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黒木さんの受難〜えっそれって巨大すぎ〜
プルル・・・プルルッ・・・
ピリリリリッ・・・
私は、キーボードをたたく手を止めた。
このオフィスはいつもうるさい。だから私は仕事中、外の音を脳に届かないようにしている。だから、外部の、しかも一
番やかましい類の呼び出し音が、耳に届く、ということは・・・
「黒木さん、4番内線。課長から」
「最悪だ・・・」
私は、髪の毛をわしづかみにした。予感以上に悪い結果だよ・・・
「ハイ・・・黒木です・・・ハイ・・・はぁ・・・」
ガチャッ・・・
私は受話器を置いた。中身は予想通りの悪い結果だ。
(また、出向か・・・)
天を仰いだ。薄汚い天井が見えるだけだ。あ〜また建て直しのコンサルか・・・
この会社に入って4年。中小の会社のコンサルばかり引き受けてきて・・・何件目だろう。
半分くらいは成功させてきた気がするけど、半分くらいは失敗だった気がする。まぁ物分りのいい経営者ばっかりじゃな
いしね・・・
「広告会社か・・・ま、どんなもんでしょうね・・・」
課長から送られてきたメールを眺めると、また天を仰いだ。
チカッ・・・チラチラっ
(あ、あそこの蛍光灯、切れかけてるな・・・)
その後、訪問前日まで、私がその会社のことを思い出すことはなかった。
はぁ・・・?よりによってこんなところ?!
私はため息を吐いた。思いっきり吐いた。
中央線で山奥まで来て、さらに1時間に一本のバスに乗って、それでようやく到着する広告会社・・・
「これは、立地から攻めないとあかんな・・・」
私はメガネを直すと、敷地建屋を眺めた。暑苦しい日差しの降り注ぐ広大な農地・・・私には原っぱと同等にしか見えな
いが・・・の中に破れかけのフェンスで囲まれた敷地。その中にポツンと立つ、巨大冷凍倉庫と、そのわきにポッツンと 立つプレハブの小屋。
「ほんとに広告会社かよ・・・」
もう一回ため息を吐いた。メガネを直し、ブラウスの襟を正す。
ハァ・・・
それでもダメだ。もう一回ため息を吐いた。私はプレハブ小屋に向かって歩き始め・・・
ぇ・・・地震・・・!?
地面が揺れた。私は左右を見回した。真夏の暑苦しい日差しを浴びた田舎倉庫がグラグラと微振動している。
地震・・・!
左によろけた。薄汚れた門柱に「浦和広告」の真新しい手書きの字の看板。
その字がすぅっと暗くなる。日差しが消え、首筋に涼しい空気が流れる。
エッ・・・!
「黒木さんですね〜」
つむじの上から盛大なアニメ声で話し掛けられる。
エッ・・・エエッ・・・!振り返れば、
膝。
ひざ。
HIZA。
・・・膝だ。私の目の前、見上げたメガネの先には、膝がある。白い膝。
くっつき合った白い膝。
「エヘヘ。そんなに脚を眺めないでくださいよ〜」
脚をながめるなっつったって、他のものはみえねぇよ。
っていうか!と、いいますか。
私を見下ろす胸と顔。メガネの奥の大きな丸い瞳が私を見下ろしている。
(あぁ。あの胸とメガネが落下してきたら私は死ぬな。)
そんなことをフト思った。
女の子は大きかった。本当に大きかった。私の何倍だろう。電柱と背比べをしたら、電柱が負けるのはすぐにわかっ
た。
ここまででかいレースクィーン・・・って・・・。
少女はレースクィーンぽかった。少なくとも私の知っている中では、普通サイズの女性が身につけるレースクィーン衣装
を、ビックライトででっかくした様なモノを身に点けていた。
「すいません。黒木さ〜ん。・・・ほら、あかりちゃん、下ろして下ろして。」
男性の声が頭上彼方から届いた。
「はぁい。」
私が見上げる先で、少女がうなずく。そして、右手で肩口からなにかをつまむ。
「ちょ、ちょっといつも手のひらに載せてって言ってるじゃないか・・・」
「えへへ〜だってぇ」
この会話に、メガネの奥で私の瞼と眉はかなり歪んでいる。
少女のその手はゆっくりとこちらへ下りてきて・・・
ゴキィツ!
「!!」
私は首根っこを押さえかがみこんだ。見上げすぎだ・・・見上げすぎ。
しゃがんだ私の横に、八畳間ほどもありそうな手が降りてきた。スーツの裾をつままれた若い男性がエヘヘ・・・と笑いな
がら宙吊りになっている。
「よっと・・・」
彼は少女の指先から解放されると、スーツの襟をただしながら近づいてくる。
「あ、あのぉ・・・ダイジョウブですか・・・?」
「だ、ダイジョウブ。大丈夫です。」
私は、首根っこを押さえながらやっと立ち上がった。
「よかったぁ・・・私、こういうものでして・・・」彼は名刺を差し出した。
「あぁ・・・これはどうも。私も・・・」
彼のを受け取るより先に、私も名刺を差し出す。
右手の紙切れには、「(有)浦和広告 浦和 耕一」の文字。
「えっと、・・・黒木・・・さつきさんと、読めば・・・いいんですか?」
わざとらしくじぃっと名刺をじぃっと見つめると、のぞきこむように聞いてくる。
「そうです。さつき。よろしくお願いします。浦和社長。」
「あはは。社長って呼ばれるのは・・・慣れてないもんで・・・。まぁよろしくお願いします。」
黒髪の後頭部をかきながら、浦和は頭を下げる。私もちょっとだけ下げる。
「で・・・彼女なんですが・・・」
「あぁ・・・そうですね。ほら、あかりちゃん。自己紹介」
「わかってますってぇ」
「フグァッ!」
いきなり目の前の浦和が倒れた。
「・・・・・・」
白い巨大な板が、浦和を押し倒し、私の目の前で真夏の日差しを浴びて輝いている。そこには「浦和広告専属 西園あ
かり」と1000ポイント位のフォントで書かれていた。
「よろしくお願いします。さつきさん」
「・・・・・・」
私は見上げた。ニコリと微笑む巨大メガネレースクィーン。
・・・グギリ・・・
首が再度音を立てた。
「いやぁ・・・ホント、大丈夫ですか・・・」
「ええ・・・大丈夫。大丈夫。」
私は、ソファーに座りながら、首を濡れタオルで冷やしていた。向こうから浦和が、麦茶をグラスに入れ、盆に載せて運
んでくる。
「なかなか大変そうですね・・・彼女も」
「ええ・・・そうなんですよ」
私は、プレハブ小屋の窓から、巨大な四角い箱を眺めた。港にありがちな巨大冷凍倉庫と思われたソレは、彼女の控
え室らしかった。着替えてきます〜とかのたまって入っていったんだから、タブンそうなのだろう。
「食費も何倍も掛かりますしね。なかなか・・・。宣伝効果は大きいので、それなりに売り上げはあるのですが・・・いかん
せん、コストがかかりまして・・・」
「でしょうね。」
私は手元の資料をペラペラとめくった。
『弐万円堂・・・眼鏡制作費200万円』
『コスパ・・・日産向けレースクィーン衣装製作800万円
ヴァルキリア衣装製作1200万円』
『吉野家・・・ブタ丼大盛40人前 16800円』
『JRおよびりんかい線特別運賃・・・74万円』
『中地区住民組合・・・慰謝料 20万円』・・・
「これで・・・」私は目線を浦和に向ける。
「そうです。今日、彼女をイベントに差し向けるのに掛かった費用です。今日は朝からお台場で新車発表会と小説本フ
ァンオンリーイベントがありまして・・・。その販促に・・・。」
「・・・・・・厳しいですね」
最近、巨大な女性を広告や販促として使う、という話は、私もニュースで見たことがあった。日経ダイヤモンドでも新しい
広告ビジネスとして特集が組まれていた。
(しかし、ここまでお金が掛かるとは・・・そこまでする価値があるのかな・・・)
ズゥウウウン・・・!
「!!」ギシギシとプレハブがきしむ。パソコンの上からディスプレイが落ちそうになり、その大きなディスプレイを慌てて
浦和が抱きかかえる。
「着替え終わりましたぁ〜」
「ちょ、ちょっとあかりちゃん!
もっと静かにうごきなさいっていつも言ってるじゃないかぁ〜!」
ディスプレイ抱えたまま浦和が叫ぶ。まだCRTとは・・・ね。ホント厳しいのね。
「えへへ〜。だって暑いんですよ?外。」
窓から覗き込む瞳。うさぎのような格好をして、あかりがこの事務所を覗き込んでいる。
彼女は、花柄のノースリーブに白のロングスカート、白いサンダルの姿になっていた。
もっとも私がこの時点で見えたのは、たるんだノースリーブにちらつく、でっかい谷間だけだったけど。
「ど、どうもすいません」浦和が汗を拭きながらソファにかけなおす。
「いえ・・・。」
私は、窓の外にイッパイに広がる白い谷間の景色を眺めながら、
「コレは・・・たいした宣伝効果・・・というか・・・目を引きます・・・わ・・・たしかに・・・」
と、呟いた。
「そ、そうでしょう!そうなんですよ!」
浦和は机を両手でたたいて立ち上がり、メガネと腰がずれ落ちている私に向かって身を乗り出した。
「巨大少女は永遠のあこがれ、パラダイスなんですよ。このせちがらい社会。とくに男性はその包容力ある肢体に惹か
れるわけなんです!世間の大きさ、ソレに対する小さすぎる自分。そのギャップをうめ、すべてを包み込んでくれる巨大 な女の子。それはもう母親といっていい。現代に生きる第二のマリア・・・!それがわが浦和広告社の提供する、巨大女 性たちなのです!」
「は、はぁ・・・」右手・・・拳作ってるよ・・・おいおい。
「あ、これは失礼・・・ちょっと熱くなってしまったもので・・・」
「いえ・・・し、仕事に熱意のあるのはいいことですよ・・・」
「ね、ね、ねっ・・・熱意なんてもんじゃありません!あ、愛です!」
「・・・・・・」
こいつと飲みに行くのはやめよう。そう思った。
「うらちゃん、あたし、もう帰ってもいいですかぁ?」
声が外から響く。
「あっ・・・そうだね。うん。今日はもうあがっていいよ。」
「はぁい〜。お疲れ様でした〜。」
あかりが立ち上がり、ズシンズシンと敷地を歩いていく。
「よっと・・・」
「あっ・・・!」慌てて浦和が立ち上がる。慣れた手つきで拡声器を手に取り、窓を開け、
『こら〜ぁっ!フェンスまたいで出ちゃだめだって言ってるでしょぉ〜!』と叫んだ。
「えへへ〜もう遅いですよ〜だ。近道♪近道♪」
少女はフェンスを軽々と越え、のほほんと田園の中を歩いていく。
「はぁぁ・・・」
「こりゃ・・・近隣住民への慰謝料も必要ですわな・・・」
「そうなんですよ・・・」
さっきとは打って変わってグッタリとうな垂れた浦和が、ガクリとソファに腰を下ろす。
「で・・・彼女一人で年間いくらくらい維持費がかかるんですか・・・?」
私は麦茶に手を伸ばしながら彼に質問する。
「?一人・・?」キョトンした顔の彼を見ながら、私は麦茶に口をつける。
「うちの専属巨大少女は3人ですが・・・」
「ブブッ!!」
麦茶が噴出した。
「だ、だいじょぶですか。黒木さん」
「あぁっ・・・大丈夫、大丈夫ですから。」
私は、ハンカチでブラウスにこぼれた麦茶を拭いた。
(・・・そういえば、こいつさっき、「巨大女性たち」って言ってたもんな・・・。)
心配そうな浦和を私は笑顔でなだめたが、眉がひきつっているのは自分でもわかった。
「で・・・彼女たちは、いまどこに?」
麦茶を拭き終えると、私はメガネのずれているのを直し、浦和に質問した。
「えっと、大宮重工です。」
「大宮重工・・・?あそこは業務向け重電ばかりで一般消費者にアピールするような製品はやってないと思いました
が・・・」
「ええ。そうなんですけどね。うちもいろいろありまして。」
浦和は頭をかいた。
「近くですから、これから一緒にどうですか?私も見張りに行かなきゃならんものでして。」
(見張りねぇ・・・)
まぁさっきのあかりちゃんを見ればわかる気がした。
「わかりました。ぜひお供させてください。」
私は彼とともに白のライトバンに乗り込んだ。
で・・・これが彼女たちですか・・・
私はがっくりと肩を落とした。
大宮重工の新プラント建設現場ってことで大体想像は出来てたけど・・・これは圧巻ですな。
改めて黄色のヘルメットの先端を指先で触る。
私と浦和は、プラントが一望できる現場で一番高い建設物の屋上にいた。
まだ鉄骨がむき出しの建設現場。たえず建設機械が地面をたたく音が鳴り響く。
その殆ど中央。骨組だけの建物にいまにもせまらんとする
巨大少女。
あー。ゴジラだな。まるで。
しかし彼女が違うのは、破壊じゃなくて創作活動をしているところだ。
黄色いヘルメットをきちんと被り、プラモデルを組み立てるように指先で鉄骨を摘み、メガネの奥の目の焦点をじぃっと
凝らして、骨組を繋いでいく。
「ん・・・んんぅ」
「ハッハッハ。難しいだろおじょうちゃん。でっかくたって、簡単にできるもんじゃねぇ」
「は、はい。そ、そうですね」
豆のような鳶氏の親方に目の前で話しかけられても、彼女はうわのそらだ。焦点は鉄骨を繋ぐことに合わさったまま動
きもしない。
「あっ、きゃっ、きゃぁ!」
「あっ、ば、ばかっ娘ちゃん!」
指先が滑ったのか、鉄骨が親指と人差し指の間から抜け落ち、地面に落下した。
「ば、ばかやろぉ。おまえと違って俺らはしんじまうんだぞ!箸落とすみたいに落としやがって!」
「うっ・・・うう・・・ごめんなさい・・・」
彼女は涙目だ。私は横の浦和に話しかけた。
「あー・・・彼女、向いてないんじゃ・・・?」
「はぁ・・・」
浦和は黙ってため息だけつくと、拡声器を手に取った。
「すいません〜。みなさん。ほんと申し訳ありません。」
「あ、社長・・・」
涙を拭いながら少女は彼に視線を向けた。
「さゆりちゃん、ゆかりちゃんは?」
「えっと、お昼休みに・・・どっかいっちゃいました・・・」
「ど、どっかいっちゃいましたって・・・」
「しゃ、社長・・・」
「さゆりちゃん、なれていないのはわかるけど・・・とにかくがんばって」
「は、はい・・・」
少女はメガネを上にずらし、また涙を拭いた。
「が、がんばります・・・」
「うんうん・・・た、頼むよ・・・」
「はい・・・」
少女はきびすを返し、仕事に戻ったようだ。浦和もため息をつきながらこちらに体を向ける。
「なかなかまじめでいい子じゃないですか」
「はい。それだけが取り柄なんですが・・・」
『パッパァーン♪パパパパーン♪パパパーパパッパー♪』
突然Gメン75のOPテーマが流れ出した。
げ。こいつ着メロこんな曲なのか・・・。
と訝しげに思いつつ、浦和の顔を見ると、私とおんなじ顔をして携帯を見つめている。
『ラララーララララー♪ラララー』
「あの・・・出ないんですか?」
「分かります・・・?この着メロは・・・警察からなんですよ・・・」
浦和が自嘲気味にフフと笑い、私はぎょっとした。
「はいもしもし・・・はい。浦和です・・・。」
いきなりテンションが下がる。
「はい・・・申し訳ありません。ただいますぐ、すぐに!向かいますので・・・はい。」
ペコペコ。
「はい。はい。承知しております。ええ。それだけは・・・はい。はい」
ぴっ。
「はぁ・・・」
「どうしたんです?」
「いえ・・・ちょっと急ぎますので、道すがらお話します・・・ご一緒していただけますか。」
「ええ。もちろん。」
私たちは工事現場に背を向け、風がたたきつける中、踵を返して急ぎ足で歩き始める。
『パッパァーン♪パパパパーン♪パパパーパパッパー♪』
Gメン75・・・それが鳴り響き始めると同時に、後ろでは鉄骨が崩れる音が響いた。
「ゆかりちゃぁん。頼むから・・・頼むからー」
砂浜に浦和の拡声器の声が響く。
私は反射してじりじりと暑い砂の熱の大元を見上げようと、首を上げた。灼熱の真夏の太陽がそこにはあり、それを反
射してキラキラと輝く若いうなじ。
巨大すぎてうなじしか見えないし。
「ん?」
黒いサングラスをかけた女性がこちらを向きなおる。てか今ので太陽が隠れたし。
「ゆかりちゃん。そこだと地元の皆さんの邪魔になるんだよー。それに仕事はどうしたの?仕事は〜」
「なによ。あたしにあんな仕事をさせるうらちゃんが悪いんじゃない」
彼女はそう言ってまた太陽に顔を向けると、傍らの直径3M高さ5Mのグラスから直径4インチの配管で、サイダーを、
チュゥッと吸った。
・・・どこで買ったんだソレ。
「夏は海よ〜。暑苦しい仕事なんてマッピラ。」
「そ、そんなこといわないでさー。警察からも苦情が来てるんだよ〜」
「んもぅ。うるさいなぁ。」
女性がこちらを向いた。ハイビスカスたっぷりの真っ青なパレオにおそろいの柄のトップ。
まーあふれんばかりにはみ出そうだわ。
「なに?その人?」
ゆかりが私に視線を送る。
「今度御社のコンサルタントを務めることになりました黒木です」
私は勤めて笑顔でアッサリとアイサツした。むー慣れてきた慣れてきた。
「ふぅーん・・・」
また、チューッとサイダーを吸う。
なんだこのデカチチ女!でかいからってでかくなりやがって。
「ほら、ちゃんとアイサツしないか。だめじゃないかー」
「ふぅん。うらちゃん、そんなこといえる立場なワケ?」
「え?」
「ほらほらー」
「あ、ちょ、や、やめっ」
ゆかりは浦和の服の裾をつまんで持ち上げると、手足をばたつかせる彼をサイダーの上に持っていく。
「ほらほらー。サイダー漬けにしちゃうぞぉ。」
「だあっ、や、やめっ」
「降参していただけるのかしら?ねぇ。うふふ。」
左手でひじをつき、あごをささえ、右手で浦和をサイダーの上でぶらぶらさせながらクスクスと笑う。
うわーこわいわー。かわいそ、浦和。
「わ、わかった。降参する。降参しますぅ。」
「よろしい。」
ゆかりは浦和を砂浜に下ろした。空せきをしながら襟をただす浦和。
「いっつもこんな調子なんですか・・・?」
私は彼をひじでつつきながら露骨にいぶかる調子を出して聞いた。
「あー。んっんんっ。ま、そうでもありません。」
なんだ、その答えは。
「ね。頼むよ。こうして黒木さんもきてることだし。」
げ。あたしのせいかい。
「そうですよ。ゆかりさん。ここは社長のお顔を立てて。」
あーわたし、ひきつってるひきつってる。
「ふぅん。」ジュルッ、ジュルッジュルッ。サイダーがなくなってきたようだ。
「わかったよ。帰ってあげる。」
「ほぉっ・・・」
浦和が胸をなでおろす。胃がんで死ぬな。コイツ。まじで。
「さて、われわれも生きましょうか。」
「ん?」
「いやですねぇ。彼女たちにきちんとした教育をして、一人前にしてうちの会社が儲かるようにするのが黒木さんの仕事
じゃないですか。」
「・・・・・・」
セミの声が砂浜に鳴り響く。暑い太陽が照りつける。巨大少女がゆっくりと水着を着替える。
「こらー!ここで着替えたらまたわいせつ物陳列罪になっちゃうじゃないかー」
浦和の声が響く。
胃がんで死ぬな。わたし。まじで。
おしまい?
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