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『あれれ??・・・まぁた物が増えてやがる』 ひげおやじ・井上寿司の主人が仕入れから帰ってきました。 『最近トロは、外ばっかいきやがるなぁ』
『はにゃ!?あかくって、おひげがあるニャ〜…これがトロのパパなのニャ!?』 トロはおひさまがさんさんと降り注ぐまちへ探検にきています。 はじめてみるものがうじゃうじゃしています。 トロはきょろきょろ目や鼻を動かしています。
そこへ、ランドセルを背負った子供たちがやってきました。 『かわいい!こねこだ〜』 トロは小学生に抱きかかえられました。
『にゃにゃ??同じ人間にゃのにおひげがないのニャ??』 井上寿司の主人しか見ていないトロには何でも新鮮なようです。
『首輪もないし、ノラネコなのかな?』 『ノラネコは汚いってママがいってたよ〜』 『病気が移ったりするから触っちゃいけないんだって!』 『うわ!ばっちい!!』 トロはほり投げられました。 子供たちはさっさとその場を離れていきました。
おひさまは、かたむき始めています。 トロは来た道をとぼとぼと帰りました。
『ニャニャ…』 『ボロ雑巾みたいな格好しやがって、店から出入りすんじゃねぇ!』 主人は仕込みの時間です。 トロにかまっている余裕はありません。 『…ごめんなさいなのニャ…』 トロの目からは、涙がたくさんあふれています。 トロはまたひとりぼっちになったような気がしました。
主人は仕込みを終えると、出入り口へ目をやりました。 『ん?なんだぁ?』 出入り口に何かをみつけました。 『何でこんなモンが?…トロはどこいった?』 トロが見当たりません。 主人はトロが夜に出歩けないのを知っています。
『…このだるま、トロがどっかから拾ってきたモンだなぁ』 トロはまっかなだるまを出入り口に置きっぱなしにしていました。 主人はだるまをひょいっと、持ち上げます。 すると、だるまの下に穴があいていました。 ころん、と、トロが出てきました。 『なんだ、こんなトコに隠れてたのかぁ・・・』 主人は安心してトロを抱き上げました。
『…トロ、ドラネコなのニャ?』 トロは主人に聞きました。 『トロは、ばっちいのニャ?』 主人は自分がいった言葉を思い出しました。 『なんだ?ボロ雑巾っていったのを気にしてたのか?』 トロはぼろぼろと泣き出しました。 主人は大人気ないコトをしてしまったのをちょっと反省しているようです。 『風呂に入ればまたぴかぴかのまっしろだぁ』 トロに笑顔が戻ってきました。 『んでもな、外出歩くのはいいけどよ、ヘンなモンばっか拾ってくんのはなぁ…』 主人は汚れたまっかなだるまを見せました。 『こういうのの汚れが付いちまうんだな』 『ダ・ダメニャ!それはトロのパパなのニャ!』 『・・・って、コレが?』 『そうニャ!』 主人には、どうみたって赤いだるまにしかみえません。 『…トロには似てないゾ?』 『ちがうニャ!似てるニャ!!おひげがあって、お顔が赤いのニャ!!』 ヒゲに赤い顔・・・?? 主人は自分がよくお酒をのんでトロにいろいろと話し掛けていることを思い出しました。 『それは、オレが似てるってコトか?』 『そうニャ!そうニャ!!トロのパパなのニャ!!』 主人はだるまを見つめています。 ・・・似てるかぁ?んん〜・・・。 ちょっと主人は複雑な思いです。 『んじゃ、こいつもいっしょにぴかぴかにしてやるかぁ・・・』 『わーい!ありがとなのニャ!!』 つくづく、井上寿司の主人は不思議ネコを拾ったモンだなぁと思いました。
『・・・ってな、オレがトロのとーちゃんってわけか?』 今ごろになって気づいた主人なのでした。 |