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『うわ〜ん!ご主人さんがゴキブリになっちゃうユメ見ちゃった〜』
『コラ!なんてぇユメ見てんだぁ!?』 井上寿司のいつもの朝の始まりです。 『…ついでにおねしょしちゃった…テヘッ』 ヒゲオヤジ・井上寿司の主人はトロにでこぴんをしました。 『いたいのニャ〜!うえ〜ん!!』 トロは起き抜けの一発で目がしっかり覚めました。 『いたいのはおねしょしなくなるまじないだ』 主人は布団を持って、物干し台に行きました。 トロもその後ろをついて行きました。 『はニャニャ!!!おまじない!?すごいのニャ!ご主人さんは占い師なのニャ!?』 『ばぁか、どうみても寿司屋のオヤジだろう!』 トロにはサボテンに見えていました。 サボテンが人間になった姿だとお客さんに言われたのです。 『・・・ひょっとして!だまされた?』 トロはよくだまされます。その度に哀しそうな顔をします。 『ふニャ〜・・・』
パンパン!! 布団を干し終えた主人は空を見上げました。 魚のうろこのような雲が出ています。 『こりゃ、明日は雨だなぁ』 主人の足元にいたトロは悲しそうな顔から一転、驚きの顔に変わっています。 『うんにゃ〜〜!!何でわかるのニャ!?やっぱり手品師!?』 主人は物干しの柵にトロを座らせました。 『昔からの言い伝えだぁ。あぁ?そうだ!ネコが顔洗うと雨なんだとよ』 『トロ毎朝顔洗ってるニャ!でも、でも!』 『そうなんだなぁ。でも毎日お天道様出てるよなぁ』 お天道様がトロと主人を見ています。 『どうしてかニャー?』 トロはう〜ん・・・と唸っていました。 一生懸命この難解な答えを出そうとしているようです。 その間にお天道様は雲に隠れてしまいました。
『!ニャ!!わかったニャ!ご主人さんもだまされたのニャ!』 トロは大喜びで答えをいいました。 主人は一瞬でカッとなり、でこぴんをもう一発くらわせました。 『うわ〜ん!!!うわ〜ん!!!』 トロの百面相を見ているようです。 『だまされてなんかいねぇよ』 トロはいきなり主人が怒ったのでビックリしました。 何が何だかわかりません。
はっ!! と、大人気ないことをしたことに気付きました。カッとなる主人の悪い癖です。 『あー、・・・悪かったなぁトロ』 主人はトロの頭をなでました。 しかし、行動した後すぐに気付くのはトロに限ってのことでした。 『うっぐえっぐ・・・今のは何のまじないなのニャ?』 『イヤ、まじないじゃなくて・・・うーんと・・・』 主人はアゴヒゲを触りました。自分のしたことを反省しています。 『でこぴんは悪いことしたときにするモンだ。でも今のはオレが悪かったな』 トロには"悪いこと"が理解できません。 『悪いことって何なのニャ?』 主人は困りました。 『う〜ん、そうだなぁ・・・』 いい例えが思い浮かびません。
『・・・トロがイヤだなぁって思うこと、あるか?』 『!あるニャ!!だまされることなのニャ!!』 トロはすぐに答えました。いつも思っています。 『そういうイヤなことをするのが悪いことだなぁ』 『そうなのニャ!?トロはそんなことしないニャ!!!』 満面の笑顔です。 主人は無邪気なトロを見ていると自分が情けなくなりました。 ウソをつくのが悪いことだなんて当たり前のことです。 主人はそんな当たり前であるはずのことも思い浮かばなかったのです。 『世の中悪いことばかりだからかなぁ・・・』 主人はぼそっと呟きました。
『おひさまが出てきたニャ!』 トロが描いた地図に光が当たりました。 『お天道様出てるってことは、トロも人間に近づいてるってことかもな』 トロは大喜びです。 主人はついていいウソもあるなんてトロには理解できないだろうな、と思いました。
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