| いつでもそこに、君がいればそれでいい。 「……どうなさいました?」 「ん……、別に」 傍らにいることがなくても。時間を共有することがなくても。 「綺麗な貌だなー、と思ってさ」 君がこの地にいるのならば、それでいい。 「なっ……! ふっ、不潔です!!」 相変わらずの反応も、その表情も。それが変わらずこの地に在るのならば、それでいい。 「壬生屋」 「はい」 自分はすぐにも、ここを発つけれど。 「全部片付くまで、待っててくれるか」 「……はい」 そうやって微笑って頷いて。 君にはこの地にいて欲しい。自分がこの地へ還って来る理由となって欲しい。 「芝村と上手くやって行けよ」 残して行くことに不安がないと言えば嘘になるけど。けれど、この戦争が終わったら、そのときはきっと。 「……片付いたら、帰ってくるから。速水も一緒に」 「芝村さんにも、そう言っておけばよろしいですか?」 「いや、速水が直接言うだろう」 戦争を終わらせる為に、戦う為に、自分と速水は関東へと向かう。自分の全ての行動理念は、この女を護り抜くことにあればいいと思う。国を守るとか世界を救うとか、そんな大袈裟な理由じゃなくて。死なせたくない女性がいるから戦う。そんな理由で丁度いいと思う。 「……じゃあな、壬生屋」 「はい、瀬戸口さん」 そして俺は、壬生屋に背を向けて歩き出した。また逢える日を思い描いて。 |