闇の帝王
「こんな子供にオデッサの代わりなんて務まるか!!」
フリックは怒っていた。解放軍へ戻ってくるとそこにはオデッサの姿はなく、彼女は死んだときかされ、帝国五将軍の息子、シキがリーダーになったときかされたからだ。
フリックは飛び出した。
しかし頭の隅でオデッサの遺志は継ぎたい、そう思った。
シキとビクトールはカクの町に来た。フリックは彼らを迎え入れた。
どこかぎすぎすした雰囲気だった。
シキとフリックは相対した。
「どうしてお前なんだ?」
開口一番フリックは尋ねた。
シキはフリックがオデッサの死は受け入れたと思った。オデッサの死に対して何も言わなかったからだ。認めるのがいや、というのも多大に入っていることは分かっていたが。
「それが一番聞きたかったこと?簡単なことだ。僕以外人を率いることに長けているものがいなかった、それだけだ。」
「それはお前と、オデッサの兄、マッシュといったか、そいつとで決めたことだろう?」
「そう思いたいならそう思えばいいが、現に私の元には多くのものが集まっている。」
「そうそう、俺やハンフリーも認めているぜ。」
ビクトールが口を挟んだがフリックはにらみつけた。
「俺はお前を信用していない。それと俺が話しているのはこいつだ。」
「そうやって意見を断ち切る、そういったところがリーダーに向いてないんだよ。
「かといってお前みたいに甘やかされて育ったやつにできるとは思えない。」
「甘やかされて?そうかもしれないね。でも、オデッサよりは厳しいつもりだよ。」
「オデッサがどうしたって!!」
シキはあえてオデッサを呼び捨てした。それもあってフリックは激昂した。
「彼女は自分の身を考えずに、僕をかばって死んだ。彼女はリーダーとしてなってなかった。」
「庇ったのは」
「僕なら見捨てていた。それが彼女の甘ささ。」
庇ったのはお前じゃなくてそこにいた子供だろう、と言おうとビクトールはしたがシキは遮った。
フリックはシキを殴りつけようとした。が、それをシキは軽く避ける。
「今言ったことは取り消さない。そのことで殴られるいわれは無い。最も、オデッサを守れなかったって事なら殴られてもいい。」
フリックはシキをにらみつけた。今シキを殴れば、彼はオデッサを守れなかったから殴ったと言うことになってしまう。しかし、守らねばいけなかったのはフリックのほうだったからだ。
「協力はしてやる。それはあくまでもオデッサの遺志のためだ。」
「それ以上は期待していない。」
シキは冷たい声をかけた。シキにはフリックが解放軍に参加することが分かっていた。
シキは立ち上がり、外に出ようとした。
「おいおい。」
ビクトールは声をかけたが無視をする。とシキは振り返った。
「最後にオデッサからの伝言だ。あなたの優しさはいつもいつでも私を慰めてくれた。だってさ。」
シキは振り返らずに歩き出した。
フリックは虚をつかれた。
いろいろな思いが駆け巡ったが解放軍に参加する、ということは心に決めた。
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