ガンダム0082


宇宙世紀0080ア・バオア・クー付近。
一年戦争で発生した廃棄物を回収する所からこの物語が始まる。

時は流れて宇宙世紀0082。サイド6にある小さなソフトハウス。
そこはモビルスーツの制御プログラムの下請け会社。
主人公Kはそこの開発室でプログラムのアルバイトをしていた。
Kは中学生ながら自作ハロのコンテストで優勝した経験をもつ。
しかしハード設計した相方の方が知名度が高く彼の才能を評価していたのはバイト先の室長だけだった。
Kは学校が終わると夜アルバイト、ほぼ毎日徹夜の生活で学校では寝ぼけてばかり。
当然成績も落ち込むばかりで学校側からは問題視されていた。
また体育の授業でも貧血を起こし保険室に運ばれるありさま。
(そんな彼を心配する幼馴染のMちゃん)
そんなことはおかまいなしに今日もバイトにむかう。

今日から何やら新しいプロジェクトに参加するらしい。
詳しい事はよく解らないがとにかく秘密らしく、先日わけの解らない機密保持契約書に何気にサインさせられていた。
開発室に入ると見たこともない装置が置かれていて数人でセッティングを行っていた。
普段は室長とほぼ二人きりだが、今日は賑やかだ。
そして室長から親会社から来たというI主任を紹介された。
見るからに頭の良さそうな人で少々近寄りがたい感じもした。
だが室長と親しそうに話をしている所を見て親近感を覚えた。
いつも親会社の愚痴ばかりこぼしている室長だが今日はご機嫌のようだ。
仕事の話になると二人の顔色が変わった。そして今回の仕事がある装置のプログラム解析だという事を聞かされた。
仕様書類はほとんどなく口頭で説明を受け、解析で使用するツールのマニュアルを渡された。
新規開発と思っていたのでプログラム解析と聞いて少しテンションが下がってしまった。
しかし、みるからに高価な環境と大掛りな装置には興味深いものがあった。
特にバイオセンサーと呼ばれるなにやら特殊なヒューマンインターフェイスは見るからに相当なものだ。
マニュアルを読んでもよく解らない。この手のものは「論より証拠」、「習うより慣れろ」という事で心配そうな周囲の目をよそにとりあえず触り始める事に。
一瞬、とても不思議な感触になったがその後、プログラムがモニタされた。
よく解らないが、何となくこれが何か、が解った。サイコミュ・・・?

とにかく鳥肌物だ。ハードもすごいが圧巻なのはソフトウェアだ。
これだけのシステムでありながら基本はシンプルで解り易くしかも早い。
ただ、バイオセンサーの調子が悪いのかすぐに止まってしまう。
バイオセンサーは脳波を読みとる装置で、解析しようとしているプログラムはその脳波を各装置への命令に変換する。
つまり今解析しているデータは自分から発生した脳波で、それを解析しようとすると自分から脳波が出て・????
頭がおかしくなりそうだ。
ともかく、どうにかこうにか使い方にも慣れてきて全体像が把握できたが、各所にブラックボックスがありそこから先へは進めない相変わらず気をぬくと止まってしまう。それにしてもこれは疲れる。

すっかり夜も明けていた。学校へ行かなくては・・・

授業中も寝ぼけながら頭の中はバイトの事が頭から離れない。
サイコミュっていっても単なるヒューマンインタフェイスなんだから、単純にIO処理しているだけなんだよな〜
そもそも何でこれで機械が制御できるのかが理解できない・・・
授業の数学、物理も今回は何の参考にもならない。

昼休み。いつものように昼寝をしていると同じじクラスのS君がいつものように自作MS自慢が始まった。
適当に聞き流していたが、S君が軍事オタクだという事を思い出し何気に聞いてみた。
K「サイコミュってそもそも何だっけ?」

S「寝ぼけた顔して突然なんだよ、しかし!いいとこに興味をもったね君。
そもそもサイコミュとはジオン公国のフラナガン博士がフラナガン機関において開発された
 サイコ・コミュニケーター (Psyco Communicator) の略で実践で使われたのは一年戦争末期。
 最初は大型のモビルアーマーに
 ・・・(省略)・・・
 今ではアナハイムエレクトロニクスが開発に携わっているという噂もあるが・・
 ・・・(省略)・・・ 」

話がつまらないので眠ってしまった・・・・・・・・(夢の中でラァ・ラァ・・・という声が聞こえた)
誰かにつつかれて起こされるとすぐ隣に先生が・・・既に授業が始まっていて、とても冷たい空気に。

学校も終わり真っ先にバイトに向かった。

会社につくと室長から進捗を聞かれた。
室長「で、どうかね?バイオセンサーの調子は?」
K「バイオセンサー? あっ、はい、だんだん慣れてきました。でも少しバッファも少ない感じもしますし
 レスポンスも悪い時があります。時々バグる時もありますし・・・」
室長「そ、そんなことはないだろう。スペックも現時点では申し分ないはずだ。オペミスだろ?」
K「あ、はい。すみません」
何か納得いかなかったが悪い癖ですぐ謝ってしまう。そもそもオペミス位でバグるOSの方が悪いと思うが・・・

その頃、サイド6付近に近づくデラーズフリートの船、それをキャッチした連邦は警戒にあたる・・・

開発室に入ると親会社から来た人達は急に話を止めるようなそぶりを見せた。
機密契約しているとは言え、やはり知られたくない事がある様子だ。
そもそも、これがサイコミュだとしたらそんなものバイトに解析させるかな?と、ふと疑問に思った。
だが、下手な穿鑿したらすぐに外されると思い、とにかく言われた仕事を素早くこなす事を心掛けることにした。

「ログインして、バイオセンサーを起動、それからプログラムをロードっと・・」
「うっ?」まただ。最初に繋いだ時も何ともいえない違和感を感じたが、ほんの一瞬なのでそのまま続けた。
しかし、このバイオセンサーは慣れるとメチャクチャ便利だ。思った瞬間に思った通りの動きをしてくれる。
今はトレースモードだから読み込み専用だが、これをエディットモードにしたらあっという間にコーディングできるのでは?
先ほど下手な穿鑿をしないと言ったが、技術的な事に関しては好奇心が抑えられない。
オンラインヘルプで調べると間違いない書き込み可能だ。もしかして今でも使えるのか?
プロテクトらしいものも見当たらないし、何か出来そうな気が・・・
間違えたふりして試してみるか?壊さないように空きを探して、この辺に書いてみるか・・・
ん?行ったか?ダメか。一瞬行ったかと思ったが・・・・

「だいぶ捗っているようだな。」とI主任から音声が入った。

I主任「それでは次のステップに進んでもらう。室長には話しをしたが、状況が変わって早急この仕事を終わらせんなくてはならない。
    これからは我々の指示に従ってもらう。
    明日ここにこの装置専用のハードが届く、実際のハードで動作させれば解析も進むはずだ。
    さらにテスト項目を用意している。君はテストをしながらクリア出来ない所はプログラムを修正してくれ。
    全てクリアした時点でこの仕事は終了だ。ハードに接続するまでは書き込みは出来ないから今日は引き続き
    解析を進めておくこと。それから、今後、私の部下が君をサポートするから遠慮なく相談してくれ。
    私は本社に戻らなければならない、君なら来週までには終わらせるだろう。頼んだぞ。彼が部下のHだ。」

I主任はHさんを紹介する足早に港へ向かった。
そうか、ハードプロテクトになっているのか。早く試してみたい。プログラム修正っていってたけど。
やはりバグってるんじゃないか。室長に文句言ってやろうと思い探したが、外出中で見当たらなかった。

そして朝、今日は日曜。家に帰らなきゃ・・・
帰り道の商店街。朝マックしてから帰る事に。徹夜明けでハッシュドポテトは無いな・・・・
ここはパンケーキだな。二口つまむとウトウト。。そのまま爆睡してしまう。

そこへガラの悪い連中が入ってくる。

連中「おい!ちょっとどいてくれないかな〜君。」
K「んあ? こんなとこで寝てしまった、頭ガジガジだ、帰って風呂入んなきゃ」

立ち上がると立ちくらみが。。。そしてコーヒーをこぼしてしまう。

連中「何してんだ〜おりゃ〜」
K「すみません」

すると連中のリーダーが
「あれ、Kじゃないか」

そこにいたのは中学の時の相方Tだった。

T「相変わらずへっぽこプログラム作ってんのか?」

何かガラ悪くなったな〜
最近はMSレスリング(RR-1グランプリ)の使い手として有名らしいが、あんまり上品ではないな。。。
スポンサーもイメージよくないし。ハロ作ってる頃が懐かしい・・・・
でも、こっちも戦争の道具作ってるんだからお互い様か。

T「ちょうど良かった。来週の防衛戦の相手探してたんだよ。強すぎて誰も挑戦してこなくてよ〜。
負けても知名度は上がるぞ。多少手加減してやるからさ。よし、決まりだ。俺が段取りしといてやる。」

強引な性格は相変わらずだ。バイトに影響するし、争い事は苦手だ。丁寧に断ろう。
しかし相方は突然、幼馴染のMちゃんの話を始めた。
そして彼女を中傷するような言動に腹を立て挑戦を受けてしまう。

  家に帰るとガラクタ箱から見るからに格好の悪いロボットを取り出す。じゃ〜ん

「ロボネットi速報。チャンピオン対戦相手はF高のK君。」

月曜、学校に行くと何だか周りの目が気になる。
思った通りS君が話しかけてきた。
S「おい、正気か?あんまり恥ずかしい真似しないでくれよな、相手誰だか知ってるのか?
 だからといって逃げる訳にもいかね〜。
 仕方ないな。どうしてもっていうなら手伝ってやるが。」

そ、そうだな。今週は寝る間もないし、油を注してもらえるだけで助かる。

会社に出ると、例のハードが届いていた。単なるハードプロテクトかと思ったが、その形はモビルスーツそのものだった。
間近で見ると迫力がある。自作のMSとは大違いだ。

H「早速だか、今日からここで作業してもらう。先日説明した通り、テストシナリオに沿って進めてもらう」
「今日は初日だから目標は10項目。デバッグに息詰まったらリセットするからいつでも言ってくれ。だが
ブレークポイントは自分でマークする事、忘れるとどうなるか解るな。それでは早速始めるぞ。」

早速始めるぞって。ここってコックピットじゃないのか?しかもテストシナリオって・・・・
要するに勝つようにプログラム修正するのが仕事みたいだけど。これって・・・・ま、いいや始めるか。

1、敵MSを撃墜
1-1 敵MSを撃墜できること
1-1-1 直進してくる敵MSを撃墜できること
この辺は問題ないな・・・。
1-1-2 左右によける敵MSを撃墜できること

1-5 攻撃してくる敵MSを撃墜できること
これは・・・
相手の攻撃パターンを読み出して、こうか?

こうやってトレースしているとほぼ戦場に出てる錯角に陥る。
リアルタイムで修正できる為、うまく行けば一発で通る。
失敗したらリセットすればいいのだが、何となく死んだ気がする。
実戦ってこんな感じなのか?思考を止めたら即やられる。
この連続は。。疲れる。

H「進んでないようだな。少し休憩するか?」

K「ふ〜、頭使うのってこんなに疲れるんですね。脳が肉離れしそうです。」

H「そうか、まだ序の口なんだがな。慣れもあるだろう。ロジックにも無駄が多い。
 あまり深く考えずに直感を信じた方がいい結果がでるかもしれない」

1-10 攻撃してくるRX78に対して。

RX78って何だっけ?まあいいやとりあえず検索してロードして最適値を割り出し実行っと。
あれ?ダメか?という事はデータが古いか?今の感じだとこれくらい補正してこうかな?
「CONPLETE」

H「OK。今日はここまでだ。お疲れ様。そこで寝るなよ」

これが続くようでは(RR-1グランプリ)どころじゃないな。このプログラム移植すれば楽勝だと思うけどけど、プラットフォームが全然違うし、ばれたら軍法会議もので牢獄行き間違いなし・・・

学校
S「こら〜バイトかなんかしらないが、あんなハードで勝てると思ってるのか?OSも古いし。
 あのOSはセキュリティまったく無いようなもんだ、今はソフトも強くないと勝てない時代なんだぞ。
 とりあえずOSだけはインストールしといてやる。
 まだマイナーだが裏で出回ってる最新OSだ。本物のMSのOSを真似てるらしいから無敵間違いなし。
 しかも1年戦争で活躍したパイロットのサンプリングパターンもインポートできるという優れものだ。
 なんならサンプリングパターンも探しておいてやるぞ」

K「ごめん、今日はちょっと頭痛が・・・」

学校の帰り道、
K「それじゃインスト頼む」
S「頼むなじゃないだろ、試合するのは貴様なんだぞ。」

会社
H「さて、昨日の調子で今日も頼むぞ。それじゃ1番から10番まで流してそれから11番という事で」
H「よし、それじゃ11番、敵機5機」

疲れからか頭の回転が鈍かった。
K「気合、気合」

H「どうした?」
K「大丈夫です。始めます」

この問題はこれでどうだ?「ボン、ボ、ボ、ボ、ボ」連鎖爆破。ちょっと気持ちいいかも。
いい調子で次々クリア。
ノリノリで20番 「RX781機、他4機。」補正も完璧。「ボ・・・・・」
あれ?なんか間違えたか?これでどうだ?「・・・・・・」あれ?一機も落せない。
どういう事だ。ロジックは完璧なはずだが。

H「ここは難易度が上がる最初のポイントだ。がんばってくれ」

がんばってくれって何かアドバイスは?
間違ってないものを直す程難しいものはない。これ以上どうすりゃいいんだ。仕方ないトレースするか。

K「ん、これおかしいですよ。実行する度にパターン変わってますけど・・・」
H「いやおかしくはない。そういうパターンもあるという事だ」
K「そういうパターンってどういうパターンだ?」

デバッグというのはつまらない作業で眠気を誘う。zzzz。。。{ラァ・・ラァ・・・}

いかんいかん寝てしまった。ばれてないよな?
まあいいや。少し寝てひらめいた。このパターンはこれでどうだ? 「ボ、ボ、ボ、ボ、・」
あれ?一機残った。くそ。惜しい。

「CONPLETE」

ん?OKなの?まあいいや。
H「OK 終了 お疲れ様よくやった。今日は家で休んでくれ。おい車用意してあげてくれ。」
K 「なんかスッキリしないけど、終わりならいいか・・・」

開発室
助手「流石ですね、これを一発でクリアするなんて。」
H「ああ、居眠りしだした時にはダメかと思ったが」
H「それより例の波形だ。大至急分析してくれ」
学校、ちょっと困惑した顔したS君
S 「困ったなOSインストしたのはいいけど全然動かない。
  しかもサンプリングパターンなんてどこにも見当たらない。
  今更再OS戻すこともできないし。
  どうせ負けるんだから、マシントラブルって事になればあいつも諦めるだろ・・・・俺のせいじゃない。」
S 「おいおい、あと3日で何もしてないって、正気か?OSのマニュアル渡しとくから読んどけよ!」
そういうと足早に去っていった。

なんだこれ?「サイコーズVer3.0徹底解析マニュアル」
それより昨日の結果が腑に落ちないK。

研究室
 「間違いありません。波形が一致しました。」
 「そうかその前後も調べてくれ」
 「ん?これは・・・」
 「どうした?」
 「時間軸で調べると、彼が寝た後、例の波形が出た事になるのですが。」
 「それがどうした?」
 「信号の方向が逆なんです。」
 「どういうことだ?ひとまず御上に連絡だ。」 
 「それから念のため彼の護衛も強化してくれ。」

会社に着いたK
「あれ、Hさんは?」
「先に進めておいてくれってさ」

常に監視されてるんだから居眠りばれてるよな〜。なんか昨日と違って冷めた雰囲気・・・
さて、とっとと仕事片付けてRR-1の準備しなくちゃ。

「CONPLETE」

「OK、予定通り終了」なんかこつ掴んできたぞ。しかし相変わらず最後に1機残るのが気にいらない。

K「お先に失礼します」
H「ちょっと待ってくれ、事情が変わったから今日はもう少しやってくれないか?」
K「今日はちょっと用事が・・・・」
H「事情が変わったと説明したはずだ。明日迄に全て終わるのかな?」
K「・・・・」
H「テストパターンを更新したから差し替えてくれ。30迄は繰り返さなくていいから、40からだ。」

K 「これだ、やればやっただけ負荷かけてくる。これでバイト代同じなんだから納得いかない。
室長の「大会社はいつもこれだ」の口癖が頭をよぎる。
K 「それとも居眠りしたのが気に入らなかったのかな・・・・・」

H「反応ないぞ、進めてくれ!」
K「今やります」

くそ、また急に難しくなったぞ。腹立つ。相手の行動パターンもまったく違う。
冷静に考えればこれってデバックっていうよりほとんど追加開発のような。
ん?もしかして・・・。なんかこいつ怒りにも反応してる気が・・・・。
敵の行動パターンも同調してくる様な・・・・・裏をかいて、これでどうだ?

「CONPLETE」

学校。なんだか腹たつ。・・・・けど眠い。
今日木曜だから金、土、まずいな流石に間に合わない。データコピーしても無理かな。
今日はバイト休ませてもらおう。学校も早退しよう。

自宅。
なんだよ。あいつも、OSインストしたっきりで、どれどれ。
「サイコーズVer3.0徹底解析マニュアル」
操作はマニュアルだがしかし、コマンド体系や基本概念はバイトで使ってつのにそっくりだ。
ヒューマンインタフェイスはないけど代わりにインポート機能ついてるからコピーすれば動くかも。
いや待て、って事は、こいつにバイオセンサー付けた方が早いか?
極秘だか何だか知らないけどネットで出回ってるのと同じレベルじゃ、あの会社も先ないな。 そうと決まればこれもって会社行くか。

「すみません遅くなりました。」
「体調いいのか?休みと聞いたから今ハードメンテしてるぞ」
「え!、それはまずいです。バイオセンサーだけでも動かしましょう」
「こら!勝手に触るな」

・・・・・・・・・・・

そして日曜。
バトルは一撃で終わった。

唖然とするS君とギャラリー。
その中にはデラーズフリートの影が・・・・
「噂の使い手はとんだ食わせものでした。むしろ対戦相手の方が可能性ありです。」

連邦特派員
「どうやら思い過ごしのようです。ただこれで敵も彼に近づいて来ると思われます。」
「彼には当分離れてもらう。護衛は継続してくれ」

そして彼の自作MSにはララア・スンのゴーストが宿っていた。

                                つづく

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