春だからだろうか。






今日は帰りに変な人を見た。





それは電車の中の事。












席に座っていた俺は、ふと視界の隅に違和感を覚えた。なにやら突き出た物体がある。










顔を向ける。










つり革にぶら下がったおっさんがいた。








やはり彼は仕事で疲れていて、そのストレスにより社会への不満が態度に現れたのだろうか。




いや、むしろ意識的に不満を表明しているのかもしれない。






集まる視線。彼らにおじさんの不満は伝わるのだろうか。




全身を使っての社会への抗議は、見る者の心にどんな変化を起こすのか。













無論なにも起こらない。







むしろ不愉快になるくらいだ。





筆者のボキャブラリーが無くて不愉快としか表現できなかったが、とりあえず怪訝な心境になっているという表現だけは間違っていないはず。






考えても見ろ?おやじだぞ?学生なら分かるが、おやじですわよ?奥様。








まあ、ただ一概に「抗議」と決め付けるのも悪い気がするから、ほかの可能性も考えてみよう。





・リフレッシュしたかった
・足が痒くなった
・なんとなくやりたかった
・理性が訴えていた
・神が教えを説いた
・悟った



まあ、このなかであえて選び、考えるとしたら、8割がた一番初めの可能性と考えられる。





だが。





それは効果を半分も出していなかった。





理由は単純、彼の目標が達成できていないから。








無論、彼の理想は足を水平に伸ばす事であろう。オリンピックの選手のようにだ。






理想↓
おっさんの理想






だが、実際にはそうはいっていなかったのだ。





現実↓
厳しい現実









……。










とどいてない。全くとどいてないよ。






おじさんの夢はその事実に気づいた瞬間に終わるんだ。そうだ、彼はまだその現実に気づいていないから続けていられるのだ。





前言撤回。彼は十分にリフレッシュしまくっている。







さて、しかしどうにも。彼は車内迷惑だ。







いっそ彼の夢を打ち砕くのが一番手っ取り早い方法なのではないだろうか。








そそっと彼のそばに立って、耳打ちをするんだ。








足、とどいてませんよ?




って。






おじさん泣いちゃうかな?ぐれちゃうかな?



挙句の果てに思い立ったりして大変な事に……。







うーん。これじゃ俺が逆に、皆に迷惑をかけてしまうじゃないか。人身事故発生、ってね。






それを考えると、彼の夢には触れずにいたほうがいいのかもしれない。うん、そうしよう。





そんなわけで、車内に潜む一つの夢は、永遠の輝きを秘めたまま横浜駅を流れていった(俺の降車駅)。


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