お題 ドルアーガの塔

上下左右下上右左左右下上右左上。別に暗号では無い。↑↓←→↓↑←→←→↓↑→←↑。こう書いた方が明確である。暗号では無い。50音やアルファベットに当てはめようが、カバラの神聖教の特定倍数で解読しようが、おじいちゃんの入れ歯すら出てこない。無駄は止した方がいい。

では何か。こちらは分かるだろうか。上上下下左右左右。ピンとくる人も多かろうと思う。こない場合は諦める。人生に影響は無い。つまりは俗に言うコナミコマンドである。大抵は十字キーで入力する。たまに足で踏む。ファミリートレーナーはコナミ製だったと記憶しているが、このコマンドが使えたかどうかは定かでは無い。入力するとどうなるか。大陸弾道ミサイルが発射されたり、米大統領の頭にタライでも落ちれば面白いのだが、さすがにそう言うわけにもいかず、せいぜいゲーム内で何かが起こる。何か。それが問題だ。あるゲームでは裏面に行ける。あるゲームでは謎のメッセージが出てくる。あるゲームではOPの色が変わる。これらは裏技と言われ、ゲーム業界に君臨していた。裏技を見つける為に、幼き小学生からいい年ぶっこいた大人までが目を血走らせたものだ。ある雑誌では賞金を出した。

今ではどうか。残念ながら下火になっていると言わざるを得ない。それは存在する。しかし、裏技とは言わない。あって当然になってしまったのである。裏技とは、ゲームの上での一種のお遊びであった。「それ」を使用すれば楽しみは得られる。「それ」を使用しなくてもゲームの進行上に問題は無い。クリボーをパワーアップキノコと間違えて突っ込まない限り死ぬことも無い。

冒頭の上だの右だの言う文字の羅列。これには続きが有る。2コンの左、Bを押しながら、1コンのABいずれかと下、そしてセレクトスタート。試してみれば分かるが指が吊りそうになる。協力者がいれば良いが、1人でやる場合は足の指まで出動させる必要性が出てくる。そこまで苦労して何が得られると言うのだろう。

ドルアーガの塔はナムコからアーケードゲームとして誕生した。昔のゲームらしく、内容は実にシンプルである。自キャラであるギルが出来る事と言えば、剣を構えて敵に突っ込むか、盾で防御するしかない。壁(と言うか通路)を壊す等と小賢しい事も出来るが、それはアイテムを入手出来ればの話だ。盾で防御とは言っても、敵の体当たりにはまるで効果が無く、其れ故基本的には剣を構えっ放しで敵に突っ込む。体力ゲージなぞ最初から付いていないので、回復を求める方が間違いである。

シンプル故か、シンプルにも関わらずか、このゲームは大ヒットした。そして家庭用ゲームに移植されるまでになった。何故大ヒットしたのか。ゲームを始めると塔の1階に放り出され、階段を昇り、最終目的である60階に到達するのが大筋である。しかし呑気に進んでいると、5階あたりで路頭に迷う事になる。理由が分からない人は取説かインストカードを読み直すべきだ。我々はアイテムを取らねばならない。アイテムなどどこにあるのか。左様、最初から見えている程世の中は甘く無い。「何だあるじゃんラッキー」と喜んでいると、驚くなかれ、それはトラップである。死にはしない。死ぬ程困るだけだ

ドルアーガの1番の面白さ、そしてやっかいさは、このアイテムの出現条件探しにある。あるいはスライムを3匹倒す。あるいは壁の一部を壊す。あるいは階段を出現させる。全ての条件を58階分(59階はボス戦、60階はラストステージ)説明するのは疲れるのでやめる。私も忘れた。アイテムなどなくとも進んでやるといった漢らしさは素晴らしいが、事実進めなくなる。まあやってみられるがよかろう。

そこでジャパネットタカタのように登場してくるのが、例のコマンドである。入力する。上下キーを動かす。なんとステージセレクトが出来るではないか。しかも2コンのAだかBだかを押していれば、全てのアイテムが取れてしまうのだ。あの苦労し、苦悩していた日々が走馬灯のように浮かんでくる。あっと言う間に60階である。石コロの様にしか見えないイシターを助ける事など、スライムと戦うより容易い

喜ぶのは早い。60階でやっては行けないことをやってみる。カイを刺してもいいし、壁を壊してもいい。ロッドを3本供えてからイシターを刺し、努力を水の泡とするのもいい。すると10階〜20階のいずれかの階に落とされる。そこは仕方ないから大人しくクリアし、再び2コンのボタンを押しながら階を移動する。59階と60階にアイテムはないから、もうボタンは放してもいい。そして61階……61階なんてあっただろうか?62階、63階、64……最終的には訳の分からない記号の階にまで行く。裏面への突入である。ただし気を付けねばならない。61階以降、それはバグ面、つまり正規の面ではないのだ。プログラム上存在しない空間なのだ。「ありえない」面、そこでは通常にプレイする事も出来る。しかしそれはほんの一部である。最悪の場合、決定ボタンを押した直後フリーズする。しかもリセットするしかない、強烈なフリーズである。

ドルアーガの塔は名作である。しかし私の記憶にある画面は、バグ面でしかない。あまりにやりすぎたのだ。本編も、アナザードルアーがも差し置いて、バグ面ばかりを。最早私の脳裏には、呪文波の飛び交う中、ドルアーガと共に壁にめり込んで固まっているギルの姿しか浮かんでこない。そしてそれが一体何面だったのか、今となっては確かめる術はない。残念な事に。

オススメ度 84点   スライム3匹度 3点