少し昔に話題になったマイケル・ルイスの著書「マネー・ボール」を読みました。
面白かったです。「マネー・ボール」に登場する分析手法「セイバーメトリクス」は、
現在ではその欠陥を指摘されていますが、それまでにない切り口(というかやっと現れた正しい評価方法)で
分析する事により、市場の価値基準ではそれほども無いが、実は勝利に大きく貢献している選手をドラフトやトレードで獲得し、
少ない資金で最大限の効果を得るという市場と独自の分析手法のギャップを突いた球団運営手法の根幹を成す物です。
この本やサイバーメトリクス(※)の事を調べるうちに、RBOでも通用するのではないかと思い始めました。

近年ルール7の導入によりRBOの価値観は大きく変化しました。選手全体のレベルが上がった事により、
獲得の判断基準が大きく変化したと思います。例えば、極端に言えば野手は左バッターで俊足で少しの巧打が有りさえすれば、
多少他のパラが悪くとも有る程度の成績が残せました。また長距離打者であれば、長打Sでありさえすれば眼C巧打Eであっても
働き場所には困らない状況でした。しかしこのような価値基準は今や通用しなくなりつつあります。
投手全体のレベルが底上げされた事で、左の俊足打者も選球眼B長打C以上がなければ辛くなりました。
また長距離打者も眼はB巧打C以上くらいは無いと厳しい状態です。
これはごまかしが利かないリーグになったのと同時に、投手のレベルの上昇に足や巧打ほど影響されないパラが重要になったと
言うことだと思います。そう、選球眼です。またポイントが大きく物を言う時代になった事で、少ない資金で大きい効果を
得られない事には資金力のあるチームには永久に勝てません。これはまさに「マネー・ボール」の背景と一致します。

しかし「マネー・ボール」を導入するにはまだ不安が残ります。それはべスプレはしょせんべスプレであり、
リアルの野球とは異なるという点です。べスプレが最も秀逸な野球シミュレーションである事に疑いはありません。
しかしロジックが人の手で作られている以上、それは現実の野球とは発生現象が異なるはずです。しかし一方で、
同じ野球のルールである以上、有効であると判断せざるを得ないサイバーメトリクス(※)の定義もあります。
・野球とは27個のアウトを取られない限り、永遠に続く競技である。
・イニングは3アウトを取られない限り、永遠に終わらない。
・イニングは3アウトを取られれば、それ以上何もなにも起こらない。
というような物です。つまり原理的に通用する部分があるはずです。
そこで、OPS、WHIPをチームごとに算出し、法則性があてはまるかどうかを検証しました。
サンプル数が少ないですが、今後有る程度のチーム数を算出すれば、傾向はつかめると思います。

パワーレンジャーリーグ 358年度
   チーム名         試合  勝  負  分 ゲーム差  勝率 得点 失点  打率 防御率 本打 盗塁  OPS WHIP 被本
 佐治パワーレンジャーズ       160 108  52   0    0.0  .675  803  512  .257   3.03  207  236 .816 1.05  171
 宜野湾カリユシHSS         160 103  57   0    5.0  .643  825  614  .263   3.64  246  173 .872 1.13  191
 因幡ボーパルバニーズ         160 101  59   0    7.0  .631  801  633  .247   3.80  248  282 .804 1.21  190
 福島ブリリアントローズ       160  93  67   0   15.0  .581  659  542  .235   3.29  211  125 .786 1.10  175
 甲府Dデビルズ               160  81  79   0   27.0  .506  618  574  .239   3.48  164   88 .703 1.20  163
 土佐黒潮いごっそうず         160  50 110   0   58.0  .312  620  870  .221   5.34  185  192 .707 1.54  206

パワーレンジャーリーグ 359年度
   チーム名         試合  勝  負  分 ゲーム差  勝率 得点 失点  打率 防御率 本打 盗塁  OPS WHIP 被本
 因幡ボーパルバニーズ         160 105  55   0    0.0  .656  789  542  .249   3.27  211  216 .812 1.08  191
 宜野湾カリユシHSS         160 101  59   0    4.0  .631  773  565  .252   3.38  249  197 .860 1.09  181
 佐治パワーレンジャーズ       160  94  65   1   10.5  .591  807  655  .264   3.90  202  222 .806 1.17  232
 甲府Dデビルズ               160  92  67   1   12.5  .578  662  557  .243   3.35  179  137 .777 1.16  146
 福島ブリリアントローズ       160  69  91   0   36.0  .431  586  682  .220   3.92  176   98 .718 1.26  205
 土佐黒潮いごっそうず         160  44 116   0   61.0  .275  562  909  .207   5.46  194  172 .672 1.59  236

ファンタスティックリーグ 359年度
   チーム名         試合  勝  負  分 ゲーム差  勝率 得点 失点  打率 防御率 本打 盗塁  OPS WHIP 被本 WHIP2
 御前崎アリアマリーンズ       160 113  47   0    0.0  .706  931  577  .282   3.49  164  183 .886 1.19  170  1.66
 桃山ジャックポット           160 100  60   0   13.0  .625  701  576  .250   3.41  199  118 .814 1.19  144  1.58
 呉ネイビーブルーズ           160  91  69   0   22.0  .568  743  623  .257   3.81  161  248 .799 1.19  217  1.80
 船橋レッドギャンブラー       160  82  78   0   31.0  .512  731  708  .257   4.32  183  248 .791 1.31  230  1.95
 霞ヶ原ファンタスティック     160  70  90   0   43.0  .437  709  875  .252   5.27  211   74 .817 1.59  186  2.11
 東京プリティカラーズ         160  64  96   0   49.0  .400  689  762  .250   4.69  190  117 .790 1.38  224  2.01

Pレンジャーの358年度は、OPSに関しては得点との相関関係がバッチリ現れています。
WHIPについては宜野湾が1.13と良い値であるにも関わらず、1.21の甲府よりも失点が多くなっています。
これはWHIPの弱点が現れていて、算出する時に二塁打以上の長打も全て1安打と計算するので、
長打を多く打たれているチームが現実よりも良い数値が出てしまいます。そこで被本塁打も見てみます。
予想通り、191本と因幡並みに打たれています。対して甲府は163とリーグ最少です。べスプレの成績では
被二塁打、被三塁打は出力されませんので、被本塁打を要素にするしかありませんが、それでも被本塁打を
分析要素に絡める事で、より良い評価方法が実現できると思います。

次にPレンジャーの359年度ですが、頭を悩ませる現象が現れています。宜野湾のOPSは.860と抜きん出ていますが、
得点は773に過ぎず、因幡の789、佐治の807よりも少なくなっています。私が密かに影響があるのではと
考えていたのは盗塁数だったのですが、因幡、佐治に比べてそんなに見劣りする盗塁数ではありません。
監督戦術の盗塁が宜野湾の+2に対して佐治+1、因幡-1だったので盗塁死が多いのかとも思いましたが、
データが無いのでなんとも言えません。さあ、困りました。それとも、誤差の範囲内と考えられるのでしょうか。
OPSが有る一定以上のレベルになると得点も高くなるがぶれ幅も大きくなるのかもしれません。なんにしても、
まだまだ考察が必要です。
WHIPについては、被本塁打の影響は間違いなさそうです。甲府の被本塁打の少なさに磨きがかかり、WHIP1.16にも
関わらず失点の少なさはリーグ2位です。逆に佐治は1.17と甲府と同様ですが被本232と2番目に多く、失点は甲府よりも
100点近く多くなっています。

最後はファンタスティックの359年度です。御前崎の抜け出方が凄いです。しかし先ほどの宜野湾の.860で773点と
御前崎の.886で931点では差が有りすぎるように思います。この辺りはやはりもっと研究が必要です。
他に特徴的な点は、盗塁数の影響があるのではないかと思わせる現象が出ています。桃山のOPSは.814と呉.799、船橋.791よりも
高くなっていますが、実際の得点は両チームより少なくなっています。大きな違いは盗塁数です。
桃山の盗塁数は両チームの2分の一以下です。しかし、逆の言い方をすれば、OPSさえ高ければ、
盗塁数が2倍以上のチームに対して得点が30〜40点ほど少ないだけで済む、という見方も出来ます。
この辺は難しいところです。
WHIPに関しては呉が被本の影響で失点が上位2チームよりも50点ほど多くなっています。そこで試しに
WHHIP(Walks plus Hits plus Homerun per Innings Pitched)として、
非本塁打を組み込んだ物を算出してみました。計算式は(被安打+与四球+(非本塁打*4))/投球回数です。
まあまあ関連性を見出せる値になったと思います。
個人に当てはめると1.50未満で超エース級、1.60未満でエース級、2.00を超えると問題あり、というところでしょうか。

以上のようにOPSとWHIPの有効性について見てきました。
WHIPに関しては被本塁打を絡める事で有効性の有る分析を行えそうですが、
OPSについてはまだなんとも判断できません。
マネーボールではバント、盗塁、ヒットエンドランは全て自滅行為であると定義しています。
しかし、ことべスプレにおいては盗塁(というか走塁?)の影響は多分に有るという事が言えそうです。
また、今回は守備力については一切触れていません。
これはマネーボールでは投手のみの責任の及ぶ数値を元に
評価し、守備力等のチーム事情による外的要因を排除する事で
客観的な投手能力の評価を行っているからですが、
べスプレでは内野陣、特に二遊間の守備力を高める事で
失点を劇的に減らせる事もまた周知の事実です。
また一方では、守備力がB、Cの遊撃手が打撃爆発で優勝に
貢献した、という経験を持つオーナーの方も多いと思います。
この辺についてもまだまだ検討の余地がありそうですが、
効率の良い球団運営、というアプローチの具体的手法としては、
良い足がかりになるのではないかと感じました。

※後で気付きましたが、正しくは「セイバーメトリクス」です・・・(涙)
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セイバーメトリクスについて補足しますと、選球眼を重視している事に目が行きがちですが、もっと重要な値はOPSです。
これはセイバーメトリクスの考案者達がOPSという出塁率に長打率を加えた値をチーム全体で平均した数値がチームの得点と相関関係にある事を発見したのがそもそもの始まりです。
以下の選手データをご覧下さい。
選手名成長登録名年度C123SO打率試合打数安打打点犠打四球三振盗塁失策出塁率OPS
瀬棚 康介 M 晩成CCCLS瀬棚32629-----CBSEEACD-2-1230 .332131484161 1911 3 2711 24118 29 0 .3640.799
選手名成長登録名年度C123SO打率試合打数安打打点犠打四球三振盗塁失策出塁率OPS
半田 冬磨 M 晩成BCBLP半田29732-----DACBCACA 0 0280 .253150573145 28 035 85 1 64150 9 2 .3280.813
上段の瀬棚選手は高打率を残していますがOPSは下段の半田選手よりも低くなっています。
OPSで見た場合、瀬棚選手よりも半田選手のほうがチームの得点に貢献している事を示しています。
もちろん守備の要素なども影響しますが、それらを排除して打撃能力を考えた場合、社交場で高値で取引されるのはどちらのほうでしょうか。
なんとなく入手し易そうなのは半田選手ではないでしょうか。それこそがマネー・ボールの目の付け所で、
とかく打率のみを重視しがちな市場価値に対して有効なギャップを見つける事で、運営のコストパフォーマンスを上げる事が狙いなんです。
RBOにおいては、これらの分析数値を元に、RBOの成長法則などを加味して、新人の振り方やトレード方針を決定していく事になると思います。

で、そもそもOPSやWHIPという値がベスプレにおいても有効なのか、という事を分析しなきゃなりません。
分析結果が思わしくなくて全然当てはまらなくても、じゃあベスプレではどんな要素が他に絡んでるのかと
分析を進めて行く足がかりになりますよね。OPSのベスプレ版の算出式が完成すれば最高です。
なのでむしろ、分析それ自体が楽しみになるのではないか、と思ってます。