だるま物語 (洋題 Road of the DARUMA)

みなさんは・・・「だるまさんがころんだ」という遊びを知っていますか?
おそらく・・・殆どの方が知っていると思います・・・
ですが・・・この言葉の中に・・・どんな思いが込められているのか・・・
これを知っている方は・・・そう多くないのでは?そう思われます。
この物語は・・・そんな10文字の言葉の中に込められた・・・
不器用で・・・熱くて・・・そして・・・丸い・・・ひとりのだるまの物語。
だるまさんが転ぶまでにどんなドラマがあったのか?
それを語る物語です。
さあ、みなさんで元気にあの掛け声を叫びましょう。
「だ〜る〜ま〜さ〜ん〜が〜・・・・・・・」




走っていた。
病気の妹に手術を受ける勇気を与えるため、
42,195kmの距離にケガを隠して挑もうとしていた。
だるまさんは足に痛み止めの注射を打ってでも走ろうとした。
当然医者は止めた。

「無茶だ!痛み止めは痛みを消すんじゃない。
 感覚を麻痺させて感じさせなくするだけなんだぞ!
 その後の苦しみが倍になるだけだ!」


・・・だるまさんは静かに答えた。

「そんな事は知っている。いいから打ってくれ。」

医者には理解できなかった。。

「だったら何故!?だいたい痛み止めの効果はとてもレースの間などもたんぞ!」

だるまさんは医者を睨みつけるようにして答えた。

「だったら、切れる前にゴールすればいいだけだ!その後この足がどうなるかなんてどうでもいい!」

だるまさんは続けた。

「・・・妹と約束したんだ。俺は必ず優勝する。だからお前も手術を受けろって・・・」

「!!・・・・・・・・・」
結局、医者にだるまさんを止めることはできなかった。



その日がやってきた。その医者は苦渋の表情で痛み止めを打っていた。
そして、レースが始まった。
だるまさんはただガムシャラに走り続けた。
言葉どおり、先の事など考えず、ただただ全力で駆け抜けていった。
人間(だるま?)、気持ちの力とは偉大なものだ。医者も驚いていた。
だるまさんは不思議なことに全く疲れを感じなかった。
だるまさんのペースは全く落ちる事なくレースは進んでいった。
とうとう、だるまさんの前には競技場が見えてきた。
その頃には、2位以下は遥か後方におり、影も形もなかった。
誰もが、そしてだるまさん自身も優勝を確信していただろう。
競技場に入ろうとするだるまさん。それを迎え入れる歓声。


まさにその瞬間であった。悲劇は起こった。
だるまさんの痛み止めが切れたのだ。
40km以上を全力で駆け抜けてきた分の痛みが一気にだるまさんの足へ襲い掛かる。
想像以上の激痛。だるまさんの意識はもはや風前の灯であった。
激痛の中、薄れ行くだるまさんの意識。
だがゴールまではあとわずかだった。
最後の力を振り絞ってゴールへ向かって走り・・・いや、歩きだした。
しかし、心は前にいこうとしても足がついてこない。
自分の体が自分のものではないような感覚だった。
それでも何が何でもゴールしようとしたその瞬間だった。
一際鋭い痛みが体中を駆け抜けた。
それは最後のだるまさんの意識を奪い、そのまま・・・・


「だるまさんが転んだ。」