七夕の夜には・・・










 

7月6日、夜。

ジェノスは、ふと空を見上げた。

そこには空一杯の星、キラキラと空中が金に輝いていた。

ジェノスは、以前セフィリアが話していた事を思い出した。

 

 

 

―「知っていますか?ジェノス・・・」

 

 「何をッスか?セフィ姉・・・」

 

「ジパングという国にある、七夕というお祭りを・・・」

 

 「ハハハ・・・そんなにジパングに詳しいのは、セフィ姉位ッスよ!」

 

 「フフ、なかなか素敵なお話があるんですけどね・・・そのお祭りには」

 

 「ステキな話?そりゃ、ぜひ聞きたいッスねえ」

 

 「・・・この空に散りばめられた星達を天の川というのですよ。
   この空にはとても美しい娘、織姫という名の女性と、彦星という名のとても働き者の
   青年達が住んでいて、年に一度だけ天の川を渡り、出会う事のできる日が七夕なのですよ・・・」

 

 「・・・オリヒメに・・・ヒコボシ・・・」

 

 「7月7日に空で、恋物語が繰り広げられていると素敵だと思いませんか?」

 

 「確かに、ステキッスね」

 

 「そういえば、7月7日は貴方の誕生日でしたね。自分の生まれた日に、
   こんな星空の中で大切な人と2人だけで出会っていると思うと不思議ですね
   ・・・貴方には、誰にも代えられない大切な、たった1人の人はいますか?ジェノス・・・」―

 

 

 

  「『大切な、たった1人の人』・・・かぁ・・・」

 

  ジェノスは一言呟くと、瞳を空から逸らし、歩き出した。

 

(大切な人は居るんでやんすがねぇ・・・)

 

そんな事を思いながら、ジェノスは、とあるアジトへと着いた。

ドアの前で立ち止まり、チャイムを鳴らす。

すぐに、ドアが開き、アジトの主であろう女性が、ジェノスをアジトの中に招き入れた。

そして、ドアが閉じたと同時に招き入れた女性の怒鳴り声がした。

 

「遅い!!」

 

「は?」

 

女性は、自分が付けていた腕時計を見て慌てながら言った。

 

「あっ!違う違う。ちょうどいい時間だ・・・」

 

「どうしたでやんすか?リンスちゃん・・・」

 

「何でもないわよ・・・それより今、星出てた?」

 

「・・・出てたけど」

 

「それじゃ、外行こうよ!」

 

リンスは使っていたパソコンの電源を切り、半ば強引にジェノスを外へ連れ出した。

 

 

「やっぱり、星って綺麗よねー」

 

「へー、リンスちゃんって星、好きなんだ・・・」

 

「まぁね・・・空の宝石って感じじゃない?ま、私は本物の宝石の方が好きだけどネ」

 

ウインクしながら言ったリンスを、ジェノスは、優しく微笑みながら見つめていた。

そして、ゆっくりと口を開いた。

 

「そーいや、リンスちゃん。あの空の星達の事、何て言うか知ってるかい?」

 

「そんなの知らないけど・・・」

 

「天の川って言うそうッスよ」

 

「へー、名前があったんだぁ・・・」

 

リンスは、金に輝く空に負けない位にエメラルドグリーンの瞳を輝かせて、天の川を見た。

そしてジェノスは、いつかセフィリアが自分に話してくれた様に、七夕の話をゆっくりと話し出した。

そして、最後にやはり訊いてみた。

 

「リンスちゃんは今、こんな風に2人きりで会いたい人って居る?」

 

恐る恐る、ジェノスはリンスの顔を見た。

リンスは、それを知ってか知らずか、クスリと笑って答えた。

 

「さぁ・・・どうかしらね」

 

ジェノスは、やはり・・・という表情で、また空を見上げた。

 

「・・・でも」

 

リンスは続けた。

 

「でも私、オリヒメにみたいに会える日を待つだけなんてイヤだから、
 どうしても会いたくなったら、ヒコボシを盗みに行くわね
 ・・・何もしないで1年間待つだけなんて、お断りよ!」

 

ジェノスは、リンスを見つめながら言った。

 

「さすが俺のリンスちゃん!惚れ直すなぁ・・・」

 

「誰が『俺の』ですって?」

 

「いやいや、独り言でやんすよ・・・」

 

「ったく・・・」

 

りんすは、1人ため息をついた。

 

 

ピピッ

しばらくたってから、リンスの腕時計が0時を知らせた。

リンスは、空を仰いだまま話し出した。

 

「あんたさっき、『2人きりで会いたい人って居る』か、聞いてきたわよね・・・?」

 

ジェノスは思わず頷いた。

 

「あ?ああ・・・言ったけど・・・」

 

「・・・いるって言ったら?」

 

リンスの声は、とても静かで落ち着いている。

 

「えっ!?いるんスか?誰だそいつはぁー!俺のリンスちゃんを1人占めするヤツはぁーー!!!」

 

落ち着いているリンスに対して、ジェノスは大パニックだ。

 

「・・・たよ・・・」

 

「へ?」

 

「あんたよ。あんたに会いたかったの。」

 

空を見ていた瞳が、ジッとジェノスを見つめた。

 

「リ、リンスちゃん?何言ったか、解ってるでやんすか?」

 

ジェノスは焦りまくって訊き返した。

 

「解ってるわよ・・・」

 

そう言って、リンスはジェノスに近づき、ジェノスの目の前で足を止めた。

 

「あっあの・・・リンスちゃん?」

 

ジェノスは焦りつつも、リンスの肩を抱こうとした。

しかしその時、サッと何かがジェノスの前へ差し出された。

 

「ハイ!」

 

「は、はい?」

 

ジェノスの前へ差し出されたのは、綺麗にラッピングされた長方形の箱。

もちろん、肩を抱こうとしたジェノスの両手は、重力に逆らう事無く落ちていった。

 

「今日、あんたの誕生日でしょ?だから、プレゼントよ!」

 

「え?あー・・・(そーいや、7月7日だっけ?)」

 

「要らないなら、捨てちゃうわよ!」

 

「あっ!要ります要ります」

 

ジェノスはリンスの手から、箱を優しく受け取った。

 

 

アジトの中に入ってから、ジェノスは零れるほどの笑みで、プレゼントの包みを開けていた。

 

「たいした物じゃないわよ・・・」

 

リンスがそう言っても、ジェノスは最高の笑みを浮かべて言った。

 

「リンスちゃんがくれるものなら、何でも最高の宝物でやんすよ。
 誕生日を覚えていてくれてただけで、幸せ何スから・・・」

 

リンスはため息をつきながら、ジェノスを見た。

パカッ!

箱を開ければ、中身は・・・ネックレス。

いつもジェノスがしている様な物ではなく、プラチナの銀のネックレスだ。

 

「リンスちゃん、本当に頂いてもよろしいんでしょうか・・・?」

 

ジェノスがゆっくりと訊ねると、リンスは再びため息をついて答えた。

 

「どうぞ!いつも金のネックレスじゃ飽きちゃうでしょ?
 同じ服しか着てないんだから、ネックレス位変えなきゃネ・・・」

 

そう言って、リンスは紅茶をジェノスに差し出した。

 

「ハッピーバースディ・・・ジェノス」

 

ジェノスは優しく微笑んで答えた。

 

「ありがと、リンスちゃん・・・」

 

 

リンスが寝静まって、ジェノスは窓から空を見上げていた。

 

「オリヒメさんにヒコボシさん、あんたら、年に1度のデートで幸せ一杯だろーけど、
  悪いんだけど、幸せ度なら俺の方が上だわ・・・」

 

そう勝ち誇るように呟くと、ジェノスはリンスの寝ているベッドに腰掛けた。

そして、リンスの藤色の髪を手で梳かし、優しく微笑みながら思っていた。

 

(ま、俺のオリヒメは、綺麗なだけの女じゃないけどね・・・)

 

                                             
                                                                          END

 







 

 

 
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あとがき

うわぁ〜!ジェノっち、お誕生日おめでとー!!!

・・・ということで、「ジェノスお誕生日記念小説」もどきです。

この小説の中では、リンスさんはとにかくジェノっちに優しくしてます。

ま、誕生日ですから・・・

七夕を取り入れてしまったら、こんな訳の解らないものになってしまいました(泣)

何はともあれ、ジェノっち、お誕生日おめでとうです。

最後まで付き合って、読んでくださった方、ありがとうございました。

                                  by 理鈴
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ジェノスハッピーバースデ〜♪
ということで理鈴さん、どうもありがとうございました!!

ジェノスってばリンスにプレゼント貰って(−_−)
幸せすぎ!よこしなさい(爆)

またリンスと年離れちゃって着実に「ヘロヘロオヤジ(byレオン君)」に
近づいてるし、がんばれ(笑)

ではでは、本当にありがとうございました!!

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