なんか最近近所にドネルケバブ屋が出来たらしい。



とりあえずドネルケバブファンの俺としては行かない手は無いのだが、それがあるという商店街にはいささか雰囲気が合わない気がした。




最近出来た薬やの前。だけど近くには茶屋、すし屋などがあり、けっこう和風に傾いてる。なんでそのなかに中近東の食い物が紛れ込んでくるのかはわからない。まぁそんなことはとりあえずどーでもいいので、現場へ急行した。




到着。予想以上に浮いている。





シャッターがついているべき場所はフルオープン。左端全てが厨房になっていて、そこで例の肉が回転している。



入る道は、正面から言うと中央。左は厨房の壁で。右は野菜を切ってる台(これが謎だ)でふさがれている。


そこから少しだけ中に入って、そこに2つの独立テーブルと、そういえば厨房の壁にテーブルが生えていた気がする。





どーみても中で食ってはいけない気してならない。そういう雰囲気。食ってりゃあきらかにそとからみられるしね。



っつーか、客いなきゃオープンしてるかどうかも迷う程の微妙な雰囲気。ご主人は気のいいトルコオヤジなのだが、それでも微妙なものは微妙だった。





同じくそこで働いてるらしい奥さんは日本人らしく(日本語を自然に話してたからだ。先入観というのは恐ろしく、もう店の雰囲気に毒されて彼女はトルコ人に見えた)、けっこうパンチのきつい会話をフォローしている(のか?)。





待ってる間100円で売ってたサラダをタダでふるまってくれて、かなり好印象だったが、その後にした会話は、話を沸かそうとしてるのはわかるが、明らかにさめるような会話ばかり。



一つの話はだいたい下のようなものだった。
「ボクにタマネギのカワどれだけムケるか彼女(奥さんをさして)にキイテミテ?」


「一分間でどれだけムケるカ。あ、そうじゃなくて、片手でムクって事がダイジね。あなた(お客さんをさして)、マナイタつかわずにムケル?」


「ボク81種類の料理が出来ルんダ。コレ、コレホントのハナシなんだケど、タラコのスパゲッティ作ったとキ、ケッコンしテくれって言われたコトがあっタノ。ワタシこんなにおいしい料理デキナイっテ」







うそ臭い。






俺のほかはほとんど女性客で(なぜか結構人が集まってるのだ)、人数は4、5人ほど。みんな複雑な笑みを浮かべている。




そーいや思い出したが、もう少し前、俺が注文してるときだったか。人がまったくいなくなったときなんだが、そのときにこんな会話があった(もちろんうろおぼえ)。


あ、こんときビーフが切れて、3つの注文のうち2つがチキンになったことを先に言っておく。




「お客サン。オオカミショウネンってしってル?」


あまりにとっさだったのではいと答えてしまったが、正確にはオオカミ少女だった気がする。それと、聞かれて初めて抱いた「オオカミショウネン」のイメージは、前に利用したことがあるとされる、けっこう髪の量の多い毛深い男だ。もちろん俺の想像上だけかもしれないが。


「3日マエなんだケど、ギュウニクだけヤってたトキ、チキンはやらないのカっていワれたノ」


ふむ。


「デ、ツギノヒハチキンにしタんだケど、そしたらギュウニクはないのカってイワレちゃっテ」


ふむ。


「ダカラキョウはリョウホウヤッタンダケド」


ふむ。


「……(作業に戻る)」













え? 終わり!?



ダカラナンナンダヨ!





でまぁ、結局微妙なムードに包まれたままドネルケバブ3つをもって帰宅。



そして開封。中にはいためた野菜とスライスされた肉が入っている。今までのケバブとはあきらかに異質なものだ。




ここでふと「シブヤとカのヤタイでやってるナマのヤサイとかタップリはさんでるのはサギ。ニセモノダヨ。ホンモノはそんなコトしなイ。トルコじゃイノチかかってルカらネ」とおじさんが言ってたことを思い出す。なるほど。他のを偽者と言い張るだけあって、かなり雰囲気は違う。こっちが偽者なんじゃないかと思うほどに。





ところが食ってみるとびっくり。これがめちゃくちゃうまいのだ。大見得切ってるだけのことはある。焼いた野菜がかなりマッチしまくり。親も絶賛していた。



だがこれ、ビーフはまだしも、チキンとなるとまるで別物。たしかにうまいが、どこまでケバブとよんでいいものかわからなくなってきた。


どちらかというとトマトベースのチキンスープのイメージが強いのだが……(ちなみに焼き野菜はトマト、ピーマン、タマネギなど)。





まぁうまいのでよし。しかし、オヤジのきつい一言は俺の頭に哀愁を残すことになる。





でもあれじゃ、ツブれそうだよ。




ごもっともで。





ぶっちゃけかなりツブれると予想してる。もって2ヶ月。それ以上は多分ムリだ。それ以上があったら繁盛しかない。




世の中キビシイね。あんなにうまいのに、立てる場所をちょっと間違えただけで、繁盛と失敗が変るんだから。




それこそ渋谷や新宿あたりで始めたらバカ売れもしたのだろうが、予算が無かったのか、商店街の一角の空きを借りて、そのまんま中のものどけてただ厨房とテーブルを置いただけのようなものは、とても気軽には近づくことはできない。





とりあえず2ヶ月。店がつぶれないように2、3回は貢献しようと思う。がんばれおじさん。




そんなわけで、近所にケバブ屋ができてうれしいのかさびしいのかわからない心情の俺でした。


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