「サイエンステクノロジー、ウルトラデンジャラス、エンドレスノールール、トーナメント。日本語に直すと、科学技術超危険永遠無法武闘会。年に一度。世界中から強者達がこの校舎に集い、その頂点を手にするために最後の一人になるまで戦う、バトルロイヤル式ルール無用の科学技術的武闘会なのである!……ということなのですな」

 なぜか校長は妙に張り切ってそう言った。英語が意味をなしていないごちゃ混ぜの言葉。しかし、校長が「世界最強を決める舞踏会」と銘打つものだ。それは俺の想像など遠く及ばないものに違い無い。

 ふと風が吹き、校長の薄い髪をはためかせた。

「まあ、セルゲームのバトルロイヤルタイプみたいなものですな」

「セルゲーム?」

「いや、知らないなら構いませんな」

 校長は遠い目をする。

「あの頃は……私も若かった」

「え?」

「で、そのSTUDENTの開催日なのですが。丁度一ヵ月後、六月二十日ですな」

 校長は俺の言葉を無視して続けたが、この言葉を聞いた瞬間、どうでも良くなった。この「STUDENT」の開催日は決して俺は忘れられなくなってしまったからだ。

 なぜなら、その日は俺の誕生日。

 よりにもよってなんで俺の誕生日なんだろう。ただの偶然か、それとも伝承とやらが関係しているのか。

「今日は五月二十日。先ほど行っていた『習慣』が始まる日です。毎年STUDENTの一ヶ月前から、毎日戦闘訓練をするのですな」

 今日から丁度か。偶然にしては出来すぎている。きっと親父のやつが狙ってやったに違いない。っと、そうだ、重要な事を確認せねば。これだけは知っておかないといけない。

「ところで、鍵高生にSTUDENTの参加義務はあるのか?」

「ありません。先月より書類を受け付けているのですが、希望者が書類を提出しない限り、出場権はありませんな。出したら何が何でも出場しなければならないのですが」

「よかった。じゃあ俺は参加せずに済むんだな」

「書類を出していなければ問題はありませんな。しかし……先週貴方の書類が学校に届いていたような……」

「え? マジか!」

 親父のやつか。俺を殺す気なのだろうか。STUDENTのDは、デンジャラスのD。危ないって事だ。校長や教頭の言うデンジャラスだから、一般人の比ではないだろう。あのクソ親父、死んだらたたってやる。

「まあ、どの道STUDENTまでは一ヶ月ありますな。それまでに鍛えればいい話。まだまだ間に合いますな」

「いや、絶対に間に合わないだろう」

「大丈夫です。過去二十年間で三回ほど、入学してから強くなり、かなり上の方まで行った生徒がいましたな。うち一人は、五人にまで残った人間です。希望は捨ててはいけませんな」

「絶対無理だと思う」

「叶わないと思っていては、叶うものも叶わなくなるのですな。どの道拒否権はないのですから、鍛えておいた方が身のためですな」

 恐ろしい事を言う。

「……わかったよ、素直にSTUDENTに参加すればいいんだろ」

「わかればいいのですな。じゃあ、習慣を再開せねば」

「校長先生。どうやら生徒はもういないみたいですぞ」

 今まで口を閉じていた教頭が、どこから取り出したのか、名簿にペンでチェックを入れながらそう言った。

「そうですか。ならしかたありませんな。習慣の最終バトルを開始しましょうか」

 校長は身を翻したと思うと消え、教頭の前に現れた。やっと目が慣れて来たのか、わずかだが残像が見えた。

「では、始めますかな」

「始めましょう」

 お互い歩みより、握手する。

『よろしくお願いします』

 声が聞こえた瞬間、二人は一斉に後方に跳んだ。二人が元いた場所の地面が、破滅の音を立てる。

 着地の瞬間、校長は再び前方に駆け出し、教頭に襲い掛かった。アスファルトが砕け、後を追う。


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