トロとゆかいな仲間たち

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雨上がりの夜は、何だかジュンをリリカルな気分にさせる。

どうしてだろ?

運命的な出会いとか、ありそうな気がしちゃう。

…ケド。

雨上がりって、ヤバイ。

跳ね返りは、ウサギだけにしとけ?みたいな。

 

5月も半ば、不安定な天気が続いています。

川沿いに点燈がボゥ…と、等間隔に並んでいました。

ジュンは増水した川を横目に、土手を歩いています。


『…お月様がたこ焼きに見えるぴょん…お腹すいたウサ〜!』

月を見上げていたジュンは、前から何かがやってくる気配を感じました。

暗闇にボォっと白い影が浮かんでいます。

白い影が、ジュン目掛けてやって来ました。


『っニギャ〜ッ!!?』

…とりあえず、さけんでおくでしょー?フツー!

あれ?よく見るとネコ?

に見えなくは…

やっぱ、ネコ!!

『いつのまにか、遠くまで来ちゃった…やるニャ!かめむし!

 うぎゃあ!!!』

濡れた地面を這っていたネコは、後ろにひっくり返りました。

ジュンは、覗き込みながら言いました。

『…つーか、カメムシがライバルなわけ?』

 

なんとなくデンジャーな出会い方をした。(つーか、叫ぶか?)

風呂敷をカバンにする、それはどうなの?って感じの、ネコのトロ。

川伝いに(カメムシ追いかけて?)旅をする…

さしずめ、毛皮着た裸の大将ってトコ…?

『旅ねぇ!旅!…旅のダイゴミは、なんと言っても温泉!グルメ!だけどねぇ〜

 …つーか、たこ焼き食べたいッス!』

『グー…ぎゅるぎゅる……』

この音、トロのハラのムシ!

コイツ…

お金もってなさそ〜!

なんかさ、薄汚れてるしさっ!

『クラクラするのニャ〜…!』

トロは後ろにふらふら、横にふらふら、前にふらふら…してるぴょん。


…マジやばいッス。大丈夫か!?

ジュン…少し考えよう。


人からやさしくされたいなら、自分がやさしくならなきゃダメ、らしい…ぴょん。

ウガーッ!!

 

”たこやき”と書かれたちょうちんのある屋台で

ジュンは、たこやきを二皿注文してしまいました。

『行き着けの屋台!カッコいいニャ!!』

トロは、はしゃいじゃってるし、

なんか、いーことしたって感じがする。

案の定、お金もってないし、コイツ。

くぁーっ!今月ヤバイかも!

『トロも”行き着け”ほしいニャ〜!』

でも、悪い気はしない。

ま!なんつーの?大人・・・って言うんですか?


かつお節が、ゆらゆら揺らぐ

たこ焼きを一刺し、

口へパクン!

『はぁ〜!おいしいぴょん!やっぱさぁ〜、タコは明石のタコに限るぴょん!』

食べてる時がサイコーにシアワセ!って、カンジぴょん!

『はニャ!…アチチ!!あっついニャ!はふはふ!!』

『ネコが猫舌…。ざぶとん没収!』

トロはたこ焼きと格闘してる。

コイツ、きいちゃいねェ・・・

だけどトロは、何も食べてないような…食べっぷり。

『トロさぁ、旅始めて…何食べてたぴょん?』

『はふ〜!おいしーニャ!たこ焼き!たこ焼き!』

『…』

コイツ…!もしかして!…

まったり星人!?

『ジュンはいい人なのニャ!』

ウサギだっつーの!(マイナス10点。)

 

月が真上に昇っていました。

たこ焼きを食べ終えた2人は、来た道を帰っていきます。


『トロはこれからどこ行くのウサ?』

『えへっ!わからないのニャ』

人生最大の危機って、こーゆーこと!?

『それ、ヤバくない?』

世間をなめてる?

『人間になる方法を探してるのニャ…どこ行けばいいかニャ?』

なんだ。目的は持ってるんだ。

ちょっと意外…。

『どこ?って……あ!リッキーなら知ってるかも!』

リッキーは旅芸人…じゃないぴょん。さすらいの旅人。

けっこー、物知り!

『リッキー…?カエルのリッキーなのニャ!?』

『あれ?知ってるウサ?』

アイツ、顔ひろっ!

さすが旅芸人!

『前に会ったニャ!ペットボトルとお友達なのニャ!!』

…そういえば、リッキー…!

『思い出したぴょん!この前、寿司屋の車から出てきた、白いネコ!!』

『え?え?なんで知ってるニャ!?ジュンって…もしかして!エスパー!?』

『キィーっ!ザブトン没収!!!』

まずいッスよ!

運命的な出会いが、”まったり星からやって来たネコのトロ”ッスか!?

 

ま、なんかさ…結局、出会いがないと人生つまんないし・・・

まったり星にはトロみたいなのが、いっぱい居るんだよねえ・・・

トロといっしょに居れば、ジュンもまったり出来るかも…?って思った。

 

『お月様もまん丸だし!トロのお腹もまん丸ニャ〜!

 ジュン、ありがとなのニャ!』

トロはジュンに一礼をしました。

『どこ行くぴょん?』

『リッキーのところニャ!』

『って、場所しってるウサ?』

『あ!わかんないニャ〜!!』

 

抜けすぎ…

 

ジュンは、トロをとりあえず(夜も遅いので)、連れて帰りました。

トロは、久し振りの布団の感触も味わわず、ぐっすり眠りに入ります。

ジュンもヘンに疲れたようです。

二人仲良く、寝音を立てながら、

深い眠りにつきました。