ジャイアンとロボ 〜デパートが静止する日〜

 来るべき近未来。人類は物不足の問題を解決し、豊かな商品の並びを実現させた。

 だがその輝かしい繁栄のかげに激しくぶつかり合う二つの力があった。  

バーゲンセールを狙う悪の秘密結社BS団

  「半額のために!」

 かたや、それに対抗すべく世界各国より集められた正義のエキスパート達、”特売バーゲン機構”  

そしてその中に史上最強のロボ、ジャイアンとロボを操縦し、万引きをする一人の少年の姿があった。

 名を草間笑作!!

 「盗め!ジャイアンとロボ!」

  Episode‐2 隣町デパートの惨劇 

 十年前・・・・・・・

それは、白衣をまとった一人の科学者の叫びであった。

  「未来は現在のわれわれに栄光の星を与えてくれた。(決して巨人の星ではありません)

     ついにすべての恐怖を克服することができるのだ・・・・・

       ある時は獲物を探し狩りへ、またある時は食料を奪い争そった・・・

         そしてO−157・・・・いつも危険と隣り合わせだった・・・・・・・・

           だがこれからは違う、今度こそ手に入れたのだ。

             今度こそ、安全な商品を・・・・ 」

   一拍おく感じでその科学者は再び叫び始めた

   「それは、幻ではない・・・・・」

   その科学者の名は、レモン・キャビア・フォアグラ−(フランケン・フォン・フォーグラ−)

   今世紀最高の科学者だった・・・・・・

 

     ある廃業となったデパートに一人の男がいた。

  白いシャツに、黒いズボン、そして橙色のコートと帽子を身に着けた

  年は二十代ほどの若者だった

  ピンポンパンポン・・・ピンポンパンポン!

  突如放送の合図の音が鳴り響いた

  それを聞いたその男はふと上を見上げ、そして一瞬恐怖を感じた顔をして呟いた

  「しまった、遅かったか・・・・」

  そこには、二人の男が死体となって吊り下げられていたのだ

  「ふっふっふっふっふっふっふっ・・・・」

  そこに、謎の笑い声が響いてきた

  「ご苦労だったね、特売バーゲン機構パリ支店所属、風呂桶ミンチ(村雨健二)」

  「貴様か!こんなむごい事を・・・・」

  風呂桶はすかさず銃を構え声のする方へ問いかけた

  「んーふっふっふっふっふっふっふっふ・・・・」(フルハタ ニンザブロウ デハアリマセン)

  そして、ふと明かりがついた

  そこには、一人の白衣をまとった老人が笑いながら左手にミニ四駆を持ち、足で自家発電機をこいでいる姿があった

    そして、風呂桶は銃を構えたまま驚いたように声を出した

  「ま、まさかあなたは・・・レモン・キャビア・フォアグラ−博士」

  「復讐だ・・・・」

  博士はそう呟くとミニ四駆のスイッチを入れ、全力で自家発電機をこぎ始めた

  モーターは唸りをあげ鳴り響き、

  その動かす足の速さは目には見えずこの世の者とは思えぬほど速い動きであった

  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォォ

  その時、地震が起こったのだ、ゆれは次第に大きくなり、

  地が裂けそのひび割れた地面から閃光がほとばしった

  シュバァァァ−−−−−−−−!!!

  閃光は大地を斬るかのごとく走り進んで行った

  建物は崩れ、その街は地面の中へと沈んでいき、その光はたちまちその街を包み込み

  街から生気が消えていった

  風呂桶はそれを見て、つい声を出した

  「ディバイディングドライバー・・・・・」

  それは、サンライズの某勇者シリーズを思い出させるには充分過ぎるほどの出来事だった。

  だが、その事件はそこだけにとどまらずに、世界中が危険にさらされる事など、

  今は誰一人として知る者はいなかった。

  たとえそこに、伝説の名マシン”アバンテJr”があったとしても・・・・

   ジリリリリリリリリリリリィィィィ!!!

  火災などの災害などでなる非常ベルが鳴っている。

  そして次に放送が入った。

  「退避指令、すみやかに避難して下さい!繰り返します、すみやかに避難して下さい!」

  ここはデパートの倉庫、そこに巨大ロボ、”ジャイアンとロボ”が暴れている。

  「どうした、どうなっているのだ」

  スーツを着てサングラスをつけている男やって来て、部下に尋ねた。

  彼こそが、このデパートの店長、借金長官(中条長官)である。

  「わかりません・・・・」

  部下がそう答える 。

  そうしている間も、ジャイアンとロボは暴れ続けている。

  ジャイアンとロボはデパートの壁を壊し外へ出ようとしているのだ。

    「ロボが発進しようとしているのか」

  「ですが、笑作少年のコールサインが入っていないんです」

  ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォォォォ・・・・・!!!

  とてつもない轟音とともにロボの背中のロケットから火が噴き出した

  飛び立とうとしているのだ。

  「すごい!通常の50倍のパワーです!」

  「まさか、ロボには操縦者のピンチに反応するオートガード回路が・・・・」

  借金長官がそう口ずさむとほぼ同時にロボは飛び立って行った。

  

 

  バチバチ!バシーン!

  デパートの外では、二人の男の戦いが続いていた。

  一方は十傑集の一人、消臭のポリデント(衝撃のアルベルト)、そしてもう一方は、梁山泊九大店長の一人、大漁(載宗)であった。

  二人の実力はほぼ互角であった。

  お互いほとんどの攻撃はガードされ、一方が当たったかと思えば、もう一方も入るという具合である。

  その時、デパートの壁を突き破り巨大なロボが飛び立っていった。

  ジャイアンとロボである。

  それに反応して大漁がデパートのほうへ振り向く。

  「まさか、笑作の身に何か・・・」

  大漁がそう思った瞬間、ポリデントが大漁をとらえた

  腹に拳を一撃入れた後、のどを掴んだのだ、まさに一瞬だった。

  「どうした大漁、余所見はいかんぞ・・・・・」

  ポリデントが笑みをもらす、次の瞬間、大漁をにらみつけるような顔をして呟いた。

  「死ね・・・・・」

  大漁を掴んだままポリデントの腕から強烈な消臭波が放たれた。

  「し、笑・・・・作・・・・」

  大漁は彼方へ飛び去っていくロボを見ながらそう呟いた。

  「ふはははははは・・・どうだ!我が盟友、幻覚でヤバインデス(眩惑のセルバンテス)の仇、そして貴様に潰された右目の痛み思い知ったか・・・」

  ポリデントは笑いながらそう言い、さらに消臭波の威力を上げた。

  それを見守る謎の人間がいた・・・・いや、 人間かどうかも謎という人物だった・

  赤い仮面のようなものをしており、兜をかぶり、赤いマントに身を包んだ格好をしていて、年はわからない。

  まったくの謎に包まれているそいつの名は、コ・ンニャク(コ・エンシャク)というらしい 。

  コ・ンニャクは、何かをするわけでもなく、ただ二人の戦いを見ていた。

  その頃デパートでは、ロボに壊された倉庫の後片付けをしていた。

  「動かせるな、この機械!」

  「この商品はこっちだな・・・」

  「状況をまとめろ!!」

  デパートの中は作業が進んではいるが、あまりはかどっている様には見えない。

  その理由は人手不足とみんな少なからず混乱しているからである。

  その様子を見ながら長官は部下に状況を尋ねる事にした。

  「どうだ、まだ笑作君とは連絡がとれんのか」

  「はあ、まだ何のサインも入ってまおりません」

  長官は少し焦るようにして続けて部下に問いかけた。

  「大漁君に支援部隊はだせんのか」

  「ええ・・・こう指揮系統がバラバラの状態では・・・バイトも少ないですし・・・・」

  「うぅ・・・む・・・・」

  長官は少しうなるようにして考え、決断をくだした。

  「仕方あるまい・・・全員撤退!その後デパートを爆破する・・・」

  長官は振り向くようにして後ろに歩いていきながら部下にそう伝えた。

  「長官どちらへ」

  「あち・・・」

  「あちらへ何ていうギャグはなしですよ」

  部下にギャグを悟られたため、それを隠すように長官は、意識して威厳を出すように一言付け加える事にした。

  「私が売って出る・・・・」

  「ま、まさか・・・長官が!!」

  驚いたように部下は身をのりだしてそう言った。

  「君達も早く私のそばからはなれたまえ」

  「お待ちくだされ、借金長官」

  長官が歩こうとすると、後からそれを呼び止める声がした。

  長官が振り向くと、そこには宙に浮かぶ五円玉があった。

  「このような事で、莫大なる借金(静かなる中条)が動く事もございますまい、ここはわれらにお任せを・・・」

  「おお!!君達は、一升瓶(一清道人)君に楊枝(楊志)君!!」

  そこから、少し離れた場所で馬で走る大柄の女がいた。

  彼女(?)こそが、楊枝である。

  「我ら、ただいまそちら向っておりますがゆえ、しばしのご辛抱を!!」

  「おお、頼んだぞ」

  それに長官は望みをたくし答えた。

  「えあぁぁぁぁ!!」

  馬は空を飛ぶかのごとく駆け走る!

  「急ぐぞ一升!!ボーナスがかかってる!!」

  「おう!!」

  馬が返事をした。

  この馬は一升瓶が術で馬に化けたものだった。

  その馬の速さは、自動車をも追越すほどだった。

  「はい!はいはいはいはいはいぃぃ!!」

  馬は人ごみを掻き分けて走って行った!

  走っていった時に5,6人ひき殺した気がするが気のせいだろう。

  次の瞬間、敵の位置を確認したのか、楊枝が馬から飛び降りた。

  いや、飛び上がったというべきか、街の屋根の上を走っていくのだ。

  「年に二回の楽しみボーナス日!!」

  「だが、われわれ二人がしくじれば、すべてなくなる」

  「おおさ!悪漢共に目にもの見せてくれるわ!!」

  「左様!!」

  一升は高速道路の車の上を走りながら答えた。

  そして、三つほど前の車の上まで走ると変化の術を解いた。

  みるみると馬の姿が小柄な僧に姿をかえていった。

  そして、額に貼ってあった変化の術の札をすばやく取った。

  「今こそ欲する我が現金!!」

  一升は叫びながら腰に刺してある剣を抜き、自分の腕を切った。

  一升は術を使うとき札の字を血で書かなければいけない、(おそらくそのうち出血多量で死ぬだろう)

  だから、自分の腕を切ったのだ。

  「1025円!!ねがいましては・・・・10円なりぃぃぃ−――!!」

  そう叫び、剣に五円玉で出来た数珠を引っ掛けて振り回しながら走って行った。

  次の瞬間、五円玉の数珠を天高く放り投げた!

  「てえぇぇぇいぃぃぃ−!!」

  一升も飛び上がり、その五円玉の数珠の輪の間を通るように落下してきた。

  「はっ!!」

    ――我が会社に

            給料泥棒は

                   無用――

  数珠となっていた五円玉は飛び散り、一つの方角へ向っていく。

  その方角の向こうには、消臭のポリデントに消臭波を浴びせられている大漁がいた。

  「大漁!!貴様との決着もここまでだぁぁぁ!!」

  「うぐぁぁぁぁ・・」

  ポリデントは、大漁に止めを刺そうと、さらに力をこめる。

  その時、今まで何もしようとしなかったコ・ンニャクが動き出した。

  大きく跳躍し二本の鞭を取り出しポリデントをめがけて振り下ろした !

  ばしぃぃ!!

  大漁を掴んでいるポリデントの腕に当たった。

  その反動のせいでポリデントは大漁を落としてしまった・・・・

  大漁は地面に向って落ちていった。

  もともと高い場所で戦っていたのだ、落ちゆく大漁の姿は瞬く間にすぐに見えなくなってしまった。

  ポリデントは怒ってコ・ンニャクの胸倉を掴んで叫び出した。

  「貴様!消費税を・・・・」

  だが言っている事は別の事だった。

  コ・ンニャクは自分のマントをポリデントをかばうようにして広げた。

  次の瞬間・・・   パキぃッ・・・・パパパパパパンパン・・・・!!

  五円玉がコ・ンニャクとポリデントを襲った!

  それを、コ・ンニャクのマントが弾く 。

  五円玉は散らばり下に落ちていく。

  「もったいない・・・」

  ポリデントが下に落ちていく五円玉を見てそう言った。

  そうやってポリデントが下を見ていると

  下から何かが凄まじいスピードで上がってくる!

  「はああああぁぁぁぁっ!!洗面器の楊枝見参!!」

  大漁を抱えた楊枝が棒を振り回しその回転でヘリコプターの原理で飛んできたのだ 、それは某漫画の王○人の奥義を思い出すようだった。

  「この雑魚が・・!!」

  ポリデントが楊枝に消臭波を打ち込んだ。

  「おう・・・」

  楊枝の体は膨れ上がり破裂したと思いきや、五円玉に変わってしまったではないか。

  ポリデントが辺りを見まわすと楊枝が何人も飛んでいる。

  「奇怪な・・・」

  ポリデントはそれら目掛けて消臭波を次々と打ち込んだ!

  一、二、三、四・・・・・・・

  楊枝は消臭波をくらい、それら全ては五円玉になっていった。

  「ぬああぁぁぁぁ!!」

  激しい消臭波に何人もの楊枝が倒されていく。

  「くううううぅぅぅ・・・」

  ポリデントが力を溜めた。

  「はあぁぁ!!」

  一気に消臭波は放出され、周りにいた楊枝は全て五円玉に変わった。

  「こしゃくな・・・・」

  ポリデントがそう呟くと後ろに巨大な一升瓶が立っていた。

  どうやらさっきの楊枝は一升瓶の術だったらしい。

  「ふははははははははは・・・・・・・

     主はすでに我が防犯装置・・・・もとい、

        戦術におちいっているのがわからぬか・・・・

          こうなればたとえ十傑集といえども簡単に抜け出ることはできんぞ・・・」

  「ふん、まあいい、どうせ私の攻撃は・・・囮だ」

  そう言ってポリデントは、自分の右眼の通信機を使った。

  「イワシ、ロボがそちらに向った・・・・こちらはここまでだ・・・・あとはまかせる」

  「はっ!承知致しました」

  「さらばだ!大漁また会おう・・・・バーゲン日の時にでも・・・」

  通信を終わらすとポリデントはコ・ンニャクのマントの中に吸い込まれるように消えていった

  コ・ンニャクは竜巻をおこすかの様に回転して、とてつもない速さで飛んでいった。

  「さすが十傑集・・・・わしと監視カメラの位置をよんでおったとは・・・」

  一升瓶がそう言った後、大漁が目を覚ますそして一言呟いた。

  「し・・・商品、じゃなかった・・・笑作は無事か・・・」

  笑作は無事かもしれない、だが商品は無事じゃなかった。

  その後、商品の数が足りないのは言うまでもないだろう。

  そして、半額の割引シールも奪い取られた事を知るのは

  それから、どれだけか後の事だった。

 

 

  車は故障していた、みんな倒れていた・・・・・

  うす目の男、酒味醂先生(呉学人先生)も、女エキスパート金0(銀鈴)も   巨体の鍋牛(鉄牛)も・・・・・・みんな倒れていた。

  笑作が目を覚ました・・・

  笑作は辺りを見まわした。

  ――何が起こったのだろう――

  BS団に襲われたのだ。

  笑作は、はっ、とした様に周りを見まわした。

  「ア・アバンテは・・・トライダガ―・・・・」

  すぐに気がついた、二機のマシンが入ったケースは自分が抱えていた事に

  笑作はホッとした、だがつかの間だった。

  目の前に、BS団のオモチャのイワシが笑作を見ていた。

  「ああぁぁ・・・・・」

  恐怖につい声をもらした。

  それは、笑作とイワシほぼ同時だった。

  笑作は身の危険を感じ、イワシは傷ついた笑作の顔に

  笑作の顔は車から落ちた衝撃ですっかり変形し、ガンクレ状態になっていたのです。

  その顔は族の斬り込みが出来るのではないか、というほど凄まじいものでした。

  実際に笑作は、空龍界というグループに所属していた事があり

  そこでの、バイクのテクはヘッドも一目置いていたほどであった。

  そのため、そっちの世界では結構名が通っていた。

  イワシは、コホンと軽くせきばらいをし、気を取り直して再び胸を張り始めた。

  「ふふふふふふふふふ・・・・お目覚めかな、

      ほら、丁度良い、お迎えが来てくれたよ・・・・」

  イワシは海の方を見てそう言った。

  笑作も海の方を見た。

  こちらに向って何かが飛んでくる・・・・・・

  ゴオオオォォォゥゥゥゥ!!

  空気を振るわせる様な音が聞こえてきた・・・・・・・

ジャイアンとロボだ。

  「ロボ!!」

  ジャイアンとロボは肩が開きミサイルを連続で発射する。

  バンバンッ!バンッ!

  ミサイルはBS団のロボット”ウリハラエヌス”(ウラエヌス)に命中している。

  爆発がおき、爆風が吹く、だが、きいていない様だ・・・・

    ロボはそのまま止まらずにウリハラエヌスにぶつかって行った!

  ロボが弾かれる。

  「ロボの体当たりがきかない・・・・」

  ロボは一瞬立ち止まってしまった。

  「バリア・・・・」

  ロボは手を前に突き出しバリアを突破しようとする。

  バリアが光を放つ

  「ふっふっふ・・・そう簡単にはこの特殊バリアは破られはせんよ。まあせいぜい頑張りたまえ」

  イワシが得意そうに笑う。

  「ロボ・・・・・」

  笑作が心配そうにロボを見る。

  「さて、頑張るのは彼の勝手だが、

          こっちも用があるんでね

             さあ、そのミニ四駆・・・返しておくれ・・・」

  「い・・・嫌だ!!これがあれば優勝できるんだ」

 笑作の個人的な意見は無視して、イワシは笑作に近づいて行った。

  グオオオォォォォォ・・・!!

  ロボが笑作のいる場所に手を伸ばす。

  それをバリアがさえぎる。

  バリアの放つ光が辺りを包み込む・・・

  「ロ,ロボ・・・・」

  ロボはなおも力を強めようとするが、すぐに弾かれる。

  「どうした、ロボ・・・・・ロボ!!」

  「はーはっはっはっは・・・・そうかいそうかい・・・

      ジャイアンとロボ、君は出力の調整が出来てないのだね」

  「え・・・・」

  笑作は再びロボの方を見た。

  「だがな、ジャイアンとロボ・・・

     君がそうまでして助けたいご主人様は

           君より、ミニ四駆の方が大切らしいぞ・・・はははははは・・・」

  ロボの体からあふれる水蒸気の量が増えてきている。

  ロボの温度が異様なほど上がってきているのだ。

  「もういい・・・もういいんだ!ロボ!!」

  笑作は思わず、ロボから目をそらしてそう言った。

    それを聞いたロボはゆっくりと手を戻していった。

  「ふふふふ・・・よしよし・・・・・・・ん・・・」

  イワシが何かに気がつく様に辺りを見まわした。

  「やつらどこへ行った・・・・」

  倒れていたエキスパート達がいないのだ。

    イワシは上を見上げた。

  すると何かが降ってくる・・・・万札だった!

  万札が重なり落ちてくる!

  「札束・・・・?」

  札束は広がりその中からエキスパート達が現れる。

  「はあ!!」

  「おりゃぁぁ!!」

  「ええい!!」

  「うわああぁぁぁぁぁ!!」

  三人のエキスパート達が一斉に攻撃する。

  ちなみに最後の悲鳴はレギュラー博士(シズマ博士)

  いつも間にか首がつながっていたレギュラー博士でした。

  「やったか!!」

  酒味醂が様子を確認しようとイワシのいた方向を見る。

  でも駄目でした。

  地面が急に盛り上がる、イワシだ。

  銃を握り、笑作を人質に取っている。

  「なめてくれたな・・・・よりによって、万札を使うとは・・・・だがそこまでだ!!」

  文句を言いつつもちゃっかり先ほどの札束は手に握られていた。

  笑作のコメカミに銃口を押し当てる。

  「笑作君!」

  「仕損じたか・・・」

  酒味醂も、金0も武器を捨てた。

  「ほらほらお前もだよ」

  イワシが笑作を突き飛ばす。

  「だからてめぇは足手まといなんだよ」

  鍋牛が斧を投げ捨てた。

  狙ってか、狙わずか、再びレギュラー博士の首を斧がかすめた。

  重傷にはならなかったが、動脈の近くだったため、危なかった。

  博士は気絶してしまった。

  鍋牛が、そんなに博士に恨みがあるのかは不明である。

  「鍋牛さん・・・・」

  笑作が、レギュラー博士の方を心配そうに見る

  「よろしい・・・・・んん!!」

  バキュン!バキューン!

  イワシはミニ四駆の入ったケースの鍵を銃で打ち壊した。

  「間違い無い!これで再びデパートの惨劇を起こせるぞ!!」

  二つのマシンを見てイワシは目を輝かせた。

  ・・・・っといっても普段は眼に輝きが無いわけではない。

  言葉のあやである・・・・

  だが問題はそこではない。

  問題はデパートの惨劇だった。

  みんなが驚いている。

  「なんだと・・・てめえ本気か・・・・!!」

  鍋牛はついつい聞いてしまった。

  あたりまえの事を・・・・・

  「本気?当然・・・・我々BS団の目的は世界征服ですからね」

  イワシは勝ち誇った顔をして言った。

  「デパートの・・・・惨劇・・・・?」

  よろめきながら笑作が呟いた 。

  「ほお、知らないのかい?すると君はミニ四駆を

        ただの画期的なタミヤ製品だと思っていたのかい?」

  なにやら意味ありげな言い方をするイワシの言葉に笑作は妙な好奇心がわいた。

  「だめよ!笑作君!!」

  「知らなければそれですむ事だ!!」

  金0と酒味醂の声に笑作は、はっ、とした。

  だが、好奇心がおさまったわけではなかった。

  「良いじゃないか」

  それにつけこむ様にイワシが話し始めた。

  「いくら歴史の記述から削除しようとも、我々の記憶からは葬り去る事は出来ないのだからね」

  イワシのその言葉を聞いてみんなは黙ってしまった。

  「そう・・・このマシンが開発されたのは、

    ハイパーダッシュモーターが完成する少し前の事だった。

      この奇跡とも呼べる研究に五人の科学者が集まった・・・・・

        毒食った団子(ドクター・ダンク)、キクラゲ教授(シムレ教授)、

           猛毒トランポリン(ドクトルトラン)、レギュラー博士(シズマ博士)

             そして・・・・・」

  笑作は何故かニヤッとした。

  「世界の破壊者!レモン・キャビア・フォアグラ―博士だ!!」

         笑作は唾を飲みコクリとうなずいた。

  「彼らはそのエネルギー理論によって、メカニックマンの栄誉を受け、

    エネルギー公害による深刻化した地球の環境問題に、希望の光を与えたのだ・・・

     ・・・・だが!失敗の連続!!その理論をもってしても、実用化は遅々として進まず

      世界の人々は希望が大きかっただけにイラ立ち、

         彼らに非難の目をあびせる様にまでになった・・・・

           そして彼らが諦め様とし、挫折を目の前にしたその時だ!!

             ついに!一人の博士が決起にはやってしまったのは!!!

   ――「やめろ!何をする!!」

      「かまわん、今さら他に方法があるのか!!」

      「止めろ!フォアグラ―を止めろ」

      「彼は暴走している」

      「引き離せ!彼をあれに近づけるな!」

      「このサンプルの危険性は想像以上だった!」  

     「何もかも失敗か!」

      「そうだ失敗だ!」

      「失敗だ」

      「実験は完璧ではなかった!無謀すぎる!」

      「もう遅い!世界は待っているのだ!この研究の成功を!

        我々は一刻も早くこのエネルギーを作り上げねばならんのだ

          そのためには何の恐れもいらん!!・・そう・・・

            私はこれと共に生き、これとともに死す!

                今さら何のためらいがあろう!!!」―――――――――

          そう、その博士は不完成状態で未調整のパーツを作動させたのだよ

     そして制御できないエネルギーとパワーはある一国の

              全土そのものを蒸発させてしまったのだ!!」

   「そ、そんな」

   その時笑作は、自分でも理解できないような、感情にとりつかれた。

   何かにたいする悲しみ、自分にたいするイラ立ち、わかっているのはそれぐらいだった。

   「その惨劇の中心となったのがデパート・・・・

      そして、そのデパートのあった国は今は存在しない、

         私の生まれ故郷と共に・・・・・・・・・・ははは・・・・

    はははははは!!傑作じゃないか!!何が平和のためのシステムだ!!

         笑わせるんじゃない!我々BS団でもここまではしないさ!!」

   「そんな事があったなんて・・・僕は・・・」

   「だがな、事はそれだけではすまなかった。その後が本当の惨劇だったのだよ」

   「黙れ―!!」

   イワシがさらに話を進めようとすると、それを止める様にレギュラー博士が走ってきた。

   いつ目が覚めたのかはわからない。

   「黙れ黙れ黙れー!!」 

          博士はそのままイワシに突っ込み、体当たりをくらわせアバンテJrを奪い取った。

   そして、壊れている車の方へ向って走って行った。

   「これが私の、命をかけた償いだ!!」

   「何をする!!」

   イワシが止めるのを聞かず

   博士は車に取り付けられていたモーターを無理やりに取り外し、アバンテJrのモーターをセットした。

   車のエンジンがかかった。

   そして、モーターのセットした位置から、緑色の光が上がった。

   光の柱が作られたのだ。

   その時、ウリハラエヌスに異変が起きた。

   突然、目の辺りにあるライトが勝手についたのだ。

   そして、体の周りにはられているバリアがどんどん広がっていく

   近くにいたジャイアンとロボは増大するバリアに押され倒れてしまった

   そして、ウリハラエヌスはエネルギーが尽きたかのように止まってしまった。

   「こ、これは十年前と同じ・・・・・」

   「そんな・・・」

   その場にいた者は皆、恐怖していた。

   車は爆発し、光の柱が広がりながら地面が割れていく。

   ズゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォォォ―――――・・・・・!!!!!

   そして、光の通った場所の電気は次々と消えていった

   街には混乱が起きた

   車は止まり、電車は制御不能、医療施設もストップし

   デパートやスーパーもその働きを失った

   玩具やライターさえも動かなくなってしまった

   街には一切の光も無く、本当の闇の夜に包まれてしまった

   美しき幸せの夜は止まった、そこには、恐怖の夜があった

   その街の、ある人がその時こう思ったそうだ

   ――――人は罪深き者

           これは、我々のした過ちが起こしたものなのだろうか

                         それを拭い去る事は許されるのだろうか――――

   これ以上、人に進むべき道があるのか街の住民たちはわからなかった。

   闇がすべてを飲み込んだ結果だった。

   遠い彼方で爆発が起きた

   そこに、特売バーゲン機構の風呂桶ミンチがいた。

   地面は崩れ、火の粉が舞い、大地から巨大な商品が上りあがってきた。

   町を崩していくその姿はまさに、破壊神と呼ぶにふさわしいものだったのかもしれない。

   「同じだ・・・何もかも十年前と・・・・」

   風呂桶が何かを知っているかのように呟く

   「ふふふふふふふ・・・・」

   突然笑い声が聞こえ、風呂桶が声のほうを向いた。

   そこには、人が宙に浮いていた。

   「これから本当の夜をお見せする・・・・・大借金フォアグラ―」

   地面から、マグマが噴き出すかのような爆発が起こった。

   その中から、出てきたのは黒く巨大な球が出てきた

   その球には、目があった

   「全世界に告ぐ、全世界に告げる、ダッシュモーターに頼っている全ての者に告げる

      今十年前の借金を返済する時が来た!これは、BS団の名のもとに行う復讐である

          タミヤへの復讐である!そして、その鉄槌を下すのがこの黒い大借金!!!!

             その名は・・・・レモン・キャビア・フォアグラ―――!!!」

   この時をもって、人々の幸福には幕が降りた

   惨劇の序曲は始まったのだ

           全てのエネルギーが止まっている

   みんな困っている・・・・・イワシも困っている

   「ああ・・・・私のウリハラエヌスまでもが・・・・・」

   ウリハラエヌスも起動を停止してしまい倒れていく

   「間違い無い!!これはアンチオーバードライブ!!」

   揺れる地面はそれを弱める事は無かった

   地震は続く、地割れはひどくなる一方だった

   「すまん、酒君!!何もかも私が悪かったのだ。

     今さら何を言おうといいわけにしかすぎん

。         だが、本当の事を話す。十年前の真実を・・・・あの日何があったかを・・・・・・

           ・・・・・・だからお願いだ。許しておくれ・・・・・・フォアグラ―・・・・・・」

     バン!!

   銃声だ。

   「死にぞこないのじじいが!!」

   イワシが博士を撃ったのだ!

   「あ・・・あああぁぁぁぁ・・・・・・」

   博士が苦しみながら地割れの隙間に落ちていく・・・・

   その下は海だった。

   「博士ぇー!」

   「博士ぇぇ―!!」

   「死ね―!!」

   みんなが心配するなか、一人とんでもない事を叫ぶやつがいた。

   鍋牛だ。

   そんなに博士が嫌いか?鍋牛よ・・・・・

   「じじいが!余計な事をしてくれた」

   イワシは先ほどまで博士のいた場所に行き、マシンのモーターを取り外そうとした。

   その時だ

   ザバアアァァァーーーーーン!!

   ジャイアンとロボが海から現れた

   博士を拾い上げて

   「ロボ!」

   「なんだと!!」

   イワシが驚いている。

   無理も無いだろう。

   自分のウリハラエヌスは止まっているのに・・・・。

   いや、全てが止まっているこの時にロボは起動しているのだ。

   だが笑作はこのチャンスを見逃さなかった。

   「ロボ!そいつを捕まえろ!!」

   逃げるイワシにロボは、容赦なく腕を振るう。

   イワシの方に手を伸ばし、イワシを捕まえた。

   「な、何故だ!!何故この全ての動力がストップする

      不景気現象の中で、なぜロボは動ける!!」

   イワシは混乱している。

   その間にロボは、博士を地面に下ろした

   「博士!博士!!」

   「博士!」

   みんなが心配して博士に駆け寄った

   その中に一人何気なく博士に蹴りをいれる者もいる

   誰かという事はあえて言うまでも無いだろう

   だが博士は気にしていない様だ

   死期が近い事を悟っているのだろうか

   もう自分が助からないという事を

   そんな状況で、博士はロボを真剣に見つめていた。

   「そ・・・そうか・・・ロボはそうだったのか・・・これなら勝てる・・・・フォアグラ―に勝てる」

   「え!」

   みんなが一斉にロボを見た。

   金0が車に駆け寄り、モーターを取り外した。

   「こんな物が・・・・」

   金0は吐き捨てる様に言った(イメージ悪っ)

   そして、それと同時にウリハラエヌスが再び動き出した 。

   「よーし、動力が戻ったな!ひとまず海の中に逃げ込め!!」

   イワシはウリハラエヌスに乗り込み命令を出した 。

   グオオオォォ!ガシッ!!

   ロボがそれを阻止しようと取り押さえる。

   そのまま引き寄せ、思いきりブン投げた。

   ドカ―――ーンンン!!

   ウリハラエヌスは壁にたたきつけられた。

   「くうぅ・・・なんというパワー・・・」

   イワシはウリハラエヌスの頭部に付いている小さなスイッチを押し、そこに現れたレバーを引いた

   バシュ―・・・

   脱出装置を使ったのだ

   頭部だけが外れて、そのまま飛んで行き

   海へと隠れていった

   ロボが大砲を発射するが間に合わなかった 。

   ちゃっかりしているイワシは

   近くに転がっていたトライダガ―2000はしっかり持って行ったそうだ。

       戦いの後、ロボの手の上でみんなは博士を囲む

   別にリンチをしようなどとは思っていない

   この時は、あの鍋牛でさえも

   「たのむ!このままでは十年前の過ちがまた繰り返される

      彼を・・・・フォアグラ―を止めてやってくれ」

   「博士。どうすれば良いんですか?」

   笑作が博士に尋ねた。

   「やつはまだ完全ではない!

      その最後のマシンを渡さなければ・・・・

         三機そろわない限り・・・・・三機・・・・」

   「わかりました」

   「博士、これ以上無理をしては・・・・」

   酒味醂が心配そうに言った

   死ぬ事がわかっているのにあえてそう言うのは

   知恵ある者のやさしさなのだろうか

   「いいのだよ・・・酒君・・・

     ・・・私はもう・・・・笑作君!」

   「はい」

   「チャンスは君だ・・・世界は君とロボにかかっているのだ

      君達だけがフォアグラ―を止められる・・・・」

     「はい」

   「笑作君・・・・ロボは・・・ロボは・・・・・・・・・・」

   その小さな声を笑作は聞き取った。

   そして、笑顔でそれに答えることにした。

   「はい。博士!ロボの動力はサラダ油です!!」

   「ええ!!……」     みんなは驚いた。

 博士はニッコリとして息を引き取った。

   「博士?博士・・・・博士ェェェ!!!」

   笑作は泣いた    

   思い切り泣いた

   これだけ泣いたのは、あの人が事故った時以来だっただろうか。

   笑作のいたグループのヘッドがバイクで事故を起こしたのだ。

   その日以来、笑作は族とは手を切ったのだ。

   「きれいな夜・・・・」

   金0が戻った町の光を見てそう言った

   「でも、人々は汚れた商品はすぐに捨ててしまう・・・」

   その金0のセリフに意味があるのかはわからない

   たぶん関係無いのだろう

   本当の世界とは何なのか、幸せとは何か

   人々の心は本当に希望を持っているのか、明日は、未来はあるのか

   そして真実とは・・・・

   戦いはまだ始まったばかりとも言える

                            ―――つ づ く―――

   ――――――――――――予 告―――――――――――――――

   十年前の惨劇の証人、ミニ四区その栄光に輝く敗北は、さらなる謎を呼び    

デパートを決戦の場と選ぶ・・・・だが、一人留守番をくらう草間笑作は

   「お願いです、僕も戦わせてください

     レギュラー博士の仇をうたせて下さい

       それとも、今さらロボのサラダ油が怖いって言うんですか?」

                   次回

             激安!品揃え・バーゲン作戦!!

                デパートに堕つ

               ・・・ご期待ください・・・・

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