プロローグ
地底深く、封印されている魔王の話は、今ではおとぎ話になってしまった。
封印を守る者はすでになく、時は無情にすべてのものを朽ち果てさせていくばかりであった。
そしてある嵐の夜、ついに封印は倒れた樹木によって破壊され、暗き地底から魔王はときはなたれた。
『我、二千年の眠りより蘇り、再びこの世に君臨せん』
魔王は復活と同時に、魔獣を呼び出した。
そして一つずつ聖なるクリスタルを持たせ、二度とこのクリスタルを人間が取り戻せないように
魔物を放ち、迷宮を造りあげたのだ。
魔王はかつて、この世界を破滅の手前まで追い込んだ。
しかしフェリシカの国王は聖地ゼリアードの精霊から魔法を封じる力を持つ
クリスタル”エスメサンテの涙”を譲り受けた。
クリスタルは、白き光と共に魔王を包み、その力を奪い地中深く封じこめた。
世界は再び、平和を取り戻した。
復活した魔王は復讐を開始した。
突然108日の間、フェリシカ王国に砂の雨が降り続いた。
砂の雨は流れ去ることなく留まり、シマヌダ山脈にあった城以外の国土のほとんどは、
砂漠になってしまったのだ。
次に魔王は魔力で美しき王女フェリーサ姫を石に変えてしまった。
『二カ月の後、神の沈む夜に我が祭のいけにえとして貰いにくる。』
魔王はそう言い残して、去っていった。
やさしい笑顔と鈴のような声で国民に慕われたフェリーサ姫は、今や動けぬ石像となってしまった。
国王は国中に使者を出し、フェリーサ姫を元に戻す方法を探したが、すべては徒労に終わった。
復活した魔王の力を打ち消せるほどの力は、もうこの世に存在していない。
国王はすべての希望を絶たれ、毎日石像となったフェリーサ姫を見つめて悲観に暮れていた。
しかし国王と人々の涙は、もう一つの力を目覚めさせた。
聖地ゼリアードの精霊は、人々の嘆きの声を聞き国王の前に姿を現した。
『国王よ、フェリーサ姫を元の姿に戻すには”エスメサンテの涙”で再び封印を造る以外にありません。
いまここに運命の者が、向かっています。
その者だけが、クリスタルを魔獣から取り返し魔王を倒すことができるでしょう。』
精霊に導かれた運命の使者、”デューク・ガーランド”が夜も白むころフェリシカの国に到着した。
石にされた姫を救い、そして魔王の手から、再び平和を取り戻すために・・・・・・。
ゼリアードのマニュアルから引用