ジェフティは封筒を受け取ると、それを頭の上に掲げライトで透かす。
「カードが入ってるな・・・・・・・・・・」
封を破ると、中から2枚のカードとメモのような紙が入っていた。それには速記で、
”この2枚のカードを下記の人物のもとへ届けて欲しい。報酬は、その方から受け取ってくれ。同行者は2人までにしろ。 ベルセンゲルムC地区・ホテル『シュナイツ』1035号室”
「カードの郵送か・・・・・・」
「ジェフティ、このメモから推理をしてみろ」
キーバリックが後ろから、楽しむような声で話し掛ける。
「その人物とやらにカードを郵送で送らないのは、その人物の周りが、かなり危険だからだ。さらに
このカードの送り主は、現在危険な状態に晒され、しかも頭がきれる奴だ。」
「根拠は?」
「第一に、このカードは恐らく人口的に作られたものだ。モンスターの覇気(オーラ)を感じない。第二に、人口カードが作れる技術を持つ企業は現在、火星大規模企業・海馬コーポレーションだけだ。
そんな会社が、デュエリストにカードの郵送を頼むのは、郵送中に強奪されるのを予測できるほど、
危険な状態にあるからだ。第三に、まだCランクの俺にそんな重要なカードの郵送を頼むのは、
Aクラスのような上級レベルのデュエリストを郵送に使うという相手の予想の裏を掻く為だな。」
「上出来だ。」
マスターは、満足げに笑っている。クリスも、感心しているのか微笑していた。
「しかし、その場所がベルセンゲルムだからな。しかも、危険地帯とされるC地区だ・・・・・クリス、
一緒に来てくれないか?」
「いいぜ。」
「心強いよ。マスターも頼めるかな?」
「俺は店の運営だ。お断りするよ」
ギッと椅子の軋む音で、クリスが立ち上がりながら言った。
「それじゃあジェフティ、今日はもう遅い。明日、朝7時にこのバーの前で会おう。」
クリスは、財布から12チェイス取り出して「また来るよ、マスター」
と言って、愛想よくバーを出て行く。
「んじゃ、お前も早めに寝て来い。二階の306号室だ。」
ジェフティは危なっかし足取りで、部屋の鍵を開けベットに倒れこんだ。
2分もすると、酔いが回ったのか寝てしまった。外では、静かな風が葉を揺らしている。
しかし、床をギシギシと軋ませながら迫り来る敵に、ジェフティは気付いていなかった。
敵は、その半開きになった扉を押して中に滑り込む。キョロキョロと部屋を見渡し、
中に進む。そして、封筒を見つけた。鷲掴みにし揺すってみるが、出てきたのはメモだけ。
「お探し物はこれかい?」
敵が振り向いた視線の先には、手にあの2枚のカードを持っているジェフティがいた。
「あんまり、ランクが高いデュエリストじゃないみてえだな。暗殺依頼のときは、もっと
音殺して歩け。常識だ。」
二人の対決を、外のゆらぐ葉だけが風の奏でる構想曲を聴きながら見ていた。
続く
地方辞典
ベルセンゲルム・・・過去に、超危険生物、青眼の白龍が出没し、それを倒した伝説のデュエリスト・エデンの故郷である。デュエリストなら誰でも知る場所で、ここには今でも危険生物が他の地域よりかなり高い確率で出没する。その為、以前の様な町並みは消え、ゴーストタウンと化している。