----------------------2003/12/10----------------------------
車のクラクションと急ブレーキの音、そして衝突音。
それが、武本健二が意識を失う直前に聞いた最後の音だった。
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次に目覚めたとき、彼は見知らぬ白い部屋で寝ていた。
病室かと思ったがそうではないようだ。
薬品の匂いや病院独特の雰囲気が感じられない。
身体を起こして辺りを見渡す…
ベッド以外はなにもない、そんな部屋だ。
状況を把握しようとベッドの上で少し考えこんでいるとドアが開いた。
見覚えのある顔の女性が少しつらそうに声をかけてくる。
「や、久しぶり」
石井沙希、それが彼女の名前だ。
彼女の顔を見た時に、彼は自分が置かれてる状況が理解できたようだ。
「沙希…」
「まさか、1年もしないうちに再会できるとはおもわなかったよ」
「まぁ、それはそうだな…」
健二は苦笑いを浮かべる。
「こんな状況だって言うのに、なんか余裕ありそうだね」
沙希が不思議そうに尋ねてくる。
「順応性が高いんだよ」
冗談っぽく健二が返す。
「本当に順応性が高いんなら、まだこっちには来てなかったんじゃない?」
「やっぱりわかるか?」
「それはそうだよ。何年の付き合いだったと思ってるの」
「まぁ、生まれた直後からあのときまでだからざっと20年と62日だな」
「ん〜、やっぱり余裕そうだね」
「沙希がいる分、あっちにいたときよりも気が楽なんだよ」
「そっか…」
武本健二、石井沙希共に享年20歳だった。
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