晴れ!!
 何処までも高く透き通るような蒼! 雲ひとつ無い空! 暖かい四月の風!
 今日もいい天気だ。さあ、行こう!!






HERO 〜僕らの日常〜





 「到着ぅ!!」
 オレは、学校の前で走るのをやめると、大きい声でそう言った。何故か周りの生徒達が、怪しいものを見る目つきでこちらを見ているが……まあ、気のせいだろう。っていうか、気のせいだ。うん。
 おっと、言い忘れていたな。
 オレの名前は、北川 潤。Kanonをやっている奴等は、オレの苗字が北川って言うのは知っていても、名前が潤だってのは知らない奴が多いらしいからな。
 この機会に覚えておけ!
 おお、そうだ! 気軽に潤って読んでくれてもかまわないぞ? ただし、女子に限る。
「っと、こうしてる場合じゃなかった」
 走ってきて、結局遅刻じゃアホみたいだからな。急がないと。






「おはよう、北川君。今日も無駄に元気ね」
 教室に入ると、ウェーブの掛かった長い髪の少女がそう言ってきた。
 オレのクラスメートの美坂 香里だ。成績、容姿共に、抜群で、彼女のファンクラブすらこの学校にあるという噂……。
 台詞の後半部分が気になるが、まあ、善意的に受け止めておこう。オレは前向きなのだ。
「おう、おはよう! ところで、あいつらは?」
「いつも通りよ」
 美坂があっさりと言ってくる。ちなみにあいつらとは、オレのクラスメートの相沢 祐一と、水瀬 名雪のことだ。
「いつも通り…また、遅刻か。まあ、普通のことだな」
 相沢は、3ヶ月ほど前にこの学校に、転校して来た男で、何か訳の分からん思考回路を持つ謎の男だ。
 この前、そのことを他の友達に話してみたら、「類は友を呼ぶ」なんて答えが返ってきたが……どういうことだろう?
 っと、話がそれた。えと、何だったけな?
「名雪のことよ」
「うおわっ!? って、美坂か…すまん、そうだったな、確か水瀬さんのことを……って、何、人の思考読んでんじゃい!?」
「世の中には科学では解明できないことがたくさんあるのよ…」
 む? そうか、確かにそうかも知れんな。そういうことにしておこう。細かいことを気にしない、オレの器の広さ……ああ、やっぱりオレっていい男だよなぁ(しみじみ)。
 長くなってしまったな。
 水瀬 名雪。相沢の従兄弟。こちらは、オレがこの高校に入ってから、ずっと同じクラスだった女の子で、長い髪が印象的だ。まあ、きっと美人の部類に入るんだろうな。実際、結構可愛いしな。
 でも、要注意だぜ、お兄さん。この娘はともかく、よく寝る。ハンパじゃないほど寝る。この前、みんなで遊園地に行ったときに、一緒にジェットコースターに乗ったんだが、その最中に、何と、彼女は安らかな寝息をたてて眠っていたのだ! この時ばかりは、さすがにこの娘の神経を疑ったぜ……。
 とまあ、こんな感じかな?
「解説は終わったの?」
「ああ、まあな」
 感謝するぜ。美坂。お前が居なかったら、水瀬さんの紹介を忘れるところだった……って、何で、オレはこうも簡単にこの状況を受け入れているんだ!?
「自分で、細かい事は気にしないって言った(思った)んじゃないの?」
 確か、そう言ったような気もするって、またなんか心読まれてるし……でも、よく考えたら、オレの居る日常も、限りなく非現実的なんだよなぁ。
 ん? 何が、非現実的なのかって? それは、まだ、教えられないな。でも、安心しろ。
 これは短編なので、謎の答えはまた次の機会に――っていうことは無いから。
 え? 今すぐ聞きたい? でもなあ……まあ、少しくらいなら。と、
「北川君」
「ん、なんだ? 美坂」
「序盤のうちからネタばらしは、厳禁よ。そういうものは、ある程度とっておかないと読者がいなくなるわ」
 むう、そうか。でも、こんなの読んでくれる奴が何人いるかどうかってこともあるが……
 まあ、そういうことだ。ちょっと我慢してくれ。
 ところで、美坂さんよ……そろそろ、人の心を読むのやめてくれると、お兄さん嬉しいんだけどなぁ。
「それは、無理な相談よ」
 そうね。早速、読んでるし(泣)。






「じゃあ、特に連絡することも無いので、今日は解散」
 担任の石橋はそう簡潔に言うと、帰りのHRをあっさり終わらせて、教室から出て行った。いつもながら早いな。でも、ここまであっさりしていていいのか?
「おう、北川。放課後だぜ」
 前から、男が声をかけてきた。
「ああ、分かってる。放課後だよな。放課後……って、時間進むの早ッ!!」
 オレが、大声で驚くと、回りもそれで驚いたのか、クラスメートの連中がこちらを見ている。
「おいおい。錯乱するのもいいかげんにしろよ? 北川」
 再び、男が言ってくる。お前にだけは言われたくないぞ。相沢。
 ああ、そうだ。この男が相沢 祐一だ。簡単な説明は、もう、したよな?
「何、言ってんだ。いくらなんでも時間進むの早すぎだ。さっきまで、朝だったじゃねえか!?」
 オレは、相沢にそう言った。だが、奴は……
「そっちこそ。時間を急に進めたりすることは、小説とかSSじゃあたり前だろ? それに、それは読者の感覚だ。ちゃんと俺達は、普通に授業を受けたりもしただろが」
 む。確かに。授業は、ほとんど寝てた気がするが……って、ゲフン、ゴフン!! いや〜、僕が授業のときに寝るなんて、あるわけ無いじゃないですか! さっきのは、言葉のあやってやつですよ。
 と、まあ、冷静に考えれば、そうだよな。でも、裏話に話を突っ込むのは良くないぞ、相沢。(話を持ち出したのが、オレだと言う説は却下)
「話は終わったかしら?」
「ああ、一応。とりあえず、名雪を起こすか」
 こちらの話が終わったことを察知したのか、美坂が言ってきた。
「全く、北川君も電波を受信するのも、いいかげんにした方がいいわよ。いっそ、その触覚切っちゃえば?」
「はは、そりゃいいな!」
 美坂と相沢がとんでもないことを言ってくる。
「ふざけんな! これは触覚じゃねえ!!」
 あの二人は、オレの頭のてっぺんから伸びている髪のことを言ってるんだろう。最初に言っておくが、断じて触覚などではない。
 確かに、危険が迫ったときや、妖怪とか、霊が近くに居た場合、反応することもあるけど……(しばらく前に、上級生の川澄 舞って人と夜の校舎で、何か変なものと戦ったときは、反応がすごかったなぁ)。
「まあ、触覚はいいとして、電波はやばいわよ」
「電波!? オレが何時、電波を受信していると!?」
「じゃあ、あなたは、さっきから誰に語りかけているのかしら?」
 なぬを!? 美坂の奴また人の心を……でも、確かにオレは誰に話し掛けてんだろう?
 ぬう、気になってきた……おお、あなたは一体誰なのデスカ!?

――そういうことは気にしちゃだめでちゅ〜(←神の声)

きゅぴりーん。
 はっ! 何だ? むう、何か知らんが、そんな事気にしてはいけないような気がしてきたぞ! うん、そうだ! 気にするな、北川 潤! ファイトよ、潤!!
「――という訳で、気にしないことにする」
「そう、それはよかったわね」
 美坂が、気の抜けた声で祝って(?)くれた。Thanks美坂!
「ところで……」
 閑話休題。水瀬さんを起こすんだったな。……おお! オレ、閑話休題なんて、難しい言葉使えんじゃん! オレも、ビックリ! じゃなくて、すごいなオレ!!
「ああ、名雪なら気持ちよさそうに寝ているぞ」
 本当だ。これ以上ないというくらいにぐっすり寝ている。
「よし。頼むぜ。相沢!」
「ああ! まかしておけ、北川!」
 オレが肩をぽんと叩くと、相沢は親指をグッと立ててそれに答えてくれた。横では何故か、美坂がやれやれと肩をすくめているのが見えたが、きっとオレ達の友情に感動してるんだな。
 ところで、何故、彼女を起こす役目が相沢に回ったかと言うと、水瀬さんを起こすには、とてつもない労力と技術が必要なのだ。
 そして、それを持っているのは、ここには相沢(あいつ)しかいない。
 まずは、ワンステップ。
「お〜い、名雪〜! 起きろ。起きろ。起きろ―――――」
 とりあえず、声をかける。無論これくらいでは起きるはずも無い。
「起きろ―――――――!!」
 相沢は、それでも懲りずに、言い続ける。
「起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ起きろ――」
 更に連発、読点が無いほどの連発振り! さすがは相沢だぜ……。
 オレは、勢い的に何故か口をぬぐいながらそう言った。
「起きろ起きろ起きろ――プチッ! ホワチャアァッ!!」
 あ、切れた。
 だが――
 ガッ! いきなり切れた相沢のチョップは、何者かの手によって防がれた。
 それは――水瀬さんの腕。そう、彼女は寝ながらにして、その攻撃を受け止めたのだ。そして――
 ヒュオッ!
 空を切る音。凄まじい手刀。これがあるから、ほかの者には、彼女を起こせないのだ。
「甘いぜ! お前の目覚まし係は伊達じゃない!」
 それを受け止める相沢。おお、かっこいいぞ、相沢! 馬鹿だけど。
 更に、来る攻撃を受け止め、
「くらえっ! 止めだ!!」
 相沢が決めに入る。どうでもいいが、水瀬さんを起こすんだろ? 止めさしてどうするよ、相沢……。
 そして、教室に音が響き渡った――こーん、という相沢のチョップが水瀬さんの頭に、決まる音とドグシャァと言う気持ちの悪い音――水瀬さんのカウンターがもろに相沢に、入った音だ。
 相沢が、大きく吹っ飛ぶ。その最中、彼はこう言った……。
「へへ……勝負は、相打ちになっちまったけど、俺、がんばれましたよね? 師匠……」
 凄まじい音と共に、相沢が黒板に打ちつけられる。
 相沢よぉ……お前、漢だゼ――でも、師匠って誰さ?
 相沢の体が、黒板からずるりと落ちた。あ、人型できてる。
 まんがみたいだなぁ。じゃなくて、相沢は大丈夫だろうか? いや! 大丈夫だ! アイツは死にはしない。生霊が平気で闊歩してたり、腹斬っても生きている人間が居るくらいだ。
 例え、今死んでいても、明日には、元気に学校で姿を見せてくれるに違いない。
 オレは、奇跡と――お前を信じるぜ!!
 でも……でも、今だからいうよ……
「こんなことで一生懸命になってるお前って、やっぱり馬鹿にしか見えなかったよ」
「うにゅ?」
 あ、水瀬さんが起きた。
 その時!
 ピピピピピピピピピ!!
 けたたましい音が、オレの腕時計から鳴る。ついでに、美坂の方からも。
 これは、緊急招集!!
「美坂……!」
「はあ、行くのね?」
 何故か嫌そうな美坂。
「ああ、もちろんだ。よし、すぐに出発だ!」
 オレは、起きたばかりの水瀬さんをそのままにして、速攻で教室から出る。
 このままじゃ、彼女もう一度寝ちゃうかも。でも、仕方ないよね、相沢……。例えそうなったとしても、お前のあの闘いはきっと無駄じゃないから。
 それも、これも、正義のため――だって、オレは正義のHERO!






「一応、戦隊ものだというのに、全く関係ない話で、こんなに時間をとられるとは、一体何を考えているのでしょうか?」
 オレ(達)が、基地に着くや否や、指令の水瀬 秋子さんは、そう言って来た。
「はあ、すいません。でも、これは、オレのせいじゃなくて……」
「仕方ありません。時間は少ないですが、その時間で、よりかっこよく見せ付けるほかありませんね」
 よりかっこよくってアンタ、他はどうでもいいんかい。と突っ込みたかったが、怖いので言わない。
「北川さん」
「は、はい!」
 いきなり呼ばれてビクッとする。
「今、失礼なこと、考えませんでしたか?」
「いっいえ! そんなことはありませんよ。はっはっはっ」
「そう、じゃあ、後で、香里ちゃんにでも聞いておこうかしら…」
 ぬおあっ!? この人、香里がオレの心読めるの知っとる!
「あは、はっはっはっ……」
「ウフフフフフ……」
 オレは空笑いするしかなかった。美坂にどれだけ払えば口止めしてくれるかなぁ……。
「ところで、佐祐理達は今回、何をすればよいのでしょうか〜?」
 すぐ右横に立っていた、正にお嬢様といった感じの娘が口を開いた。
 彼女の名前は、倉田 佐祐理。何と、あの倉田議員を父に持つ生粋の超お嬢様だ。3月までは、同じ学校に通っていた。現在は、大学に通っている。
 そうだな、この際だから、他も紹介しとくか。
 その隣に立っているのが、久瀬。オレの通っている高校の生徒会長をしている。こいつとは中学時代からの付き合いで、ちょっと理屈くさいところもあるが、まあ、いい奴ではある。
 でも、さっきから「何で、僕がこんなことを……」などと、ぶつぶつ言っているのだが、何か不満なのだろうか?
 続いて、オレのすぐ左。物静かそうで少し大人びた少女。名前は、天野 美汐と言う。実際彼女の言動は、大人のような落ち着きがあり、オレより一つ下だというのに、どうしても、自分より上年だと考えてしまうときがある。
 そして、その更に左に美坂。こちらはもう紹介したよな?
 最後にオレを加えた5人が、この戦隊のメンバーだ。
 あ? 戦隊の名前? それは、も少し後で、な。
「はい、現在、商店街で怪人が暴れています。あなた達はそれを鎮圧して下さい」
 ぬう、燃えてきたぜ。罪も(多分)ない人たちをいたぶる悪人……。うぉぉぉぉーーー!
 オレが! 成敗してやるぜ!!
「よおし、それじゃ早速行くぜ!」
 オレは、善は急げとばかりに言った。
「はあ、待ちなさいよ」
「そうです。敵の目的がわからないうちに動くのは危険ですよ、先輩」
 美坂と天野がオレを止めた。
「ほら、佐祐理さんも何か言ってやって」
「はあ、でも、佐祐理は、ただ敵をぶち殺……ゲフン、ゴフンッ! ……え〜と、駄目ですよ、北川さん」
「ね、彼女もあ〜言ってることだし」
「ちょっと待て! その台詞を言う前に気づかんのか!? 何か「駄目ですよ」の台詞の前に、不審なのが混じってたぞ!?」
 叫ぶオレ。絶対今のは、電波とか幻聴じゃない! 絶対聞こえたぞ。
「はあ、何を言ってるのあなたは? そんなこと佐祐理さんが言うわけ無いじゃない、ねえ、天野さん」
「そうですね。私にも聞こえませんでしたし……先輩、疲れているんですか?」
 ぬあーーーー! こいつらは!! 絶対、嘘ついてる。嘘ついてるよ。
「あはは〜、北川さんもお疲れのようですねぇ」
「また、電波かしら?」
 電波? 電波なのか!? 今度も電波なのか!?
「そうよ」
 また読まれた……。くっ、だが、ここまで否定されると、電波はともかくとして、聞き違いだって思えてくるぞ。
「あはは〜、それでいいじゃないですか」
 ごべりばっ! また、ここに新たなる心読み人がッ! オレにプライバシーは無いのかぁ?
「有るわよ」
「え?」
「ただし、あたし達には筒抜けだけどね」
「そりゃ、プライバシー無いも同然じゃーーーーーーーーー!!」
「お二人には、北川さんの心が読めるんですね。少し、羨ましいです」
 羨ましがらんでくれ……。
「じゃあ、後で、佐祐理が方法を伝授しましょうか?」
「では、お願いします」
「こるぁーーーっ! 止めんかーーーー!!」
「あら、じゃあ、私にも、教えてもらえるかしら? 面白そう」
 あ、秋子さん、もとい、指令まで……。
 ……もうええ。
「はは、もういいです。さっきの変な台詞も、あなた達が、オレの心を読めることも、もう全部電波のせいということで……うふ、うふふふふふふふ」
 真っ白に燃え尽きたよ、ジョー。
「うわぁ、北川君、壊れちゃったわ」
「こんな時は、久瀬さんの出番ですね!」
 あはは、何か横の二人が何か言ってるよ。でも、関係ないや。
 あ、永遠が見えた。
「何で、僕が……」
 あ、あれは、何だ? 女の子が見える…。
「久瀬さん、やらないと……」
 何か、オレのこと呼んでるのかな?
「わ、分かりましたよ!」
――永遠はあるよ
 うん、そうだね。ここにあるね……。
「潤」
 ああ、そうだね。オレ、永遠に行くよ。
「アレをばらすぞ」
「よっしゃあ! みんな、早いトコ怪人を倒して、街に平和を取り戻すんだ!!」
「北川さんが復活しました〜! よかったです」
「大丈夫ですか、先輩」
「まあ、良かったわね」
「全く、世話の焼ける」
 ありがとう。みんな! でも、よく考えたら、オレがこうなったのって、全部君達のせいだよね(泣)。
「ところで……」
 ん?
「アレって何かしら?」
!!!!!!!!!!!!!!!!
「むっ、今、北川さんの心に動揺が……さては、かなりの秘密ですね?」
 いかんっ! アレを知られるわけにはいかない。オレの人生が狂ってしまう!
「いかんっ! アレを知られるわけにはいかない。オレの人生が狂ってしまう! って言ってるわ」
 ぶべらっ! ここには、オレの心を読める方が2人……考えるなっ! 決してアレを考えてはいけない。
 ああ、だがしかし、そう思うと余計に考えてしまいそうになる〜〜。
「あはは〜、北川さん。アレですよ。ア・レ」
 うおあ〜、い〜か〜ん〜。
「年貢の納め時ね……北川君」
 何でオレが、お前等に年貢を払わなきゃいかんのだ!?
「先輩……」
 天野?
「先輩、気を落ち着けて、深呼吸して……」
 天野……助けてくれるのか? ああ、そう思うと気が楽に……。
「さあ、楽になりましたか、じゃあ次はこれを見て…」
 お、何か楽にっていうか、眠くなって……
「あなたは、だんだん、秘密を喋りたくなる…喋りたくなる――」
「って、天野! お前もカーーーーーーーーー!! 催眠術かけようとするんじゃねえ」
「ちっ」
 今、「ちっ」って、くう、オレが信じられる奴は居ないのか!?
「はっ、そうだ! 久瀬!」
「無理」
 そんな、きっぱりと言わんでも……。
「うふふ、追い詰めましたよ〜」
 くっ、もうこの際、再び永遠にいくしかないのか!?
 よ〜しっ! もうええ、永遠、かもーん。
 おお、景色が、歪んでいく……そして、あの少女が――いない!? 代わりに立て札が。何々……
『間に合ってます』
 なぬぅぁ!? さっきまで、空いてたのに……まさか、おのれ、折○めぇーー!!
「ふふ、どうしたの北川君……」
 こうしている間にも奴等は、こちらににじり寄ってくる。
 もう絶体絶命か!?(ちょっと違う)(←オレにとっては死活問題なんだ!)
 いや、まだだ! 確か、前に、相沢に天使の人形探しを手伝ってくれって言われたときに、運良く見つけたんだけど、あいつがハッピーエンドに行くのがムカツクので、渡さなかった記憶が。
 確か、あれは、天使が願いをかなえてくれるんだったよな。今、持ってるかな?
「さあ! 吐きなさい!!」
 ぬうっ……ん? あった!
 よっしゃ、さあ、天使よ! オレの願いをかなえてくれ!! この際、その天使が例えタイヤキをいつも食い逃げしては、うぐうぐ言ってるような奴だろうと気にはしない!
――うぐぅ! 誰が、食い逃げしてうぐうぐ言ってるんだよ(怒)!
 ガンッ! ぐあっ…何かが降ってきた。
「タライ?」
 ドリフかよ……。
「さあ! さあ! さあ!」
 しかも、目の前の連中は、タライが降ってきたことを何とも思っちゃいないし。
 だが、奇跡は起きたのだ!
 ウィーーーーーーーーーーーン!
 警報音が鳴った。
「あらあら、大変。怪人が本格的に暴れ出したみたい」
「えっ?」
「仕方ないわ、すぐに準備をして、現場に向かって」
「でも…」
「そうだぜ! みんな、困っている人を助けるんだ!」
 ここぞとばかりにオレは言う。
「仕方ないわ、それに――また、後で聞けばいいし(ニヤソ)」
 それまでに、何とか対応策を練っとかなくちゃなあ。
「それでは――謎ジャム戦隊 カノンジャー 出動!!」
 しかし、この「謎ジャム」って部分、何とかならんかなあ?






 ひゅ〜〜。
 風が吹き抜ける。商店街は、平和そのものだった。確かに多少荒れているもののそんなに、激しくやられているわけではない。復旧もたやすいだろう。
「あの〜、ここに、怪人がいたと思うんですけど……?」
 おれは、戦隊のコスチューム(赤)を纏いながら、おずおずと、その場にいる人に尋ねた。
「ああ。それなら、帰ったよ」
「帰った!?」
 みんなの声がハモった。
「ああ、なんでも、いくら待っても、カノンジャー……だっけ、ともかくそれがこないって言って」
 おう、何つーか律儀って言うか……。
「もしかして、それ、アンタらのこと?」
 目の前が真っ白になる。そしてそれは、他のみんなも同じようだった。






「で、おずおずと帰ってきたわけですか……」
「でも、それは……」
「分かってます。これは、全体の責任。次からは気をつけるようにしましょう」
 それを聞いて、ほっと胸をなでおろした。この人なら、何を言い出してもおかしく無いからな。と、
「ん、全体の責任てことは、オレも含まれるのですか?」
「当然です」
 っていうか、大部分はあんたらのせいだろがコンチクショーと思ったが、怖いので言わない。
「北川さん?」
「は、はい!」
「今、失礼なことを考えませんでしたか?」
「い、いえ。そんなことありませんよ。あはははは!」
「北川さん」
「は、はい!?」
「……アレって何かしら?」
 その言葉で、オレのときが止まった。
 恐る、恐る後ろを振り向くと、そこにあるのは三つの殺気。
 オレは逃げた。






「ちくしょーーー!!」
「北川君、待ちなさい!!」
「あはは〜〜」
「先輩!!」
 傍目からは、羨ましい光景かもしれないが、事実は違う。ここで捕まる訳にはいかない。
「くぅ、しつこい!」
 どこまで、追いかけてくるんだ。っていうか、あいつらの体力は一体?
 やばい、そろそろばててきた……。
「北川君、こっち!」
 聞き覚えのある声。オレは、迷わず声のする方に向かった。
「あ!? 見失った?」
「何処に行ったんでしょう?」

…………………。

「ふう、行ったみたいだね」
「ありがとう、助かったよ。水瀬さん」
「うふふ、どういたしまして」
 ほんとに――助かった。
「でも、どうしてここに?」
「あ、商店街に行こうと思って……それで、北川君が全力で走ってるのが見えて」
「そうか……ともかく、ありがとうな」
「ううん、気にしないで」
 そう言いながら、水瀬さんはオレの手をぎゅっと強く握ってきた。
 おお、この展開はもしや!?
「北川君……あのね」
「あ……」
「アレって何?」

……ほ?


……強制終了


あとがき:
 何で、こんな物を書いてしまったんだ自分は……(ぉ
 いや、あのですね、何故か急にあほっぽい北川を書きたくなったんですよ。
 んで、勢いで書いたら……おおう、ちとこれ北川苛めっぽくない!?(爆)
 とまあこんな訳です。言い訳になってませんが。
 きっと、ほのぼのとか書いているいる反動なんだろうな〜、などと強引な理由をつけつつ、強引にあとがき終了。

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