黒幕は誰だ! カリカリカリカリカリ・・… じぃ〜〜〜〜〜〜〜〜・… カリカリカリカリカリカリカリカリ・… じじじぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜・… 右隣斜め下からの視線に耐え切れず、怜は視点を原稿から外さずに言った。 「…用がないならとっとと帰れ」 先ほどから怜に熱視線を送っていたパテットはどこか嬉しそうに答えた。 「ええ〜〜、用ならあるも〜ん」 「ならそれやって帰れ」 「ムリ〜。だって用って、れーせんせーを見ることだもん!」 ハートマークでもついていそうなその言葉に、怜の額にくっきりと青筋が浮いた。 そして椅子をくるりと回してパテットに向き直ると、 「あ、れーせんせーお仕事おわったの?」 と、目をキラキラさせたパテットに向かって、幾分低い声で 「終わったのはお前の用だ。もう十分見ただろうが、分かったらとっとと帰れ!!」 言うと、また椅子を回し、仕事―――保健だよりの原稿に取り掛かった。 ここの保健だよりは手書きだ。怜は書道5段だった。 そして、字のきれいな人間に、ワープロは不要と言う信念の持ち主だった。 実際怜の字はきれいだ。その字が、次の瞬間思い切りゆがんだ。 「えー、まだ見たりないも〜ん。それにせんせー一人で保健室にいるなんてあぶないよ〜」 怜はずきずきとする頭で聞いた。(聞かなければいいのに…) 「…お前は一体何が望みなんだよ…何なんだ本当に!!」 パテットは両手の指先を頬にちょっと当てて、いやいやをするように身を捩って言った。 「えぇ〜そんなはずかしい〜…あのね、ボクののぞみは〜、れーせんせーをおよめさんにすること〜!えへへぇ〜、言っちゃった!」 べき! と、怜は手にしたボールペンをへし折りたかった。 しかし思いとどまった。そんなことをすれば(まあ出来るわけもないが)、自分の手のほうが危険だからだ。…怜は己のことを知っていた。(酒のこと以外は。) (相手は子供なんだ!自分の言っていることを良く分かってないんだ、だから落ち着きやがれ、俺!!)「あのな、よ〜く聞けよ?頭振ったらカラコロ音のしそうなお子ちゃまにも分かるように言うからな?」 「なあに?」 「俺は男だ。嫁にはなれない。何より男同士では結婚は出来ない。」 「え〜と、よーしえんぐみ?とか、がいこくにいく?とか?」 疑問符を浮かべながら1年生らしくないことを言うパテットに、怜の頭に一つの疑惑が浮かんだ。―――ブレイン、もしくは黒幕の存在。 「…誰から聞いたんだ?そんなこと」 「え、えーと、べ、別に?」 パテットは目を外した。視線が完璧に泳いでいる。 …確実に黒幕はいるようだ、 しかし今は、ここからこのガキを追い出すのが先決、と、怜は思い直した。 「…まあいい。お前は6歳、俺は25歳。その差は何歳だ?」 「う〜んっと・・・19さい?でも、あいがあれば年のさなんてかんけいないよ!!」 「そりゃ双方に愛がある場合に限るんだよ!!あーもー、耳の穴かっぽじってよーく聞きやがれ!!いいか!?俺が好きなのはだな、大人で背はやや高め、美人で明るくはっきりとした、お前とは似ても似つかないのが理想なんだよ!!」 妙に力説するパテットにぶち切れた怜は、怒鳴るように(大人気ない)、さりげなく高望みなことを言い募った。 ところが。 「もおう、れーせんせーってばー!!照れちゃう〜〜〜!!」 しょぼくれると思いきや、パテットは頬を染め、さらに身悶えた。怜の目は点になった。 「…は?」 「だって、僕のことでしょ〜?もー、素直じゃないんだからぁ!!」 「…え?おま、何言って・・・?」 「ボク、10年後にはぜったいにそうなっている予定だから〜。だって、僕のパパすっごく背ぇ大きいし〜、ママだって明るくてびじんだし〜、二人の血をひいてるんだからまちがいないよ〜!きたいして待っててね〜?」 「それは予定じゃなくて希望っつーんだよーーーーー!!!!!」 怜は力の限りに叫んだ。しかし自分の世界に浸りきっていたパテットの耳には届かず… 「もしかしなくっても、今のってプロポーズだよね?えへへぇ〜、ボクたち両想いだね!じゃあ、ボクこれから色々と用意あるから!また明日ね?れーせんせっ!」 「人の話を聞けーーーーーー!!!!!!!」 怜の叫びに背中を押され、パテットはどこへやら出て行った。 「…ったく、何なんだ、あいつはよぉ…何する気なんだ、用意って…でもまあ子供のすることだしな・・・早く終わらせて俺も帰るか・…」 気の抜けたように、怜はまた仕事に戻っていった。 ―――後から思えば、このときに後を追って、何としても誤解を解くべきだったのだ… それは翌日のことだった。 いつものように朝怜が保健室で死んだように机に突っ伏していると、猛スピードで通り過ぎた足音が、とっとっとと戻って来て、 ばあん!!!と、戸を壊しそうな勢いで開けて、入り込んできた。 「怜君見損なったよー―――!!!!!」 「ああ?うるせえなあ…朝っぱらからアドレナリン放出しすぎなんだ、この無駄体力体育教師が。」 「こんなことする人に言われたくないね!!」 言いながら、禄は手に持っていた(握り締めていたのかぐしゃぐしゃだ)校内新聞を怜に向かって突き出した。 「んだよ、俺が何したって・…何っじゃこりゃあーーーーー!!!!!」 そこには、 『大スクープ、パテット・ホープと怜・ジェドールが電撃婚約!!』 『その差19歳、校内で育まれた禁断の恋!!』 などと言う見出しが見えた。 怜は我が目を疑った。 しかしそれは、低血圧による見間違いでも、禄のからかいでもなく…ということはつまり… 「パテットーー!!あの野郎―――!!」 怜は1年生の教室に向かって走り出した。 …幾分、よろよろしていたのだけれど。 教室のドアを開けると、級友に囲まれたパテットが、嬉しそうに何かを話していた。 「パテット!!何だよこれは!!」 「あ、れーせんせー!みんな、ちょっといい?ぼく、れいとはなしがあるから!」 「うわあ!おとなっぽーい!」「すごいね、ぱてっと」「せんせい、ひゅーひゅー!!」 どことなく自慢げに言ったパテットを、尊敬をこめた眼差しで級友たちは見つめ、大人しくそこをどいた。 怜は青筋を浮かべながら机の上に校内新聞を叩きつけた。 「これはお前の仕業か…?」 「うん、そうだよ?」 怒りを押し殺して聞いた怜に対し、パテットはあくまでのほほんと答えた。 「てめえは!!一体何を考えてんだよ!!どーいうつもりだ、これは!!!」 怜の両こぶしがパテットのこめかみを両方向からぐりぐりと圧迫した。 「え〜、だってだって、本気だったらげんちをとってじょうほうをリークし、せけんにしらしめることできせいじじつをでっちあげ、たいろをたてって会長が…痛いよう〜!!」 「ぁんの小娘は〜〜〜〜〜!!!!!!」 ―――その頃の林檎姉さん 「…家のバカ弟と、悪知恵仕込んだ女狐、言われるままに記事を書いた新聞部のどれからシメに行くのがいいと思う…?」 「…とりあえず、怜先生に謝りに行くのが先かもね…」 ―――その頃の会長 「〜っくっくっく、パテットめ、まさか本当に実行するとはな。…多良葉にも教えてやるか」 ―――その頃の学園長 「…多良葉に、草野の言うことは信じないように言っておかねばな…」 ―――その頃の現場 「怜君!はっきり言って、これは犯罪だよ!!仮にも教育者が神聖な職場で!!(分かってない)」 「いいじゃないか、双方がそれで幸せなら。しかし怜も隅に置けないな、こんな若い伴侶を手に入れるだなんて、ね。(分かっててからかってる)」 「そうよ祝福してあげましょうよ!お似合いじゃないの!!(分かりまくってからかってる)」 「わ〜い、ありがとうございますぅ〜!!ね?だかられーせんせーは何のしんぱいもしなくていいからね。ボク、すぐに大きくなって、せんせーのことまもるからね!(痛いほど本気)」 「はっはっは、おあついことだね、頼もしいナイトじゃないか、怜。」 「パテット君…本気なんだね?それなら僕もう何も言わないよ!きっと幸せになるんだよ…」 「まぁ、これで将来は安泰じゃない。よかったわね!れ・い?」 「…お前らなんて〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」 校内中に、怜の叫びが響きました。 でもそれでも… 今日もO川は平和です! 「こんなんなんですけど…どーですかね…?」 おそるおそる上目遣いで言うのはTHE☆集A社の便利屋こと☆ぽえむである。 本来ならこれは樹崎渡の得意技なのだが、今回は特別な事情により、こういう状況になっている。 つまりはこれは、☆の☆による☆のための救済計画であり、詳しく言うならば、余にもパテ怜パテ怜と編集長におどさ…いやいやつっつかれた☆が、そんなに言うなら書いたろやないけ!ほんまもんよんで、目え覚ましてもらおうやないか!!とばかりに仕上げてきた代物を、編集長に読んでもらっているところなのだった。 (どうだ…?本物はさすがに引くだろう!) ☆には編集長の言うパテ怜の良さが、さっぱり分からなかった。だからこそこんなにもアホ…いやいや、単純…えーとその、だ、大胆な作戦を取ったのだ。 井伊森は目の前に原稿をかざして読んでいる格好のまま、ぴくりとも動かなかった。 ☆は次第に不安になった。長い沈黙。 (…っは!!もしや、あまりにダメな出来に失望して、俺の首切りをしようとか考えてる!?) 「いやあの、俺やっぱこーゆー路線てね、どーかとも思ったんすよ!本職のしてぃおぶとかパラレルとか、カップリング無しのでがんばりますから、これちょっと無かった事に…」 弁明を試みる☆に井伊森は、 「☆先生」 と、至極静かに言った。 「は、はい!!」(切られる!?) 首をすくめた☆に対し、原稿をゆっくりと下ろした井伊森は、まじめな顔で 「抱きしめていいですか?」 とのたまった。 「はぁ!?え、いや、それはちょっと!」 「いや〜んも〜う、素敵ですぅ〜!!こーゆーの待ってたんですよ〜ぉ!!」 井伊森は頬を赤く染めて、感激、といった感じに言った。 「も〜、☆さんならきっといつかはやってくれるって信じてました!!これからもがんばっていきましょうね!!」 「あ、はあ…え?てことは…もしかして…」 「当然ゴーです!巻頭です!イラストカラ―です!コーナー作ります!がんばりましょうね!パテ怜連載!!」 「は、え?!うわ〜〜〜〜〜〜!!しまった〜〜〜〜!!」 どうやら、計画失敗どころか…自爆だったようですね! 考えるまでも無く結果は分かりそうなものなのに…でも、そこも☆らしいところですね! ご愁傷様です。 ![]() 首をなっがぁぁぁ〜〜〜〜くして、待ったかいがありました! みなさん、ついに、ついに待望の(だれも待ってないよ。っという突っ込みはノーセンキューです。)パテ怜ですよ!! さすがですね、☆さん、あなたはすばらしいです! 萌えてなくてもこれだけのものが書けるのなら、萌えたときにはいったいどうなるのか・・・。 考えるだけでワクワクしますね! 次回作も期待してますからぁ〜!! さ〜って、これから忙しくなるぞ〜!! 妖さぁ〜ん、表紙は思いっきり甘い感じでお願いしますねぇ〜!! |