井上寿司とトロの日記

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いつものあの足音が、もう聞こえてきません。

鳥の声と木々の羽音だけが、遥か遠くに聞こえます。

ふたりの声が虚しく響きました。

 

『トロちゃん…行っちゃったね…』

『…行っちまったなぁ…』

井上寿司の前で、ヒゲオヤジの主人と、青いエプロンを着けた青ちゃんが

立ち尽くしています。

トロが来てから、この”井上寿司”には、いろんなことがありました。

『見つけたときは、こぉ〜んなにちいせぇー…こねこだったのに、よ…』

主人は涙を見せました。

『ホント…すげぇー…ネコだったなぁ…』

 

 

 

 

 

『ネコのままここにいると・・・

 ご主人さんと青ちゃんに迷惑がかかちゃうから・・・

 だから・・・トロ…

 人間になる方法をさがしに行くニャ・・・

 ご主人さんや青ちゃんと離れるのはヤダけど・・・迷惑かけたくないから・・・

 大好きだから・・・

 ……

 でも、でもニャ! 人間になれる方法が見つかったらもどってくるニャ!

 また井上寿司にもどってくるニャ!!

 ヤクソクするニャ!!!』

 

お別れツライけど…

このままじゃ・・・ご主人さんや青ちゃんと、いつもいっしょにいれないから・・・

人間になる方法見つかったら…

…きっと また会えるニャ!

 

離れていても、ご主人さんと青ちゃんとトロは、どこでもいっしょニャ…

 

 

 + + +

 

 

トロはこれから長い旅に出ます。

ポカポカの太陽も、

ふわふわの雲も、

ポタポタの雨も、

サクサクの雪も、

そして

大きな大きな空も、

ずっといっしょに旅をします。

井上寿司の思い出を、

いっぱい、

いっぱい持って、

トロは旅立ちました。

 

 

 

 

 

数日後、井上寿司に、トロから一通の絵ハガキが届きます。

「トロは元気ニャ!」

 

 

 

 

 

 

 

The story was written by kitaroh.
The number 1-8 was written in June, 2001 and the number 9-20 was written in March, 2002.
Copyright 2001-2002 "Toroto yukaina nakamatati". All rights reserved.

 

最後まで読んでくれて有難うございましたニャ! トロの日常も読むニャ?