第4靴下  「イワッチ作戦」



 〜またまた深夜の今町公園〜


岩田「フフフ、ロボは真面目に技能を取得する気がないようですね。」
深夜の今町公園に三人のハンターたちが集まっていた。

遠坂「そのようです。ここ一週間ずっと味のれんで遊んでばかりいたみたいです。
そのおかげで射撃技能だけはLv.3ですよ。」

中村「ふざけたヤツだ。こうなったら俺が士魂号にのる!」

岩田「フフフ、その提案は却下。」

中村「なぜだ?」

岩田「フフフ、バトラーはウォードレスが着られないでしょう?
それに、電波の指令では、あなたにはもっと重要な役割がありますよ。」

中村「重要な役割だと?」

岩田「フフフ、そうです、バトラーには、…ちょっと待って下さい。ロボが来たようです。」
三人のそばまで滝川が走ってきた。とても急いできたらしく荒い呼吸をしている。

滝川「ゼェ、ゼェ、ハー、ワリィ、遅れた。」

岩田「フフフ、あなたもずいぶん悪役が身についてきましたね。イワッチ集会に遅れたことです。
わかりますか?」

中村「遅れたじゃないだろ!…だいたいお前が技能を取らないと作戦が実行できないだろ!」

遠坂「それは論点が違うのでは…」

中村「…と、とにかくこの作戦会議に遅れてくるとはどういうつもりだ?貴様のソックス魂はその程度かぁ!」
中村の怒声が公園に響き渡った。

滝川「だから悪かったって謝っているだろ。俺だっていろいろ忙しいんだよ。」
滝川も負けずに怒鳴り返す。

中村「忙しいだとぉ?無職で味のれんに入り浸っていたのはどこのどいつだ!」

滝川「あぁ、どうせ俺は無職さ。悪かったな。」

岩田「フフフ、逆ギレですか?やりますね。」

中村「悪いと思うならとっとと技能取りやがれってんだ。」

遠坂「バトラー…キャラ変わってませんか?」

岩田「フフフ、電波ですよ。」

遠坂「…電波ですか?」

岩田「そう、電波です。イィ、スゴゥクイィ。」
とても嬉しそうだ。そんな二人にかまわず中村と滝川の怒鳴りあいは続いていた。
滝川「うるせーんだよ、このデブ。」

中村「言ったな、この役立たずめ!地獄へ落としてやる。かかって来い!」

滝川「やるのか、このヤロー!」
言いながら、ポケットから愛用の靴下を取り出し身構えた。十日ものの靴下である。
破壊力は並だが取り回しが容易で直撃させれば十分なダメージを与えることができる。

中村「フン、いい度胸だ。」
懐から伝家の宝刀一年靴下を取り出そうとして思いとどまる。一年靴下は今使うには破壊力がありすぎる。
例えるならナイフで挑んでくる相手に戦車を使うようなものだ。卑怯だと思う。改めて懐を探る。

中村「悪いがコレで相手をさせてもらうぞ。」
中村の手には一ヶ月ものの靴下があった。強力な分扱いには細心の注意が必要で、
相当の訓練と経験を積んだ者でなければ使いこなせないと言われているシロモノだ。

中村「あいにくコレ以下のものは持ち合わせていないんでな。」
お互いに間合いをとって睨み合う。ジリジリと時間だけが過ぎていく。

遠坂「大変な事になりましたね。止めなくて良いんですか?」

岩田「フフフ、まさに一触即発、危機一髪。コレこそスリルですよ!止めてどうするんですかぁ!!」

遠坂「・・・。」
二人が見守る中、滝川が先に仕掛けた。
滝川「とりぁー!」
裂帛の気合と共に中村の顔面をめがけて鋭く靴下を突き出す。
中村「素人め!間合いが甘いわ!!」
軽く上半身をひねって鮮やかにかわす。同時に滝川の鼻先目がけ必殺の靴下を振り上げる。

滝川「…ッ!!」
ギリギリのところで息を止め上体を大きく反らして辛うじて避け、跳び退る。

中村「よくぞかわした、と言いたいところだが」

滝川「クッ!!」
苦しげなうめき声と共に膝を突く滝川。

中村「掠った様だな。もう動けないだろう。」

滝川「…グッ…ハァ…ハァ…さすがバトラー…やるじゃねえか…」
呼吸は乱れているものの、しっかりとした足取りで立ち上がった。

中村「まだやる気か?お前に勝ち目はないぞ。」

滝川「うるせー。俺はまだ負けていない!!」
叫びながら跳びかかろうとした瞬間、二人の間に白い人影が割って入った。

岩田「スト〜ップ!フフフ、そこまでですよ!実にブリリアントでエレガントな勝負でした。」
笑いながら言っているが、その両手に握られた靴下は中村と滝川の喉元にしっかりと突きつけられている。

岩田「フフフ、ここはワタシの顔を立てて、引き分けということにしておいて下さい。」

中村「分かった。いいだろう。」

滝川「しょうがねえな。そういうことにしといてやるよ。」
二人とも口では強がっているが冷や汗が流れていた。

遠坂「さすがですね。バットの名は伊達じゃない。動きが見えませんでした。」

岩田「フフフ、イィですね。その言い方。イィ。凄くイィ!」
嬉しそうに言うと、靴下をしまった。

岩田「フフフ、それでは今後の予定について話ましょうか。ズバリ、ターゲットは阿蘇山にあります。」

中村「阿蘇山?なぜそんなとこに?」

滝川「それよりも何でお前がそんなことを知ってんだよ?」

岩田「フフフ、電波ですよ?当然です。」

滝川「答えになってねーだろが!」

岩田「ちょっと、まともに反応してどうするんですか!そこはフフフ、なるほどねとか言いなさい!」

遠坂「フフフ、なるほどね。」

岩田「ノォォォォ。」
岩田は大きくのけぞって倒れた。ピクリとも動かない。

中村「・・・」

滝川「・・・」
二人の視線が遠坂に冷たく突き刺さる。

遠坂「な、なんですか。そんな目で見ないで下さい。僕は、ただ…あー、その。まいったな。…」

中村「岩田化か…」

滝川「ついにタイガーまで…」

遠坂「ち、違いますよ。ちょっとふざけただけです。信じてください。」
慌てて否定している時、岩田が起き上がった。

岩田「フフフ、まだまだですねぇ!」

中村「で、結局どうするんだ?」

岩田「ターゲットは山の麓の靴下研究所に保管されています。
あこはスキュラやミノッチの大型幻獣がでるので夏まで待ちたいのですが、他のハンター達も狙っているようです。
急がないといけません。」

遠坂「なるほど。すぐにでも襲撃したいということですね?」

岩田「フフフ、さすがタイガー。その通り!というわけで、
ロボは士魂号で周囲の幻獣と施設の守備を無力化して下さい。
その後、ワタシ達が施設に侵入します。」

中村「ということは、俺も?」

岩田「当然ですよ?内部には守備隊もいる筈です。頼みますよ。」

滝川「ちょっと待てよ。俺一人で幻獣と施設の守備を相手にしなけりゃいけないのか?
マジかよ。」

岩田「フフフ、問題ナッシング、出撃は小隊全員です。幻獣は仲間に任せてしまいなさい。」

滝川「わかった。」

岩田「施設に入った後は各自の判断で行動しましょう。
ターゲットを入手したら速やかに補給車に帰還して戦場から離脱します。
以上をイワッチ作戦と呼びます。何か疑問は?」

一同「…」

岩田「フフフ、無い様ですね?ではロボがパイロットになり次第、
もしくは1週間後決行ということで。」

中村「よしっ!」

遠坂「がんばりましょう!」

岩田「フフフ、イィですね。ではこれで解散です。」

滝川「ちょっと待て!一週間後にパイロットになっていなかったらどうするんだ?」

遠坂「それはもちろん…、」

中村「パイロット以外で戦闘といえば…、」

岩田「ズバリ!スカウトでがんばって下さい。」

滝川「ま、マジ?」

遠坂「当然でしょう。」

中村「自業自得だろ。」
二人とも冷たく見据える。
滝川「ムリだって!絶対ムリムリ!!」

岩田「フフフ、何がです?」

滝川「スカウトでミノやスキュラと戦うなんて出来ないって!」

岩田「フフフ、電波は賛成といってます。全く問題ありません。」

遠坂「ほら、バットもそう言ってますし、安心してください。」

滝川「できるかーっ!!」

岩田「フフフ、アレですね。非常にアレです。でもこれは決定事項ですよ。」

中村「ロボ、あきらめろ。」

岩田「フフフ、以上! 終わりぃ、終わりぃ!アアンフンフンー!」
そう言うと岩田達は去って行った。
滝川「…マジかよ…。」
残された滝川はそう呟くと重い足取りで帰路についた。
もう夜が明けようとしていた。




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