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人間の臓器をもてはやす、人間。 そんなことは許されるはずが無いのに。そんな事が考えられて良いはずが無いのに。 一体誰が人間を狂わせたのか。 悪魔か神か。それとも――いや、そんなことは考えても意味が無い。誰がそれを行おうと、その罪を償う事は出来ないのだから。 測り知れない――罪。 人間の臓器をもてはやす人間。それは生物としてありえない事。 ましてや子供の玩具としての臓器など、あってはならないはずなのだ。 目の前に存在する、数多の臓器を敷き詰めた箱。 無機質な鈍い輝きを持つそれは、何の変哲も無い日常の隅に確かに存在する。 しかし誰も気づかない。誰も気にしない。日常の端には、こんなにも黒い闇があるというのに。 箱は透明ではない。側面からは中が見えるのだ。人間によって作られた偽物の臓器が、透明のカプセルの中で沈黙している。 それなのに、誰も気にしない。気づかない。自らの罪にいつのまにか犯されている。 だが、俺は気づいてしまった。底の無いこの闇に。 瞬間、俺は分かってしまった。世界はこんなにも平和で、恐ろしいものだと。 ふと脳裏に、偽物の臓器を玩具として持て余す笑顔の子供が浮かぶ。 子供は罪に気づかない。無垢故の、邪悪を纏う。 ああ。ほんとう。世界はこんなにも……。 泣き出したかった。全てを捨てて叫びたかった。 だが、それも叶わず。 俺は常識というものにとらわれるだけで、誰一人救う事は出来なかった。 (おわり) 小説トップに戻る トップページに戻る Copyright © Lock&Shift(http://www.geocities.co.jp/Playtown-Rook/8480/). All rights reserved. |