運命の扉 2


「同属嫌悪、ですか?」
セイは聞き返す。
「気にしなくていいよ。それより、君はこんなことにかまけている暇はないんじゃない?」
「あ、それは、だって、民の事を見ることも必要だし、」
「必要だとは思うけど、それに時間をとられすぎてはいないか?」
シキは話をそらす。
「お二人とも、どうしたんですか?」
レイヤを引きずってきたエンジュが尋ねた。
「いえ、何でもありません。それより、あなたはルカに村を襲われたんですよね。元の村はなんと言う村ですか?」
「多分知らない村ですよ。小さな村な村なもので。」
エンジュは何か後ろに暗いものを持ちながら答えない。
「僕は旅をしているのですが、いろいろな人に会いましてね。何人かと友人になりましたが、このご時世ですから、村に帰ると言う方が多くて。その友人の村が襲撃にあってないといいと思いまして。」
「リコールの村です。」
エンジュは小さく答える。
「そう言えば、一人、その村から逃げてきた人と友人になりましたよ。」
シキは微笑みかける。その後、二人は無言だった。

「行こ、行こ。」
レイヤはセイをせかす。そして先に入っていった。セイも続く。
そのセイの耳にシキの声が聞こえた。
「だからあなたは、アンジュさんがレイヤって呼ぶことを許しているんですね。」
その冷たい声はセイの耳から離れなかった。

おやつを食べる居間ではアンジュがレイヤの面倒を見ていた。
五人は仲良くおやつを食べた。・・・・・・少なくともそう見えた。
おやつを食べ終わるとレイヤはうとうととし始めた。
「眠い。」
「なら、寝なさい。」
アンジュは優しくレイヤに言う。
「でも寝ると、セイやシキが帰っちゃう。」
「寝なくてももうそろそろ帰ろうかと思っていたし。」
「だいぶお邪魔してしまいましたからね。」
セイとシキはレイヤに言う。その間もレイヤは眠そうにしている。
そして、とうとう寝てしまった。

「かわいいものだね。」
シキはレイヤを見る。アンジュは掛け布団を出した。
「もうそろそろお暇しますね。」
シキはアンジュとエンジュに言った。セイはそれをただ見ていた。何か起こる、と確信しながら。
「また来てくださいね。」
アンジュは声をかける。
「もう来ませんよ。」
シキはアンジュを見つめた。
「あなたはレイヤのことをレイヤ、と分かっているのでしょう?それでレイヤって呼ばないのは傲慢ですよ。」
シキの声は冷たかった。その後シキは何かをアンジュにささやいた。
その声はセイには届かなかった。


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