背中は誰が守る?


初めてフリックと野宿をしたときのことだった。メンバーはシキ、ビクトール、バレリア、ルック、グレミオ、そしてフリックだった。
日が暮れてきて、野営地を決め、食事をし、寝るという段階になった。
周りは真っ暗だ。そこだけは開けているが回りは森で、今日は曇っていた。
モンスターたちが暴れるならばちょうどいい空模様である。
現にこの森に入ってからたくさんのモンスターにあってきた。

「夜、いつ交代で見張り番をするか決めよう。」
そう、フリックは言った。
しかし、メンバーは無視して毛布にもぐりこもうとする。
「お、おい。」
「大丈夫ですよ〜、今まで襲われたことありませんし〜。」
とはのほほんとしたグレミオだった。
「そういう意味じゃなくてな、」
「あぁ〜、フリックさんって心配性なんですねぇ。」
お前ほどじゃない、とフシックは口には出さなかった。

そうこうしている間に、グレミオ以外全員寝てしまった。
「お前は、こいつのことが心配じゃないのか?」
フリックはシキを指差す。
「当たり前じゃないですか〜。」
「それなら、見張り、手伝ってくれ。」
どうにかフリックはグレミオの協力だけは取り付けたのだった。後は、ビクトールをたたき起こせば、3人交代で何とかなる。
さすがに、女子供に見張りをさせる気はなかった。

フリックは先に起きていることにした。が、今日、この森での戦闘は少々どころではなく疲れた。
ルックは動かないわ、グレミオは役立たずだわ。そして、二人の盾ないちに立たされたのはフリックだった。
モンスター÷3の割り当て+二人の盾。フリックは傷だらけになったが、強制的に傷を治され戦わされた。
そんなことをつらつらと考えていると、一時間もしないうちにうとうととしてくる。
フリックは寝入ってしまった。

シキは顔を上げる。
「火、の始末ぐらいしなよね。」
と言ってシキは火を消し、寝そべっていたのを木を背にして座り、再び寝たのだった。

夜は深く深くふける。鳥の怪しくなく音、森の恐ろしさを感じるざわめき。
そんな中、シキはふと顔をあげた。座った時手の届く範囲にあった棍をつかむ、がそれ以上は動かない。
しばらくして、ビクトールもばちっと目を開けた。
「シキ。」
ビクトールは声をかける。
「やばい、かもしれないな。偶然、2グループのモンスターが近づいてくる。かたっぽは頭もよくて二方向からだ。」
シキの目は緊張していた。ビクトールも体を起こす。
「これはまた、」
「うごうごと気持ち悪い。」
起きたのはバレリアとルックだった。バレリアはその勘で、ルックはモンスターたちの魔力がうごめくのが気持ち悪くて。

そんな中、フリックとグレミオだけはぐっすり寝ていた。
げし。シキはフリックを蹴った。
「起きなよ。一時間で火も消さずに眠った有言不実行な副リーダー。まだ、君の当番のはずだよ。」
フリックは何が起きたのか分からない。が、起きたとたんその殺気に気が付いた。
「あ、おい。」
言う暇もなく戦闘が始まった。

あっという間に1グループやっつけ、もう1グループもルックが寝るのを邪魔されたイラつきにより、切り裂き、の一言で壊滅状態になった。
昼間の苦労はいったい、というような強さ全開でシキとルックのコンビは倒して行き、ビクトールとバレリアはそれに続く。
戦闘かこっちの勝ちに終わった。
被害を受けたのはフリックただ一人。それもルックの魔法に巻き込まれてだった。

その後、散々にフリックがシキにからかわれた後、ビクトールが言った。
「まぁ、傭兵なら殺気が近づいてきた時点で分かるからな。起きているか寝ているかはさして問題じゃない。」
その横でバレリアが頷く。シキもにっこり笑った。
「僕も気配がすれば分かるよ。でも、あんな殺気で起きられないなんてまだまだ戦士としては甘いんじゃない?」

フリックの完敗だった。

ちなみに次の朝、グレミオはのほほんと、すぐ回りで死んでたんですよ。ちょうどよかったですね。と言って、周りに落ちていたモンスターの死骸からちゃっかり肉を切りシチューにしていた。
一番強いのはグレミオかもしれない、と思ったのはどこの誰だか。

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