血塗られた戦い 3
軍主と定めた人が何を考えているのか分からなくなった。
あの、決断をした一瞬。
そうすれば戦いが早く終わる、確かにそうかもしれない。
しかし、しかしだ。
目の前では父と子の戦いが行われていた。
帝国軍将軍、テオ・マクドール。彼は鉄甲騎馬隊がずたぼろになっていても、勇猛に戦っていた。
そして、それを見た解放軍軍主、シキ・マクドールはそちらの方へ騎馬を進めた。
テオがシキの姿を目に入れたとき、彼は高らかに子へ一騎打ちを申し出た。
まるでそれはたくらまれていたように。
事実、マッシュから見てシキは敵が予想通りになったときの顔をしていた。たぶん、マッシュにしか分からなかったであろうが。
「受け入れよう。」
「シキ殿!!」
シキはよく通る声で宣言した。それにマッシュは声を上げたが、シキは笑っていた。
「パーンの一騎打ちを受けていただいた恩がこちらにはあるだろう? それに損はないはずだ。子供相手に勝ったとてあっちが勝ったとは民衆は思わないだろう。後は、マッシュ、お前がしてくれるだろう?」
そう言うと、シキは後も振り返らずに歩き出した。
他の人物はただ、見送るしかなかった。
テオとシキとの戦いは激戦だった。
テオが猛烈に攻め、シキがそれを受けたり、受け流す。傍目から見たらシキが負けているように見えるが、多くの戦いを見てきたマッシュやビクトールにはシキが優勢なのが見て取れた。
「それで終わり?」
シキは父テオにだけ聞こえる声で尋ねた。
「まだまだだ。」
テオはシキに攻め入った。その時できた隙にシキは棍を入れようとする。しかし、それは罠だった。テオは棍を入れたようとしたシキの急所に剣を入れようとした、がシキはそれを致命傷とはならない場所に避ける。そして、確実にテオの急所に棍を入れた。
シキにできたすき、それもまた罠だったのだ。父テオを確実に葬るための。
「テオ様」
「テオ様」
「テオ様」
三つの叫び声が混ざった。アレンとグレンシール、それとクレオだった。
「戦いは終わった。我が解放軍のものもテオ殿の帝国軍の者も剣を収めよ。」
そのシキの声に次々と解放軍の兵は剣をしまった。帝国軍の兵たちは剣を取り落とす。
と、シキの方に向かって剣を向けようとしたものがいた。
「この一騎打ちを汚すつもりか!! テオ殿は無駄な犠牲を出さぬため、この一騎打ちを設けられた。その遺志を無駄にする気か!!」
シキの一喝にその兵は立ちすくんだ。
それを確認しようともせず、シキはテオのほうへ近づいた。
「アレン、グレンシール、両名はこちらへ。最後の面会を。」
その声に二人は導かれるようにテオの元へ行った。
テオはまだ息があった。しかし、それは、テオの強靭な精神力と体力、そして奇跡の賜物であった。
「シキ。」
テオはアレンとグレンシールに道を指し進めた後、シキを呼んだ。シキはテオの横にかがみこんだ。
シキは淡々とテオの言葉を聴いていた。
ただ、テオが死んだ瞬間、シキは一瞬顔をしかめた。
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