血の道


坊→シキ 2主→セイ

目の前に広がるは赤き血。
周りは戦場で火に囲まれていた。

そんなことに気が回らないほど、ルカはただがむしゃらに歩いていた。
皮膚が裂けようとも焼けようとも気にせずに。

ルカの母親が死んだのだ。

都市同盟の奴らから暴行を受けてから母は変わってしまった。

ジルを生んで、それからしばらくはおとなしかったものの、気が狂ったまま往来に出た。
ルカはしばらくしてからそれに気がついて追いかけて外に出た。

ルカの母はいつの間にか戦場に来ていた。

そして、狂ったように叫びながら手首を切って自殺した。
たぶん、都市同盟に襲われた時のことを思い出したのだろう。
最後までまともな意識を取り戻すことはなかった。

目の前をただまっすぐ行くつもりだった。ただ、その前には炎が迫っていた。

「お兄さん、危ないよ。」
そういうわりにはのほほんとした感じが言葉の端々からにじみ出ていた。
ルカが振り返ると、そこには二人の少年がいた。

ルカと同じように服まで血に染めた少年と少年よりもっと子供で少年の服の端をぎゅっとつかんでいた。

「お前は?」
「僕はシキ。この子はセイって言うの。よろしく。」

シキは親しそうにルカに言った。

「ふん。」
ルカは鼻を鳴らす。

「亡くしたの?」
今まで黙って後ろに隠れていたセイが尋ねる。
子供ながらに何かを感じていたのかもしれない。

「僕もね、亡くしたの。お父さんも、お母さんも、真っ赤になって燃えたの。」
ルカは黙り込んだ。

「ま、戦争だしね。戦争があると、こうやって不幸な子供がたくさん生まれる。」
まるで自分は違うんだ、と言わんばかりにシキは言う。

「ふむ、その子は私が預かろうか?」
シキとルカは振り返った。
まるで彼には気配がなかった。今まで、普通にしていたルカだけでなく、暗殺師や誘拐犯に狙われ続けたシキにさえ気がつかれなかった。
「あなたは?」
シキは背筋をピンと伸ばし尋ねた。まだ、幼い少年、という雰囲気がまったくなくなった。

「ははは、驚かせてしまったようだな。私はゲンカクと言う。」
シキとルカは驚いた。さすがにゲンカクの名は知っていた。

「ふむ。お前さんたちも、幼いと言うのに恐ろしく暗い闇を持っているようだな。どうだ、わしとこんか?」
二人に匂う血の匂いを感じ取ってゲンカクは二人に尋ねた。

「私には帰るところがありますので。」
「俺は逃げない。」
シキとルカのその答えにゲンカクはそうか、とつぶやいた。
二人の意志は固く、たとえ連れて行ってもすぐ逃げ出す去ろうと思えた。

「ならば、まぁ、安全なところに送ってやろう。ここはお前さんたちに取っちゃぁ、危ないとこだからな。そうじゃろ?ルカ・ブライト、シキ・マクドール。」
二人はその言葉を言われたとたん反応してそれぞれの武器を構えようとしたが、当たり前のように武器を叩き落された。

「ほれ、大丈夫じゃ。行くぞ。」
ゲンカクは先に立って歩き出した。

こうして四人の珍道中は始まったのだった。

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