あー怖かった。




怖かったって、それはもう色々怖かったですよ。







今日は遅刻しそうでした。でも、それは普通なんです。ええ、いたって普通。





問題はそれじゃないんですよ。問題は通学に使うバスなんです。バス。





ただのバスじゃないっすよ。








遅刻寸前ギリギリの人々による、天地の境目となる中身(人)の詰まったステキバス。




そうですねー。どれくらい詰まってるかっていうと、パック物のゼリーくらい詰まってます。





しかし、これにのらねば100%遅刻。これはまずい。一時間目は必修科目です。それの単位が取れなかったら即死する科目です。






そりゃあもう乗りましたとも。一番最後に。例えるなら、パック物のゼリーを空けると、よくフタについてる水滴が固まったみたいな存在です。



かろうじて乗客というカテゴリに分類されてはいるが、決して正統派ではないイレギュラーな存在。指定席はもちろん階段の一番下の段。





無論寿司詰。しかし本当の恐怖はこれから。













カーブ→転倒寸前。









マジ怖いです。今にも反対側の車輪が浮くんじゃないかと考えると、まともな神経じゃいられません。



そりゃもう。どれくらい怖いかって言われると、オートバイでバックで高速を走るくらい怖いです。





しかしそれでもなお、カーブでの失速量を殆ど増やさないバス。第二コーナー突撃。










うあっ、いでぇぇぇぇっ!!!!ちょいタンマ!!タンマよぉぉぉぉぉ!!!!!!






油断していた。そう。俺は階段の一番下。




――すなわち我の足、二段目とドアのサンドイッチ也。




おまけに右にあるつかみ棒は、となりの同業者が占拠。左を見るが、左にはなぜか棒がない。







ドアの方向は、進行方向の左。






ってことは、どうなるか。







これでカーブ――左カーブが来たら……自分を支えるには、ふくらはぎである腓腹筋をフルパワーで固めるしかない。






だが、筋肉如きが金属の固さに勝ることがあるだろうか――否。無い。






結果、足の筋は全体重をてこの原理により倍増されて圧迫され、足に激痛が走る。之、なんとも耐え難きもの也。







もうだめ。おれしんじゃう……。







だが、これもあのカーブを残すのみとなったのだ。





右に曲がると、あとは校門へ一直線というカーブ。







しかし悪い事を思い出してしまった。










これが曲者なのだ。上り坂から上り坂へのカーブ。それも、地盤が酷く歪んでいるカーブ。





心の中では警鐘が鳴り響いている。まずい――これは本当に死ねる。右カーブだから痛みは来ない。そうじゃなくて倒れるかどうかがやばいのだ。









さすがに運転手もヤバイと判断したのだろう。今までで最大の減速。それはもう、人間がちょっと早く歩いたくらいの速度まで減速する。















しかし、それでも無駄であった。









窓の外へ向いた自分の顔面と地面の距離が近くなる。







ガリガリガリ……。




車のボディが地面と接触し、アスファルトにより削られる音が足もとからする。








声にならない悲鳴。もうだめや……俺等はここで死ぬんや……。








しかし、奇跡は起きたらしい。




なぜかそれから車体は体勢を立て直し、普通に走り出す事に成功した。とりあえず命は助かった。










それから車は無事到着し、俺は接触したと思われる場所を確認した。






補助金具があった。








は?








なにやら乗り組み口の下に、ヘリコプターの足にも似た黒い金具が取り付けてある。これが擦れて音が出ていたのだ。





つまり車のボディーは地面と接触せず、しっかりと安全圏を保持していたのだ。









心配してそんした。俺は大きな落胆を覚えた。










――その時ふと気になり、携帯の時計を見る。












一分前。












そのご俺は駆け出して、遅刻数秒前に教室に滑り込み、そのまま心身の疲れで一時間目を睡眠に費やしたのだった。


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