アルバトロスD.V

    Albatros D.V



     傑作アルバトロスシリーズの最終機。1916年に投入されたアルバトロス単座機は、瞬く間に空の王者となって連合軍飛行隊を苦しめたが、スパッドやトライプレーンの登場によりその優位は揺らぐ。このシーソーゲームに対してD.IIIより高性能な機体の開発が急がれたが、機体を再設計したD.IVは失敗に終わってしまう。そのためエンジン出力はそのままにD.IIIの機体を軽くしたD.Vが投入され、これはD.IIIを上回る性能を発揮したが、軽くなった分強度不足を露呈して、下翼の脱落など深刻な問題が発生するようになってしまった。このため各部を補強されたものがD.Vaである。重量が増加したために結果的にD.III並みの性能に落ちついてしまい、フォッカーD.VIIが投入されると徐々に第一線を引いていった。それでも圧倒的な数の劣勢から、戦後まで老残の身を晒す羽目となる。結局、アルバトロス単座機はD.IIIで完成型を見、終戦までそこから飛躍できなかったということだ。戦後もいくつかの機体が、赤色革命軍相手に戦いを交えている。

    ○アルバトロス飛行機製造会社Albatros Flugzeug Werke GmbH製、1917.7〜1918.4
    ●160馬力メルセデスDIII列型液冷エンジン1基、最高速度175km/h、実用限界高度5300m、乗員1名、LMG08/15 7,92mmシュパンダウ機銃2挺。

     モデルはマンフレート・アルプレヒト・フライヘル・フォン・リヒトホーフェンManfred Albrecht Frhr. von Richthofenが、第1駆逐戦闘集団(JG1、通称リヒトホーフェン・サーカス)を率い始めた頃、1917年夏頃の乗機。普通リヒトホーフェンと云えばレッド・バロンの通称のように全身真っ赤なフォッカー三葉機となるのだろうが、有名な425/17での戦果は2機だけで、逆に1回撃墜されている。かの機体が有名なのは、それが最後の乗機だったからだ。個人マーキングとして多用された赤は、このアルバトロスのように胴体か翼だけに塗られていたことが多かった。赤色はのちにJasta11(マンフレートが最初に率いた駆逐中隊であり、彼のあとを継いだのが実弟ロータールであるのは前に記したとおり)の部隊マーキングになる。彼は確かに格闘性能に優れたフォッカー三葉機も好んでいたようだが(事実何機か使用していた)、その戦果のうち60機余りはアルバトロスシリーズ(D.II, III, V)で挙げられており、残りがフォッカー三葉機である。
     マンフレートは地上では貴族らしい(彼はれっきとした男爵位を有する)立ち居振る舞いをしていたと云われる。しかし、写真で見る顔つきから想像されるように、空での彼は間違いなく残忍で狡猾であった。相手を挑発、撹乱させ、引きつけて葬り去る手法はもちろん、撃墜機から戦利品を略奪するなどの行動も含めて、彼こそは大空の狩人、赤い悪魔Diable Rougeだったと云える。

    ●最終階級騎兵大尉。公認戦果80機。1918年4月21日低空飛行中に戦死。英側公式記録ではブラウン大尉の10機目の戦果となるが、目撃者の証言からすると塹壕からの機銃弾に斃れた可能性が高い。


     キットはおなじみエアフィクス。かの老舗も500円ぽっきりで投げ売りされる時代になってしまった。いまだに入荷するとは云え、金型は半世紀も前のものだから、あちこちが甘い。モールドは凸成形で、今となっては厄介なだけ。コクピット周りも例によってなんもないので、やむなく座席とインパネもどきだけ工作しておく。といってもプラ板を切り張りしただけの、ものすごーく簡単かついい加減な工作である。まあ、色塗っちゃえばよくわかんねえってばさ。ちなみに毎回自作している風防は、ちゃんとした透明プラ板を買ってきているのではなく、模型工具などが入っているあのプラスチックケースをぶったぎって作っており、曲面はあっついお茶を淹れた湯飲みに押しつけて整形する。この通り、使おうと思えばなんでも使えるものだ。
     キットの各部材は泣けてくるほど貧弱な機銃を含めて、やけくそでなんとか使える程度なんだが、プロペラだけはどうしようもないくらいに劣悪だったので、スピナーを残してばっさり切り落とし、ローデンからぱちってきたプロペラに被せる。足りない部分はパテで補充し、あとで筋彫りを入れてやれば良い。仕上がりを見るとやや短かったかもしれないから、今度やる機会があったらハブから切り離して合成するのが吉。主翼ラジエータのモールドも甘すぎるのだがそのまま使う。ただし下面はのっぺらぼうなので、プラ板でラジエータっぽく成形したものを追加する。成形ったって筋彫り入れただけなんだが。ラジエータパイプは0.8ミリ黄銅線。2分割されている水平尾翼は胴体に合わせたあと整形してしまう。仕上がりを見るとちょっと(かなり?)いい加減。
     塗装については、垂直尾翼周り以外に面倒なところはなにひとつない。垂直安定板はバフのいつもの下地にクリアオレンジ。プロペラブレードや尾橇も莫迦の一つ覚えのようにクリアオレンジ仕上げ。5色ローゼンジパターンのラダーは描くのがめんどくさいので、ローデンの余りデカールを流用するつもりだったが、切り抜く方がめんどくさかったので結局手描き。実際それもかなりめんどくさいのだが。ローデンのキットはできがいい上に、パーツやデカールが余分に入っていることが多いので、いざというときに重宝するだろう。
     張線も相変わらず0.3ミリピアノ線。D.IIIと張り方は大体同じで、違うのはエルロン策動索がない点。本当はクランクを作ってやらねばならない。というのも、このエアフィクスのキットはもともとD.Vaなのである。今回エレベータの操縦索は省略した。なんだかだんだんいい加減になってきているな。


    通過儀礼のような椅子作り。風防もだ。ラジエータのモールドが甘いのが判る。

    左)ローデンのプロペラをつけ、これにスピナーを被せて整形する。
    右)尾翼のローゼンジパターン。手描きだ。


    上翼下面のラジエータはプラ板。本当はもう1本パイプが要る。プロペラのマークはアクシャル。
INDEXへ戻る 写真はすべてContarex super + Distagon 4/35による

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