第二話 IMPATIENT
〜伝えられない想い〜
(注)ここから響介の視点は無くなります。響介の行動は普通の小説のような視点で描かれます
7月15日
3時限目 現代国語
響介 「まあ、そういうことで、君達は受験生だから息抜きもほどほどにして勉強するように」
今日の先生は何かが違っていた。普段は言わないようなことを言う
響介 「そう入ってもねぇ、遊びたいときは遊びたいしな・・・まあ、一言で言えば自分との戦いだな。人ってやっぱり楽なほうに流れていくし・・・」
先生も・・・先生もそうなんですか?
響介 「自分の心の誘惑に負けないっていうのが大切・・・・・・かな」
?? 「ZZZZZZZZZ・・・・・・」
三上さん・・・寝てるし・・・
響介 「ま、まあ夏休みも間近だから多少の息抜きは大事かと・・・・・・」
智也 「ZZZZZZZZ・・・・・・」
さっきよりいびきが大きくなってる・・・・・・今坂さんも『ダメだこりゃ』といった感じで額に手を当てている
響介 「・・・・・・まあ、テストも終わって疲れてるということも・・・・・・・・・・・・」
先生はピクピクしている
しかしそこに
智也 「むにゃ・・・・・・もう食えないよ・・・・・・」
とどめの一撃
響介 「・・・・・・三上っ!お前いい加減にしろっ!!!!」
昼休み 屋上
智也 「ううーーーーー神津め・・・国語辞典で思いっきりどつきやがって・・・・・・」
駿 「だけどあれはお前が悪い」
智也 「・・・・・・」
かおる 「先生も我慢強いよね。だって三上クン授業始まって5分と立たないうちに眠っちゃうんだもんね」
智也 「そんなに酷かったか、駿?」
駿 「ん・・・ああ、あんなにすごいヤツは始めてみた」
智也 「そうか?うーーーん・・・・・・あれ、そう言えば唯笑は?」
かおる 「さっき双海さんとどこか行っちゃったよ」
智也 「双海と?ふーーーん」
同時刻 職員室前
詩音 「・・・しかし今坂さん、この作戦はあまりにも・・・・・・」
唯笑 「いいじゃんいいじゃん、積極的にいかないと誰か他の人が取っちゃうよ?」
巴 「そうそう、何も大声で告白しろ何て言ってないしさ・・・」
詩音 「ですが・・・・・・」
唯笑 「でも、積極的に行動しないと何も進展しないよ?」
詩音 「ですが・・・・・・・・・・・・」
やばい
今坂さんの作戦は、昼休みに食事を取っている先生をデートなり食事なりに誘ってみろということらしい
でも・・・
詩音 「そんなのあらか様に怪しいですよ。確かに動かないと進展しませんが・・・」
響介 「動かないと何も進展はしない。たとえそれが後退になっても、それは一時的なものに過ぎず、いつかは進展に結びつく・・・」
詩音 「−−っ!!」
唯笑 「せ、先生!!」
まずい、聞かれたかも
巴 「え・・・と・・・いつからそこに・・・」
響介 「つい十秒前だ。恋の話なら職員室の前でする必要はないだろう?でも、アドバイスとしては『恐れず進め。人は歩みを止めたらなかなかそこから動けないんだから』だ」
詩音 「は?」
響介 「昨今の高校生って恋に奥手だね。おせっかいかもしれないが頑張れよ、双海・・・」
そう言うと先生はどこかへ行ってしまった
唯笑 「・・・・・・ばれなかったけど・・・」
巴 「これはヤバイわね・・・カンペキに勘違いしてるわ。こりゃ強敵ね」
40分後 千羽谷 cubic cafe
テンチョー 「いらっしゃい・・・ってああ、君か。仕事は・・・・・・サボリ?」
響介 「違いますよ、出張です。こっちのほうなんでね。で、昼はここでいただこうと思いまして」
テンチョー 「ふーーん、ランチの時間には少し遅いけど・・・何にする?」
響介 「いつものでお願いしますよ」
テンチョー 「はいはい・・・・・・和食風のDランチね・・・・・・」
響介はテーブルに腰を下ろした
テンチョー 「しかし・・・君も随分と落ちついてるね。だって君・・・・・・」
響介 「テンチョー、そんな暗くなるようなこと言わないで下さいよ・・・・・・」
テンチョー 「はは・・・ごめんごめん」
テンチョーはそう言うと奥に引っ込んだ
響介は周りを見まわした
昼飯時には少し遅いからだろうか、人がいない
響介 「・・・時は残酷にも過ぎていく・・・時間は記憶を薄れさせていく・・・・・・想いでなんて、いつかは色あせるものか・・・・・・」
学校にいるときはこんなことをつぶやいたりしないけど、一人のときなどは彼はこんなことをつぶやく
テンチョー 「そうだね。時は残酷だ。だけど、その時間、それから死。時間と死だけがすべての人間に平等で、この世で優いつ絶対的なものだからね」
響介 「ん、テンチョー・・・」
テンチョー 「はい、Dランチね」
響介 「ああ、どうも・・・・・・」
テンチョー 「ところでさ、僕らが使ってる数字ってアラビア数字って呼ぶだろ?」
響介 「・・・ええ・・・・・・」
響介は食べながら答えた
テンチョー 「でもアラビア人って使ってないらしいんだよ、それ」
響介 「そうですね」
テンチョー 「あれ、何でだろう?君なら分かるんじゃないかな?」
響介 「テンチョーはその答えを知ってるんですか?」
テンチョー 「いや、知らないよ。知らないから聞いているんだよ」
このようにテンチョーはいろいろな疑問を響介に投げかけてくる。その疑問の答えをテンチョーは最初から知っていることもあるので、響介は答えを出す前にテンチョーに確認する。どうも今回は答えを知らないらしい
響介 「んーーーー、それはヨーロッパ人の勘違いでしょうね。アラビア数字って実際に発明したのはインド人らしいですし。」
テンチョー 「え、インド?ふーーーん、また行ってみたくなったよ、インドに」
響介 「俺の元教え子が行ってみたいと言ってましたね・・・・・・・・・で、話を戻すと、インドとアラビアの間の貿易で使われているうちにアラビアに伝わったんですね。で、今度はそれがアラビアとヨーロッパの貿易で使われたんですけど、それをヨーロッパ人がアラビアで考案された文字だと思ったんですね」
テンチョー 「なるほど・・・相変わらず博識だね」
響介 「そうですか?」
テンチョー 「まあね、ところで・・・さっき何か独り言を呟いてたけど・・・・・・何か悩みでも?」
響介 「・・・・・・誰にだって悩みの1つや2つありますよ・・・・・・」
テンチョー 「・・・・・・・でも・・・・・・すごく思い悩んでいたよ」
響介 「・・・・・・・・・・・・想い出について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
詩音 「・・・・・・というわけなんですよ・・・」
鷹乃 「そ、そんなこと私に言われてもねぇ・・・」
香菜 「双海さん、鷹乃先輩に恋愛相談はどうかと・・・」
私は今、学校が終わって親友の鷹乃さんの家にいる
今日もあまり人はいないようで、店の中は静かである
鷹乃 「まあ、ちょっとはアドバイスというかね・・・・・・あなた、その先生とどうなりたいの?」
詩音 「え?」
鷹乃 「結婚したいの?付き合いたいの?どうなの?何がしたいのよ?」
詩音 「・・・・・・」
鷹乃 「それに、あなたは生徒、あなたの好きな人は先生よ、そのことはわかっているの?」
詩音 「・・・・・・」
後ろで何となくガラガラっと音がしたような気がするけど・・・まっいっか
鷹乃 「ま、私は経験無いけど、恋は盲目って言うしね・・・」
香菜 「双海さん、やっぱり積極的に動かないと・・・」
鷹乃 「そうね、『当たって粉砕』って言うことわざがあるしね・・・」
?? 「正確には『当たって砕けろ』だ」
鷹乃 「そうそう、当たって・・・・って・・・・いらっしゃいませ」
お客さんか・・・・・・
はて、さっきの声は何処かで聞いたことが・・・・・・
響介 「すまないが予約していた本が入荷したということを店主から聞いたので取りに来ました。神津ですが・・・・・・」
え?
鷹乃 「えーーと、神津響介さんですね。えーーーーーと・・・・・・・・・・・・あ、これですね」
え?え?
響介 「どうも・・・・・・」
鷹乃 「2600円です」
私はぐるりと客のほうを向いた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
響介 「ん、双海・・・奇遇だな」
やっぱり・・・・・・
鷹乃 「あら、詩音の知り合い?」
詩音 「えーーーと、私の学校の先生・・・・・・です」
その一言と私のうろたえぶりで鷹乃さんと香菜さんは勘付いたようだ
響介 「君もよくここに来るのか?」
詩音 「え、ええ・・・結構・・・・・・その割には出会ったこと無いですね・・・はは・・・」
響介 「まあ、たいてい俺は店主がいるときに来て少し話でもして帰るからな・・・君はそこのお嬢さんがいるときによく来るんだろう?」
詩音 「まあ、そうですね・・・」
えーーーと何を言ったら良いんだろう?えーーと
響介 「あ、清算は少し待ってください、もうしばらく店内を見て何か面白い本が無いか見ますから・・・」
そう言うと先生は洋書の棚に向かっていった
鷹乃さんが耳元でささやいた
鷹乃 「驚いたわ・・・・・・まさかあの人があなたの好きなひとだなんて・・・」
詩音 「鷹乃さん、あの人の事知ってるんですか?」
鷹乃 「知ってるも何も、この店の収入の8割はあなたとあの先生のおかげなのよ・・・」
詩音 「は、はぁ・・・・・・・・・」
鷹乃 「似たものなのね・・・・・・何となくあなたが好きになったのわかるわ・・・」
しばらくすると先生は1冊の本を持って帰ってきた
響介 「じゃあ、これと一緒に清算頼みます」
鷹乃 「は、はい・・・・・・」
意外だった
私は先生は遠い存在と思っていた
でも意外と近いz存在だったかもしれない
鷹乃 「あ、そうだ、すいませんが詩音を家まで送ってあげてください」
響介 「え?」
詩音 「へ?」
鷹乃 「暗くなりかけてますし、やっぱり女の子の一人歩きはあぶないでしょう?」
響介 「ん、ま、まあ、そうだが・・・」
詩音 (ちょ、ちょっと鷹乃さん、何を言ってるんですか!!!!!!!)
響介 「双海、どうする?」
詩音 「え、あ、じゃあ、・・・・そうですね」
意味不明だ
鷹乃 「じゃあ、よろしくお願いします・・・あっ、変なことしちゃダメですから」
響介 「は?」
鷹乃 「独り言です」
鷹乃さんはにこにこしている、楽しそうだ
響介 「ん・・・まあ、よくわからんけど・・・行くか、双海?」
詩音 「は、はい・・・・」
こうして私の長い(?)数時間が始まった
店をでて私は先生とゆっくり歩き出した
傍から見るとやっぱりカップルに見えるのだろうか?
響介 「なあ、双海」
5分くらい歩いて先生は私に話し掛けてきた
詩音 「は、はい、何ですか?」
響介 「君に言わないといけない事があるんだが・・・・・・」
詩音 「え?」
まさか、愛の告白!?
私の心臓がドクドクと鼓動を打つ
響介 「君の家は何処だ?何となく歩いていたんだが・・・このままでは迷うぞ・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しがっかりしたが少し安心した
詩音 「えーーーとですね、こちらです」
私は先生を先導しながら家に向かって歩き出した
ほどなくして家に着くことが出来た
その間、私は何も話せなかった
響介 「どうやら到着したようだな、それじゃあ、俺は・・・・・・」
詩音 「あ、少し上がっていきませんか?お茶を出しますよ」
積極的に動かないと・・・
響介 「しかし・・・」
詩音 「お時間ありませんか?せっかくおくってもらったのですから・・・・・」
積極的に・・・
響介 「じゃあ、失礼しようかな、船まであと2時間ほど時間があるからな・・・・・・お邪魔しようか・・・」
こうして私は自らのテリトリーに先生を入れることに成功した
響介 「しかし、広い家だね・・・・・・」
第1声はこうだった
鷹乃さんや香菜さんも最初こんな感じのことを言っていた
詩音 「フィンランドにいた頃借りていた家はもっと広かったんですが・・・」
響介 「ふーーん双海は色んな国に行ってるんだったけ・・・」
先生はいすに腰掛けるとそう言った
あれ、何か違和感が・・・
詩音 「ええ、いろいろな国に父と行きました。先生は・・・外国へ行かれたことは・・・」
響介 「そうだな・・・・インド・・・中国・・・マレーシア・・・」
結構行ってるようだしかしアジアばかりらしい
響介 「あと・・・フィンランドに高校生のときに留学した」
詩音 「え、じゃ、じゃあ・・・先生も」
響介 「まあ、そういう意味では俺も帰国子女に入るかな?」
私はこの学校に来た時の先生の私に対する態度に微塵も偏見を感じなかった理由がわかった
詩音 「あ、今お茶をいれますけど・・・紅茶で良いですか?」
響介 「ん、ああ、問題無いよ」
数分後、私は先生にダージリンを入れた
詩音 「先生はダージリンがお好きだそうで・・・・」
響介 「・・・ん?何で知ってるんだ?」
詩音 「え?・・・・えーーーーと、結構噂になってますよ・・・はは」
危ない危ない
響介 「そうなのか、恐ろしいな、自分の知らないところでそんなことが噂になっているなんて・・・」
詩音 「そうですね」
本当に危なかった・・・
詩音 「先生普段は日本茶を飲んでいらっしゃるようで・・・・」
響介 「ああ、そうだよ。しかし・・・双海は本当にちゃんと敬語を使いこなせるんだな、珍しいよ」
詩音 「そうですか?」
響介 「ああ、実に珍しい。矢ガモ並に珍しい」
詩音 「どういう例えですか・・・・それ?」
そんな感じで1時間ほど先生と色んな話をした
先生について色々質問することもでき、先生のことが色々わかって嬉しかった
本当に考えられないことだった
でも、自分の気持ちは伝えられない
好き
ただその一言が・・・・・・
響介 「じゃあ、そろそろ俺は失礼するよ」
詩音 「あ、はい・・・えーーとじゃあ最後の質問ですが・・・先生の尊敬する先生は?」
響介 「?それは恩師とかそういう人?」
詩音 「あ、はい」
先生は一体誰に教わったのだろう?
先生の思想は誰から受け継いだのだろうか?
響介 「3人いる。一人は黒須教授。彼は哲学について研究されている」
なるほど、先生らしい
先生は立ち上がって玄関に歩いていく
響介 「二人目は飛世氏・・・君と同じクラスの飛世巴の父親だね」
ととさんの?
響介 「そして最後は双海教授」
詩音 「ええ!?」
響介 「留学したって言ったろ?そのとき世話になったんだ・・・じゃあ、さようなら」
先生はそう言うと出ていった
詩音 「は、はぁ、ごきげんよう・・・・」
私はただ唖然としていた
〜あとがき〜
第2話更新
でもまだ島に行ってない
何だそりゃーーーーー
第3話ではちゃんと行きますので・・・・