「彼(彼女)はなぜツモ切りリーチを掛けたのか?」
先日,私はあるツモ切りリーチに振り込んだのであるが(参照:今日も放銃「ツモ切りリーチの理由」),これをきっかけにツモ切りリーチについてちょっとだけ牌譜を調べてみることにした。以下,いくつかの実戦譜(私の手牌ではない)を参考に,打ち手の心理を忖度してみたい。なおいずれも先行リーチである。
私などがツモ切りリーチの典型と思うのは,手が安くて待ちが悪い次のような手牌である(強調ツモ切り)。
Case1(東2局東家27,000)
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リーチ
手牌 ![]()
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ドラ
カン3筒待ちという待ちの悪さに加え,手が安い(リーチのみ),6筒がモロ引っかけになってしまうことから,一巡だけリーチを見合わせたのであろう。2万をツモったことで三色も見えるが,構わずリーチを掛けている。これと同様に,ソバテンが嫌で一巡待つという場合もあるかもしれない。
Case2(東3局南家26,300)
捨牌 ![]()
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リーチ
手牌 ![]()
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ドラ
入り目は6-9万であるが,もし先に5筒4筒や2索をツモっていれば,迷わず即リーであろう。
Case3(東2局南家27,000)
捨牌 ![]()
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リーチ
手牌 ![]()
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ドラ
打ち手の怒りが伝わってくるようなツモ切りリーチである。直前に切った8万を残しておけば789の三色であった。これも役がリーチだけのペンチャン待ち。
待ちが悪くて点数が低いために,追っかけリーチがきたら困るなどの理由から一時リーチをためらったこれらの典型を仮に「逡巡型」ツモ切りリーチとしておこう。ツモ切りリーチのすべてがこの型に当てはまるのであれば,これほどな楽なことはないのであるが,いうまでもなくそんなことはない。
Case4(東1局東家27,000)
捨牌 ![]()
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リーチ
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ドラ
一盃口の確定か567の三色を狙ってテンパイから2巡待ったものの,諦めてツモ切りリーチ。
Case5(東1局南家27,000)
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リーチ
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ドラ
ドラ引き期待でリーチを控えるものの,これも諦めてツモ切りリーチ。
Case6(東3局西家23,500)
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リーチ
手牌 ![]()
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ドラ
ダマで5200を張りながらも,最高の1筒引きを3巡待ち,結局こらえきれずリーチ。
以上の3例は,いずれもより高い手を目指してリーチを保留するも,先にツモってしまうことを恐れてリーチを掛けてしまうパターンであり,これを仮に「高め引き断念型」ツモ切りリーチとしておく。
Case7(東3局南家27,800)
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リーチ
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ドラ
この手牌は既に完成しており,これ以上高くする必要も無い。ところが西を切った時点ですぐにリーチを掛けずに,1巡待ってリーチを掛けている。私から見れば,この1巡の間にダマで和了れない1筒が出たらどうするのかとの疑問がわくが,こうしたリーチは決して少なくない。このツモ切りリーチには何ら理論的根拠は無いのであるが,「ここでリーチを掛ければ一発でツモる」という勝負勘に依拠している。実際この例でも,安めながらも対面から1筒が一発で出ている。このようなパターンを「オカルト的一発狙い」ツモ切りリーチとしておく。
第一東風荘では赤牌もクイタンもないのであまり当てはまらないが,テンパったにもかかわらず即リーせず,下家に鳴かれない牌をツモ切ってリーチを掛けて一発を狙うという戦略がある。よってこの場合は一発を消されないという根拠があることになる。なおこれに似て非なるものとして,捨て牌を指を離さず河に捨て,鳴きが入らないのを確認してから横に曲げてリーチを宣言するというせこい技があるが,これは立派なイカサマである。それからあまり関係ないが,捨て牌の指離れが遅い人,特にわざと遅くして他家の顔色を窺う打ち手は嫌いだ。
Case8(東2局東家42,600)
捨牌 ![]()
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リーチ
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ドラ
2-5筒4-7筒の4面張だが,なぜかこれも1巡待っている。これもCase7と同じ理由だろう。ただもしかすると,その1巡の間に待ちを確認したのかもしれない。。私ならやりかねない。。
こうした典型例の他,「ダマで5200あるからリーチ掛けなかったけど,やっぱり気が変わってリーチする」といった「気まぐれ型」ツモ切りリーチや,「逡巡型」と「高め引き断念型」の複合型,他家が三副露したことで出和了を期待する「状況変化対応型」などもあるが,もう疲れたのでこの辺で止めておく。
それでは最後に統計もどきでこの拙文を締めくくりたい。先に,ツモ切りリーチは待ちが悪く安いのが典型と書いたが,それを確かめるために統計を取ってみた。先行ツモ切りリーチの例を50取りだし,それぞれの待ちの形と出和了り期待得点(リーチで出和了った場合の高めの得点)を調べた。なお,私自身のデータとカラ切りリーチはサンプルから除いた。またこれと比較するために,私自身のデータを除くあらゆる先行リーチの例を170取り出し,同様の調査を行った。その結果は以下の通り。
| 先行ツモ切りリーチ | 先行リーチ全般 | |
| 期待得点平均 | 4382点 | 4522.9点 |
| 単騎 | 3(6%) | 21(12.4%) |
| ペンチャン | 3(6%) | 11(6.5%) |
| カンチャン | 13(26%) | 21(12.4%) |
| シャンポン | 9(18%) | 22(12.9%) |
| 両面 | 20(40%) | 83(48.8%) |
| 三面張以上 | 2(4%) | 12(7.1%) |
サンプル数が極めて少ないために有効な結果だとはとてもいえないのではあるが,とりあえずは予想した通りの結果が出ている。特に目を引くのがカンチャン待ちの多さであろう。期待平均得点と相俟って,ツモ切りリーチの期待値は先行リーチ一般よりもかなり低いといえよう。
とはいえ,これまでの考察は実戦にはほとんど役立たないと思う。このことは,これを書いていたわずか3日の間に,東風荘のRが60も下がったことにもよくあらわれている。よって「ツモ切りリーチだったから全ツッパしたら,5面張のインパチに振り込んだ,どうしてくれる」などと言われても私は困ります。