プロローグ


翼の少女の夢を見る少女。彼女はまた、彼女の夢の中にいた。

空、青い世界で少女はどこかで泣いている。

日に日に泣く声はどんどん遠く聞こえるようになって・・・

空にとけてしまいそうで、どこかに消えてしまいそうで・・・

だから、早く会いに行かなくてはいけない。少女に会って、楽しい事をするために。

だけど、どこに行けば、どうすれば会えるのだろう?

答えも見つからない討論、彼女は悩んでいた。


いつも存在していた空の上に、一人の少年がいた。その子は少女と同い年だろう。

少年は挨拶をした。少女はなんの警戒も無く挨拶を返す。

そして、昔どこかで出会ったような仕草で、奇妙な会話が始まった。



少年は喋った。「空に囚われた少女に会いたいのかい?」


少女は答えた。「うん。だって、泣くより笑いたいから」


少年は笑った。「だけど、彼女は人々に恐れられていたんだよ?」


少女は考える。「それって、私と同じかなぁ」


少年は悩んだ。「君がそう言うなら、そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」


少女は聞いた。「ねえ、その子のこと、知っているの?」


少年は答えた。「ああ、前から知ったんだけどね」


少女は頼んだ。「ねえ、連れてもらえないかな?」


少年は断った。「それはダメだよ。僕がいると彼女を悲しませるだけだから」


少女は悩んだ。「じゃあ、どうすれば会いに行けるのか、教えてくれない」

少年は指した。「・・・風に乗るんだよ。たどり着く所に彼女はいる」



急に風が強くなる。少女は驚いた。いつもならこんな事は無いからだ。

少年は怖がらないでと言う。その風が、少女のいる世界に繋がるからだと。

少女は恐怖を抑え、あるがままにされてみる。ふわりと、空に浮かんだ。

そして少女は風に乗る。それが終わりと始まりを流す風とも知らずに。


次頁へ/戻る