「久しぶりだな…」

振り向く彼の瞳が……どのような光を宿しているのか、気がかりだった。願わくば…

彼が振り向く。



彼との出会い。
その頃、私は柄にもなく少々自分を見失いかけていた。

人間との戦い、そして唯一残ったヴァンパイア――異種。人間を恨む気持ちなどない。むしろ異種を恐れるあまり、人間を凌駕する我々を、結果的に滅亡させかけた彼らの力と執念は尊敬に値する。正直、面白い。そしてなお、私をも狩る為攻撃してくる彼らは私のいい遊び相手であった。永い時の中で。

が、少々退屈だ。私にとっては遊びとはいえ心から楽しませてくれる者は滅多にいない。血液を得る為に組織は作ったがほとんど興味はない。
退屈だ。それなりにも楽しめないとは。


私を狩りに来る退屈な遊び相手。そのうちの一人だと思った。いつもの。
だが彼は違った。見かけは人間だが…全く持って別のモノだ。

真実の答えは返ってこないであろう。しかし尋ねた。
「―――君は何者だ?」
「―――バケモンさ…」

蔑み自嘲めいた暗い光を宿した瞳とその答え。

そして、私の中にあったある感情を知る。
気づけば彼の頬に手をのばしていた。

「……淋しいな。」頬に触れた手を彼は拒絶しない。
「……ねぇよ。」

「私は淋しいよ。」彼が私を見つめる。私の中に自分を見たのか…。何かを見たようなそんな表情だ。

「慰めてくれんかね。」
彼を軽く抱き寄せ抱きしめる。
彼は抵抗せず身体の力を抜いていた。瞳を閉じ、その身体を、委ねる様に。

彼の身体を抱きしめ、着衣を脱がす。彼は黙って私の好きにさせている。触れる指を決して拒まない。身体を横にした時、
彼の前髪が流れ額を見た。――目に入った赤い紋章。

触れる度に彼の息が上がるのがわかる。そして必死に声を抑えている。乱れる姿が見たくなる。

「…ひ…っ、あっ…!」
繋がり揺さぶる。それでも声を揚げるのを拒み、自分の手を噛んででも阻止しようとする彼を更に追い詰め攻め上げる。喘ぐ彼に喜びと優越感を感じる―――その時、首筋に痛みを感じた。

彼は牙に唇に私の血をつけて、笑った。獣のようだ。とても美しい獣。
堪らなくなり口付ける。彼は私の髪を掴み、それに応えた。


事が済み、眠る彼を見る。彼の額にある紋章――あれは確か―。
「――…元は人間か。」


「―――バケモンさ…」蔑み自嘲めいた暗い光を宿した哀しい瞳と答え。


「次は狩る。」彼は、すぐに去っていった。どことなく、何か張っていた糸が切れたように、落ち着いた感じであった。瞳に宿るもあの暗い光ではなく――ただ、…哀しい瞳だ。だが強い意志を持った。


そして時は流れ――
私はシャロンと出逢う。
孤独ではなくなった。

だが

彼はどうなのだろう。



彼が振り向く。

強い意志を持った――哀しくも心強い瞳。

君も出逢えたのか。



願わくば…その人が君の時間をも止めてくれることを

願う。◆◆◆

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