血塗られた戦い 2
今までは何とかやってきた、そういう気持ちでいた。パンヌ・ヤヌク城もスカーレティシア城も。
民を守ることを最優先にやってきた。甘い、と言われるかもしれない。しかし、何かを犠牲にすることは極力避けたかった。
マッシュは。・・・・・・それとシキは。
そのせいでグレミオは死んでしまったかもしれない、と考えてしまうこともあった。
と、ふとマッシュはグレミオが死んだときのシキの様子を思い出した。シキとあったとき、何も変わったことがないように思えた。シキはその後すぐ、鎮痛げな顔になったが。
後でビクトールから話を聞いた。顔はろうそくの火さえ酸素を使ってしまうことを恐れ消していたから分からなかった。そして彼はただ一言、「すまない。」と言ったと。
ろうそくの火はと言うところは嘘だと分かっていた。閉じ込められてすぐはそういうことを考えなかったはずだ。ただ、嘘だと指摘することは避けた。意外と思慮深いビクトールが明言を避けているのだからと。
テオ・マクドールが来たときの指示。そして今、威力を分かっていながら火炎槍を準備している。
「火炎槍、最初に使う、でいいかな? 兵たちが圧倒的な力におぼれないといいのだが。」
「それでも、最初に使わなければ勝てません。」
マッシュはそんな考えを振り払い、シキとの打ち合わせに専念した。
軍師が迷えば軍主は不安に感じ、その不安が兵たちに伝染してしまう。
「マッシュ、迷いがあるなら言ってほしい。」
シキはじっとマッシュを見ていた。
「まぁ、できれば、の話だが。」
しかしマッシュはシキの目をまっすぐ見ることができなかった。
「いえ、これで行きます。」
その後は淡々と打ち合わせが進んだ。
いつもと違うような、それでいていつもと同じ打ち合わせだった。
シキの顔色は変わってないように見えた。
父が死ぬ、かも知れないというのに。
だからこそ、マッシュはシキを恐れた。そして同時に彼は非道の道を行くかもしれないと思った。
マッシュはシキを疑った。
それはしてはいけないことであった。
◇◆◇
準備は淡々と進む。
これから起きることはすべて予想されたこと。
テオとの戦いが幕を開けようとしていた。
◇◆◇
テオとの2回目の戦いが始まった。
火炎槍の威力は予想通り、すさまじいものだった。
思わずマッシュは目をそむける。
しかしそれをじっとシキは見ていた。
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