----------------------2002/12/01----------------------------


「おい、そろそろかえるぞ」
「わかったぁ、ちょっと待っててぇ」 外から健二の声が聞こえてきて沙希は返事を返す。
仕事着を着替え終えて外に出る。
「ごめんごめん。んじゃ、帰ろっか」
「ああ、寄る所とかないのか?」
「特にないからまっすぐ帰ろう」
そして二人は同じ方向に帰って行った。


二人の家はすぐ隣とまでは行かなくても近くだった。
生まれたのも同じ日な二人は物心ついたときからずっと一緒にいた。
高校時代はそんな二人を冷やかして「仲いいねぇ」とか
「もう付き合ってるんでしょ?」などといってくるのもいたが、
二人にはそんな意志は全くなかった。
っというのも、あまりに一緒にいた時間が長すぎて正確や趣味などが似すぎてしまったのだ。
本人達は
「自分と付き合ってるみたいで気分が良くない」
っといっている。
だが、一緒にいる時間が長すぎたため互いになくてはならない存在にもなってしまっている。
いわば血は繋がっていないが双子の兄妹みたいなものだ。

そうは言われても二人が本当はつきあってるのではと邪推する者ばかりで
二人は結局いまだにだれとも恋人として付き合ったことはない。


高校を卒業して二人は家からそう遠くない所でアルバイトをしながら
予備校に通っていた。
アルバイトの時間はなるべく合わせて一緒に行きかえりのできるようにしている。
健二がアルバイトのない日も沙希の送り迎えはしていた。

「来週末は結局どうするんだ?」
健二か沙希に聞く。
「ああ、例年通りで行こう。なにもしないのも淋しいし、かといって今まで以上の事する気もないしね。
去年はうちだったから今年はそっちね。」
「わかった。んじゃ、うちの親にも言っとく」
「それじゃ、よろしくね。」
二人が話しているのは、互いの誕生日のこと。 この歳まで誕生会はどうか、などとも思うかもしないが両親公認…というか両親が積極的に
勧めてくるのだ。
中学に上がるころには二人はもうやめようとも思っていたのだが
家族に「こういった行事の大切さ」というのを切々と語られうんざりし、
結局それ以降も行っている。
『明日あたりにみつくろって、何か買っておくか』
二人はそう思っていた。

適当にとは思いつつも互いになにがたりないのかわかっているため
それを選んでくる、っというのが例年通りのやりかた。
今年もそのまま行くつもりだ。


「じゃ、また明日もよろしく」
沙希の家の前で別れて健二は自宅に向かう。
振り帰るとちょうど沙希の部屋に電気がついたところだった。


それから数分後、健二は自宅についた。
健二は家の鍵を開けて扉を開けた。
「ただいま〜」
玄関から、誰もいない家にそう言った。


リビングに行くとテーブルの上に紙が置いてある。
『出張中、経費』
紙にはそうとだけ書いてあった。
紙の裏には見なれたカード。
世話になっている銀行のカードだ。

どうやら母は父の所に行っているらしい。
父のほうは単身赴任中でとなりの県にいっている。

しかたがないので今日の話しは電話で済ませることにする。
健二は家の電話から、押しなれた母の携帯の電話番号をおした。

10コールののちに留守番電話サービスに繋がった。
「今週末例によって沙希と誕生会をすることになったから。会場は
今年はうちになるんでリビングを借ります。準備とかは自分達でやるんで
心配いりません。」

用件を伝えると健二は受話器を置く。
そのまま冷凍食品をレンジで温め、母が炊いて行ってくれた米で、
それを食べた。

その日は大して課題などもなく軽く済ませる程度で済んだ。
それもこなすとやることがなくなり、シャワーを浴びてからすぐに就寝したのだった。



<<戻る あとがき 次へ>>