何で天界に行きたいのですか?」
クレア「う...そ、それはお答えできないッス...」
副社長が聞くと、クレアはしどろもどろに答えた
ヨシアイ「...どうする?」
ベルセルク「どうするったって...俺様が決めるのか?」
急な判断を任され、ベルセルクは少し困った、と、そこに...
ロイ「連れて行ってあげてはどうですか?僕が言うのも何ですけど、断っても、多分ついてくると思いますよ」
ロイの言葉に、クレアは「へへへ...」と舌をちょっと出して笑ったりしている
ヨシアイ「...いきなり5人になったね」
ベルセルク「まあ...野郎だけで旅するよりはましか...」
ベルセルクはため息をついた
副社長「...君も変わりましたね」

つづく

一歩後退!  しばし観戦  正義の味方軍団はどーなった  神界はどこだぁ  逃げます