血塗られた戦い
テオ・マクドールの軍が南下してきた。そういう報告がスカーレティシア城を陥落した後入ってきた。
何とか対策を立てなくてはいけない。
「陣を引きます。」
マッシュはシキに言った。最初は普通の陣に見えるが退散するとき縦長の陣になり最後尾以外は逃げやすい。そういった時間稼ぎの陣は前から考え出されていた。
「第二部隊と第五部隊を入れ替える。第一部隊と第四部隊もだ。」
逃げるときテオの軍に近い部隊から第一部隊、第二部隊と順に決めていた。第一部隊はフリックの騎馬隊だったが、だったがそれを第四部隊のパーンの歩兵部隊に変える。
確かに、鉄甲騎馬部隊にこちらの騎馬隊が勝てるとは思わない。歩兵部隊のほうが分があるとはいえ、迷わずパーンの部隊をシキは選び出した。一騎打ちになることを見通して。
そして第二部隊と第五部隊の入れ替え。両方歩兵部隊なのだが、第五部隊には少し負傷した兵、心の弱い兵、スパイなどが入っている。
たとえ第三部隊の弓部隊が援護したとしても逃げ切ることは難しいだろう。
第二部隊を今なくすわけには行かない、ということはわかっていても彼らを捨て弾にする気にはマッシュはなれなかった。
「第一部隊と第四部隊の入れ替えは分かりますが。」
「決定だ。」
マッシュは反論しようとしたがさえぎられた。マッシュは黙った。
「いいな。」
「伝えておきます。」
納得できないとしても軍主が決めたのならばそれに従わねばならない。
マッシュは黙って立ち去った。
「マッシュは馬鹿だ。自分の意見を言わないからカレッカがおきた。この地は腐敗した。それがわかっていない。」
シキにしたらそれが最大の譲歩だった。
もっと犠牲を少なくする、非道と呼ばれる道がある。しかしあえてこれを選んだのだった。
この策を立てたことは誰にも分からない。
そう言う自信がシキにはあった。
もうひとつ、パーンが一騎打ちを申し込むだろうことも。
パーンは負けるだろう。テオが手加減しない限り。
シキは冷静な目でこの戦いの行く末を見ていた。
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