井上寿司とトロの日記

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『ママったら、ダメよね。こんなことしてたら日が暮れちゃうワん』

 

子犬が話しています。

すごい荷物を持った人といっしょです。

『パパに迎えにきてもらわなくっちゃ』

 

トロはこっそり覗いていました。

『パパもママもいるんだニャ…いいニャ〜』

 

子犬はママにいいます。

『夕暮れの川辺をひとりで歩いて帰る… なんてステキなロケーションなのかしら』

子犬はひとりで川辺を歩き出しました。

トロもうしろをついて行きます。

そのときです。

ドテッ!!

『ニャニャ!!』

トロは石につまづいて転んでしまいました。

 

『…うわ〜ん!』

子犬はトロに近寄ってきます。

『あらあら、大丈夫かしらン?』

子犬はトロをやさしそうな目でみています。

『…大丈夫なのニャ。痛くないニャ!』

『そう?強いってステキだわン』

子犬はトロに付いた汚れをはらってくれました。

『パパに言っておうちまで送ってあげれればよかったんだけど…お名前は?』

『トロなのニャ』

『トロ!なんてステキなお名前なのかしら』

『でもね、ピエールっていう名もステキでしょ?ママが付けてくれたのよ』

 

何だかわからないけど、

トロには、このピエールっていう子犬のまわりだけ世界が違って見えました。

トロはピエールがとっても羨ましくみえました。

『トロは井上寿司の主人が付けてくれたのニャ…』

『まぁ!お寿司屋さん!いいわン。日本の情緒ってかんじよね〜』

ピエールはトロの手を引いていっしょに歩いてくれました。

 

トロはぼそっとピエールにいいました。

『トロもパパとママに会いたいニャ…』

『あら?トロのパパとママはいっしょに住んでないの?』

『トロのパパとママは…お空の上にいるニャ…』

トロは泣きそうです。

『まぁ!すごいわン!もうこの年で自立してるのね!』

トロはピエールのいったことがよくわかりません。

『自立って、何なのニャ?』

『あらあら、まだ難しかったかしらン?』

『ピエールもね、そろそろ自立したいなって思ってたのよね。』

『でもパパがさびしがっちゃうからダメだわン』

ピエールのコトバにグサっときました。

 

『トロもさびしいニャ…』

ピエールはトロの手を取りました。

『パパとママはトロの何倍もさびしいハズだわン!』

トロはさびしくて泣き出してしまいそうでした。

でも、パパとママはこの何倍もさびしいなんて…。

『パパとママ、平気なのかにゃ?』

ピエールはニコニコしながらいいました。

『きっとトロのことをお空の上から見てるから平気だわン』

 

空をみるとオレンジ色のひかりが包んでいました。

『ほら、今日もトロがいいコでいたから、 お酒で乾杯して赤くなってるわン』

トロもピエールもオレンジの光に包まれています。

 

『じゃ、またね!今日はとってもステキなお話、ありがとうだわン!』

 

トロは暗くなるまでお空を眺めていました。