ニューポール16

    Nieuport 16 C1



    「フォッカーの懲罰」に対する連合軍の救世主とも云える、ニューポール・ベベ(11)のエンジンをパワーアップさせ、速度の向上を図った機体。エンジンには9Jまたは9Z(120馬力)が使用されている。また、対気球用焼夷弾ル・プリエール・ロケットを、翼間支柱に装備できるようになっている。もともと考慮されたものではないので操縦性能は極端に悪化したが、一撃で気球を撃墜できるロケット(ただし命中精度は劣悪)はバッキンガム焼夷弾が実戦化されるまで、本機を中心にしばしば用いられた。
     連合国機にはおなじみのルイス航空機銃は、例によって主翼の上にあり、固定銃座だったので弾倉交換時には立ち上がらなくてはならず、そのため遠隔操縦用の把手が翼面についている。のちに採用されたフォスター銃架に装着されたルイス機銃は操縦席まで下ろすことができ、ドラムの交換が楽になったほか、上方に向けて射撃することができた。
     16型は11型と合わせて1200機以上が生産され、イタリア(マッキ社)やロシアでもライセンス生産されている。総数は恐らく2000機を超えるだろう。

    ○ニューポール製作株式会社Societe Anonyme des Etablissements Nieuport製、1916.3〜1917.4
    ●110馬力ル・ローン9J星型回転式空冷エンジン1基、最高速度165km/h、実用限界高度4500m、乗員1名、7.7mmルイス航空機銃1挺

     モデルはアルバート・ボールAlbert BallのRFC Sqn.11時代の乗機。ボールのニューポールといえばこのあとの機番A201、それに213が有名である。A134では僅かに2機のスコアを挙げているに過ぎないし(16年7月)、ロケット花火の親分のようなル・プリエール・ロケットでの気球攻撃は失敗に終わっている。
     弱冠20歳にしてフランスの空に散った大空の騎士、ボールの伝説は多くを語るまでもない。臆病な敵機を追いかけて挑戦状をばらまき、返り討ちに待ち構えていたドイツ機6機を煙に巻いた一件などに、彼の熱血漢ぶりを見ることもできる。しかし彼はまた、戦争と殺戮を毛嫌いしていた節があり、不幸にしてただ軍人として任務を遂行する能力に人一倍長けていただけだったのだ。
     アルバートの最期は今もって謎に包まれている。ドイツ側の記録ではロータール・フォン・リヒトホーフェンの乗機と衝突、墜落したことになっており、一方、機尾を破損した機体が雲間からまっ逆さまに落下してきたという、目撃証言もある。機体に弾痕はなく、身体にも機銃弾は当たっていなかったらしい。彼の遺体はドイツ軍に栄誉礼をもって葬られ、死後、本国はビクトリア十字章を追贈した。
     1999年、ボールが墜死したアヌーラン地区の小学校が、彼の名前を冠して開校することになった。フランスの学校でイギリス人の名前を頂くのは、これが最初となる。

    ●最終階級大尉。公認戦果44機。1917年5月7日戦死。


     これはモスクワのメーカーEASTERN EXPRESSのキットだが、トーコーTOKO(キエフのメーカー)の再販と思われる。ランナーにTOKOのタグがついたままなのだ。実はTOKOのキットも持っていて、両者を比べてみるとイースタンのほうは取説が簡略化されている(塗装パターンが1種類しかない)ほか、パッケージ下箱がジーメンス・シュケルトの上箱をひっくり返して再利用してるくらいのいい加減さ。トーコー自体、ローデンの再販、または同系列の匂いがするので、この辺がソ連、じゃなかったロシア流儀なんだろうと思う。今回のボールの機体は、トーコーの取説を元に作成している。
     ローデン一族のキットは、ほかがメタルパーツやエッチングでやるところをむりやりプラスチックで成型するのが特徴で、機銃の放熱筒のモールドもよくできてるし、フットペダルまで用意してしまうから恐れ入る。それでもいくつかのヌケがあるのでこれをフォローする。まずはエレベータ操縦索用に機体側面と水平安定版に穴をあける。後者は図面を見ると斜めに長細くあけられているので、手持ちのいい加減な道具では難儀した。クランクには0.8ミリ黄銅線(ちょっと太すぎたようだ)を突っ込んでおき、ラダー操縦索のほうはピアノ線を折り曲げたものでクランクともども代用してしまう。コクピット回りはそのままでも基本的に問題ないが、正面、風防が潰されているのをカットして透明板をはめておく。これだけでもだいぶ雰囲気が変わる。やはりすっぽ抜けている計器類はそれらしく、正面に黄銅線を張ってその上に円盤(メーター)を貼り付ける。そのほか遠隔操縦用の延長ロッドを黄銅線で自作。この最後の工作は、上翼を取り付けた後のほうが位置決めしやすい。
     ルイス機銃は通常の銃架に乗っているのだが、この銃架がまたいい加減なランナーにくっついているので、簡単に折れてしまう。とゆうことで半分近くを0.3mmピアノ線と0.6mm黄銅線で自作してある。ル・プリエール・ロケットについてもやわなことには変わりなく、熱したカッターで慎重に切り離さないと折れてしまう。実機では翼間支柱に支持板が取り付けられているが、これは省略した。しかし補強具が邪魔ででこぼこしているので、パテか何かで平面に均した方が良かったかもしれない。
     塗装はトーコーの図に基づくが、下面はオスプレイのニューポール17を参考にベージュで仕上げている。デカールも指定通り。ただし、尾翼のトリコロールは塗装で、シリアルもトーコーのものに変えた。プロペラは今回フラットアースのべた塗りだけに留めた。張線は小柄なニューポールには不釣り合いかもと思いつついつも通りのピアノ線で、エレベータの操縦索だけ0.2ミリ白金線を使っている。


    座席、操縦桿、フットペダルにエンジンの細やかさ。ランナーから切り出すのに神経使う。

    よく見ると判るが、風防は透明板で作り直してある。翼間支柱につけられたロケット花火の化け物がル・プリエール・ロケット。

    上面のプロフィール。
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