井上寿司とトロの日記

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キュッキュッキュッキュッ!

何やら白い物体が動いてます。

 

『……?』

そぉっと、包丁片手に

ヒゲオヤジ・井上寿司の主人が覗き込みました。

 

『きゅーっ!!』

『…なにやってんだぁ?』

そこには、トロと茹であがったシャコがいました。

『…にゃんでかニャ?にゃんでかニャ?? こないだは元気におどってたニャ……』

『踊ってた?…って、シャコが?』

『そうニャ!いっしょに踊ったニャ!! …こうやって、キュッキュッキュッ… 』

主人は大きな口で大笑いしています。

『そうか。こないだからへんな踊りすると思ったら、シャコのマネだったのか〜』

『はニャ?』

『シャコはなぁ・・・』

素早く主人は包丁を振りかざし、シャコを背開きにしました。

『ニャニャーー!! ダメニャ!ダメニャ!!そんなことしちゃ…!』

 

『ほら、くってみ、』

シャコのにぎりがトロの口に 投げ入れられました。

『はニャニャ!!』

 

『はニャ??…おいしいニャ!おいしいニャ!!』

トロはゴックンと飲み込みました。

『だろ?シャコはな、見るモンじゃなくて くうモンだ』

トロはきょとんとしました。

『そうなのニャ〜…。でも、シャコっておどりが上手なのにニャー』

主人は笑っています。

『そうだな。シャコのとうちゃんはダンサーかもなぁ』

『ニャニャ!?ダンサーなのニャ!? んじゃ、トロのパパもニャ!?』

『ああ!?』 

トロのパパ。

主人は親ネコのことなんて 考えてもいませんでした。

 

『あぁ、…トロのパパさんもおどり好きかもなぁ』

『それじゃぁ、トロのママは!?』

トロは興味津々です。

でも主人はちょっと困った顔をしています。

 

『そんだなぁ…トロのママさんなぁ・・・』

トロの目は期待でいっぱいです。

主人は窓から見える空を見上げました。

『ふたりして、空の上でトロをみて笑ってるかもなぁ』

 

『?お空の上なのニャ?パパとママはお空が飛べるのニャ!?』

トロはまだ小さくて言葉を理解できないようです。

主人は安心していいました。

 

『そんだぁ〜!空の飛べるスーパーマンみたいだな!』

 

トロは大喜びです。

でも主人はちくりと胸が痛みました。

 

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