ルルノイエが没落したと便りで知りました。あの人は……無事でしょうか?


――――――――数日前…。
「よ、久々だな、悪ぃな。イキナリ尋ねちまって……。」
「シード……、たまに顔見せるたびに痩せてるわね…ちゃんと食べてるの?」
久々に休暇を貰って彼女に会った。最後に会ったのはいつだっただろうか?
肩までだった綺麗な亜麻色の髪が腰まで伸びていた。
「でも元気そうでよかったわ」
「腹へったな…久々にお前の手料理食いてぇ……」
彼女の手料理が一番好きだった。とかく美味なわけではないが……。何も言わずに彼女は微笑んだ。
「次に会えるのは何時だろぅ……」
彼女――、アリシアが食事の準備をしている後ろ姿に呟いた。
「軍の方……大変なのね…町でも良くない噂が立ってるわ」
「…………そか、、」
「無茶はしないでね?お願いだから……。」
気のせいだろうか、彼女の肩が小刻みに震えてるように見えた。相変わらず感の鋭い娘だ。
「明日にでもここは戦場になる……お前は………この国を出ろ」
「あなたと一緒じゃなきゃ嫌よ」
……くるっと俺の方を向いた彼女の目から大粒の涙が溢れていた。
「俺のが何の仕事してるか知ってるだろ??」
暫くの沈黙…アリシアとて解らない訳ではなかった。ただ、今にも消えそうなシードを手放したくなかった
「ごめんなさい…我侭言って…………」
そう言うと彼女はまた料理を始めた。
内心済まなさでいっぱいだった…けっして口には出さなかったものの……。自分の職には誇りを持っているからこそ。
俺が軍人でなければ、結婚して、どこかの田舎町で子供でもつくって普通に暮らしてんだろうな…。
そんな事を考えながら暫く俺はアリシアの後ろ姿に見惚れていた。

その後、アリシアの手料理に舌鼓しながら、普通に会話をした。彼女が最近凝っているハーブの話だとか
最近読んだ本の話だとか……。
「そういや俺の故郷の話、したことあったっけ?」
そんな会話のなか、急に里心がついて俺はこんな話を切り出した。
「あなたあまり自分の事教えてくれなかったじゃない」
でも聞かせてと食後のハーブティを出した。
「とかく面白い話でもねぇけどな。」
苦笑しつつ、紅茶を飲む、ミントだろうかすぅっときもちのいい爽やかな味だった、
「そういえばシード、兄弟はいるの??」
何から話せばいいか考えていた時にアリシアから尋ねてきた。積極的な娘でもある。
「姉貴が2人俺は末っ子だ」
とかく、貴族でもなければ落ちぶれてもいない、普通の家庭だった。
「あら、末っ子だったのね、可愛いがられたんじゃない??」
「女家系で男は俺だけだからな。肩身狭かったぜ」
「お父様は??」
「…………………………」
父に関してはいい記憶がなかった。思い出したくもないので今は伏せておこう…。
「ごめんなさい…気に障る事、聞いてしまって…」
「んぁ、構わねーさ……。ただ、オヤジの話はちょっと……。」
また苦笑いをする。切り出すんじゃなかったかなと後悔しつつ………。
「そうそう、俺の故郷に行くあてがあったら一度尋ねるといい。お前の事は姉貴達に話してある」
そういって実家の住所が書かれたメモを渡す
「姉貴達に宜しく言っといてくれ」
「シード………」
「ん?」
少し冷めた紅茶を飲み干し彼女の顔を見つめる。小顔でハッキリとした顔立ちだ。
「なんでもないわ……」
「なぁ……アリシア…その……」
「なぁに?」
「これ……………」
俺は小さな箱を彼女に渡した。
「……………?」
「この仕事が片付いたら一緒にならねぇか?」
「シード…………私をからかってるの?」
「俺はおお真面目だが………」
……俺は小さな箱から小さな紅い宝石が付いた指輪をとりだし彼女に付けてやった。しかし彼女はすぐに外す。
「ちょっと待ってて」
何かを取りに行ったようだ…。
「アリシア??」
「あったわ、これはまだあなたが持っていて…」
指輪を持ってきたチェーンに通す。
「……………?」
「あなたが生きて帰ってきたら私はその指輪をつけるのそれまで私だと思って肌身離さずもっていて?」
アリシアはチェーンに通した指輪のネックレスを俺の首に掛けた。あぁ、成る程…。そういうことか。
「私はずっとまってるから……」
「そろそろ行くわ……。飯、ありがとな」
「途中まで送らせて……」
彼女の家の通りの桜並木を一緒に歩く。この道を何度歩いただろうか…。
これから歩けるだろうか………次の春も……その次も…。

――――――それから数日後…。

間もなくルルノイエは落ちる。大広間で力尽きた俺は最後の力で胸元から例の指輪を取り出した。
「………なんだそれは」
隣で同じく突っ伏している同僚に問われる。
「……オママゴトさ」
そういって俺は目を閉じた。


舞い上がる花びらに吹かれて
あなたと見た春を想う
うつむくまで気付きもしなかった
どうしてだろう? 泣いてた…

こみ上げる想いは 誰に届くのだろう
指先をつないで歩いた
あなたにはもう届かない

あなたを忘れてしまう程の
恋が胸を焦がす日まで
この道は誰とも歩けない
あの日のように
舞い上がる花びらに吹かれて
あなたと見た春を探す
小さなつむじ風鳴いている
この風は あなたですか?
次の春も吹きますか?


-----------------------------------------------**後書き**-----------------------------------------
…済みません、かなりマイ設定炸裂のシード×アリシア(彼女)話でした;;;
シード、クルガンに関してのマイ設定は別に書いてますのでそちらを踏まえて読んで頂けると
いいかと思います……。
と言いますか、なんかシードってこんなんだっけ?と途中で混乱しましたけどね;;
プロポーズの仕方に彼らしさがでているんじゃないかなぁ…とひそかに気に入ってます。
イメージソングはコブクロの「風」です♪

2002/05/16脱稿