アルバトロスDIII

    Albatros D.III



     アルバトロス社の傑作飛行機は、翼端を斜めにカットしたこのD.IIIをもってアルバトロス(おおあほうどり)の名にふさわしい機体となった。地上でぶざまだかどうかはしらんが、流麗なフォルムで大空を飛翔する様はその名に恥じない。1917年に投入されて猛威を振るい、1年以上主力となった単座戦闘機である。
     フォッカー単葉機の劣勢に対応して、すでに1916年にD.IとII型が用意され、ハルバーシュタットD.IIともども制空戦に奮闘していたアルバトロス単座機であったが、より性能上の向上を目指すために、ライバルのニューポール・スカウトに倣って一葉半形式を導入、先進的なセミモノコックボディと相俟って外見的にも機動性能的にも成功した機体に生まれ変わった。その活躍のハイライトは登場早々の17年4月であろう。連合国をして「血の4月Bloody April」と自嘲せしめた同月だけで、イギリスを筆頭とする西側連合国は350機以上の損失を出した。かのリヒトホーフェンもこの4月中にD.IIIで21機のスコアを挙げている。
     なお、オーストリアのエーファク社でライセンス生産された機体がハプスブルク帝国軍で使用されており、これはエンジンをダイムラー製に換装してオリジナルより性能が向上している。

    ○アルバトロス飛行機製造会社Albatros Flugzeug Werke GmbH製、1917.1〜1918.4
    ●160馬力メルセデスDIIIa列型液冷エンジン1基、最高速度165km/h、上昇限度5160m、乗員1名、LMG08/15シュパンダウ7.92mm機銃2挺。

     モデルはロータール・ジークフリート・フライヘル・フォン・リヒトホーフェンLothar Siegfried Frhr. von Richthofenが1917年5月にアルバート・ボールと空戦中に衝突して結果的に失われた乗機推定である。推定というのは、もともとドイツ機の上翼はブラウンとグリーンの迷彩だったのが、同年4月の通達によりライラックとグリーンに変更されたのを反映したとするからだ。
     ロータールはもちろん、マンフレートという有名な兄をもつ。兄同様男爵位を有するユンカーであり、先に飛行機乗りになったマンフレートに倣って1915年に陸軍飛行隊に転籍した彼は、17年3月、兄の率いる第11駆逐戦闘中隊(Jagdstaffel略してJasta)に編入、9月には同部隊の指揮官となる(兄は第1駆逐戦闘団JG1司令に昇格)。空戦技術はマンフレートを凌ぐほどの腕を持っていたものの、やたらと被撃墜・負傷したため、戦果は彼の半分(しかし出撃回数はわずかに77回)であり、兄の戦死を知ったときも病院のベッドの上だった。
     このヒコーキバカ兄弟を見ているとなんとなくF1の靴屋兄弟を思い出してしまうが、そういや彼らもドイツ人だったな。
     1918年8月12日、撃墜されて重傷、後送中に休戦を迎える。
     ちなみに、ロータールやマンフレートの従兄弟であるヴォルフラム・フォン・リヒトホーフェンもまた戦闘機乗りで、Jasta11にあった。第3帝国時代には空軍高官であった彼とJu-87「スツーカ」の開発で論争を繰り広げた人物は、マンフレートに次ぐドイツのエース、エルンスト・ウデット(62機)である。

    ●休戦時階級中尉。公認戦果40機。1922年7月4日事故死。


     本当はブリストルF2bのほうを最初に組み始めたのだが、張線に怖じ気付いてアルバトロスを平行進行、結局先行してしまう。キットはペガサスの簡易インジェクション。ガレージなので結構高い。ペラ1枚の説明書はぜんぜんアテにならないから、わずかにしかない資料(モデルアート誌別冊)と首っ引きになる。とりあえず張線の張り筋だけは確認しておかないと、あとで泣きを見る。イギリス機のほうが地獄なんだが。ちなみにD.IIIのラジエータは翼の中央部にあるのが正解らしいのだが、めんどくさいのでこのままいく。後期には右側に移されたらしいし。インパネもまだないはずだが、構うものか。
     復帰第一作とて昔の根性で始めたので合わせ目の整形はなし。ヤスリ掛けだけ。それでも小物はあらかじめ塗装しておく。少しは進歩したか。上下の翼も内側になる部分を先に塗っておく。胴体は実機がニス掛け合板まんまなので、その雰囲気重視でバフ(パクトラタミヤ、って今は云わないのか?)を下塗りにクリアオレンジを塗り重ねる。アクリル系塗料と云うこともあっててきとーにべたつかせたが、本物はなめらかに仕上げてるはずだ。あとは組んでから塗ればいい。塗装後に下翼上面と上翼下面の張線位置にピンバイスで穴をあけておく。今回は0.3ミリピアノ線を使ったので、ほとんど意味がなかったけれども。胴体にも開ける。
     さて、ここからが難儀なところで、まるで役に立たないへこみに、ぐにょぐにょで長さもてんでばらばらな支柱(いちおうメタル製なのだが、却って変型しやすい)をくっつけて、おまけに重い上翼をのっけなきゃならん。瞬間接着剤と補助器具で固定しながら順を追って作業となる。はっきり云ってこんときが一番泣きたくなったよ。両翼が固着してから、車輪くっつけるときもね。
     それからお待ちかねの張線張りである。といっても今回は手抜きだから、長さ合わせに手間がかかったくらい。瞬間接着剤使いすぎ。アルバトロスの特徴であるむき出しエンジンのラジエータパイプは、付属のプラ棒からテンプレートで切り出し指定だったが、めんどうなので0.8ミリ径の真鍮線から加工する。奥側のパイプは再現していない。
     最後にデカールを貼って、仕上げ塗装。エアブラシは使わない主義なので(なんたってお気楽低予算モデラーだからね)重ね塗りを基本に。いずれにしろデカールが黄ばんでいるので、貼った後に周辺の塗り直しが必要になってしまう。胴体と垂直尾翼のアイゼルネス・クロイツが見にくいのは、ロータールの乗機が赤塗装を上塗りしているため。墨入れはあまりする場所がないが、ウエザリングともども墨汁で大雑把にやっつける。細部はほとんど口ならぬ手からでまかせである。


    胴体の塗装。本当は全体をバフで下塗りしておいた方がいい。コクピット周りには何もない。

    風防は透明容器からの切り出し、シートベルトに至っては紙切れ。よく見えないが胴体後部は赤塗装である。

    主翼片側で10本、足周り2本、ほかに方向舵4本。これでも少ないほうだから厭になる。
INDEXへ戻る 写真はすべてExa I + Makro Kilar E 3,5/40による

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