『ともだち』
買い物帰り、近くの公園を通り抜ける
さすがにこの季節には人影もまばらだ
無人のブランコが風に揺れている
「何もこの寒い時期にブランコに乗ることはないでしょう?」
ふいに、あの日のことを思い出した
「あぅ〜、寒いのは関係ないじゃないのよぅ」
あの子とここで遊んだのは、やはりこんな冷たい風が吹く日だった
「もう、しょうがないですね、少しだけですよ?」
「うんっ、それで、どうやって遊ぶの?」
「ええ?知らないで遊びたいと言ったんですか?」
「だって遊びたいんだもん」
「……(やれやれ、ですね)」
あの子はすぐにコツをつかんで際限なく漕ぎ続けた
「ちょ、ちょっ、そんなに大きく漕ぐと見えてしまいますよっ」
「わーい、みーしーおーっ」
まるで聞いてはいない
けど、とても楽しそうだった
楽しそうなあの子を見ていると私も嬉しくなった
あの子が幸せだったから、私も幸せだったのだ
今はそう思える
決して忘れることのない思い出がここにある
大好きなともだちがここにいる……