「 赤ずきんちゃん」 昔あるところに、とっても元気で可愛い女の子が住んでおりました。 いつも笑顔で、がんばる人の応援をしてくれる人気者で、お母さんの手作りの赤いずきんがとっても似合っていたことから、赤ずきんの桃ちゃんと呼ばれておりました。 ところで、桃ちゃんにはおばあちゃんがいたのですが、そのおばあちゃんの具合がよくないと言うことで、桃ちゃんは一人でお見舞いに行くことになりました。 「大丈夫かなあ・・・。」お母さんの椎奈ママはとっても心配そう。 無理もありません、おばあさんが一人で住む森のおうちに行くためには、近頃うわさのオオカミが出る辺りを通らなければならないのです! オオカミは可愛い子が大好き!桃ちゃんが食べられてしまいやしないかと、心配しているのです。 ところが、お気に入りの赤ずきんのリボンをきゅっと結んだ桃ちゃんは、そんなママの心配をよそに大ハリキリです。 「大丈夫よ椎奈ママ。桃もう大きいんだし、一人でお使いできるもん!それに森には猟師さんがいてね、桃のピンチにきっと助けに来てくれるのー!!」 お目目をきらきらさせた桃ちゃんには、「そこも心配なんだよね・・・」というママのつぶやきも聞こえないのでした。 結局は桃ちゃんの熱意に押される形で、ママはお見送りです。 でも、注意だけはこんこんと言って聞かせます。 「いーい、桃ちゃん、けっして寄り道道草してはいけないよ。遅くなってしまうからね。それと、もしオオカミにあったら、大きな声を出して助けを呼ぶんだよ?いいね?分かったね?」 「はーい、いってっきまーす!!」 桃ちゃんは分かったんだか分かってないんだか、元気に森に向かって歩き出しました。 椎奈ママは、その小さな姿が見えなくなるまで、そこに立って見送っていました。 「本当に大丈夫かな・・・。」 はぁっ、と大きなため息をついた椎奈ママの背中には、まるで「苦労人」と書かれているかのようでした。 さて、その頃森の中では、愛用のカメラを首から下げた(ロリショタ☆)新田オオカミが、今日も今日とて、獲物(いろんな意味で)を探してうろついておりました。 はっきり言って、このオオカミは危険です。もう所轄の警察に電話が行って、顔写真入りのご注意ポスターが作製されてしまうイキオイでデンジャラスです!! そんなオオカミがいる近くを、桃ちゃんは通らねばならないのです。 それはもう、・・・オオカミのレーダーに引っかからないわけがありません! 「かっわいーい子―が、いーないっかなー♪やや!?あんなところに美少女発見!さっそく追跡を開始します!!」 オオカミは当然のごとく桃ちゃんを発見すると、誰もいない空間に向かって敬礼をし、追跡と言うよりは尾行を開始しました。 そして木の影などに入ると、すかさず望遠レンズ付の愛機でベストショットをものにしてゆきます。 まったくもって、慣れた手口です。その姿はやっぱり所轄の警察に(以下略)。 しかし桃ちゃんの可愛さに、ついつい近づきすぎてしまったオオカミのシャッター音に、桃ちゃんは気がつくと、 「あれは何の音かしら?誰?誰かいるの?」と、そちらに呼びかけます。 「ぎくり。」 隠れたままのオオカミは、口で擬音を発しました。なかなかベタなオオカミです。 「やっぱり誰かいる!あ!もしかしてオオカミさん!?こわいよー!!」 今にも泣き出しそうな桃ちゃんに慌てたのはオオカミです。 可愛い子には(こういう形では)泣いて欲しくありません。それには、私も同感です。 ついとっさにオオカミの口から嘘が流れ出ます。 「ち、違うよ、赤いずきんの可愛いお嬢ちゃん!私はただのきこりだよ。お嬢ちゃんこそ、こんなところで何をしているんだい?」 いまだ隠れたまま、うそ臭い作り声で『可愛いお嬢ちゃん』なんぞという姿は、なんと言うか、所轄の(以下略)。 しかしその『可愛い』発言に気をよくした桃ちゃんは、涙なんかどこへやら、元気にそれに答えます。 「あのね、おばあちゃんがご病気なの。桃これから、森の真中にあるおばあちゃんのおうちまでお見舞いに行くの!」 ああ桃ちゃん!そんな姿も見せないような人に、名前や目的、あまつさえ目的地まで答えちゃダメでしょー!?と、半泣きな(苦労人)椎奈ママの声が聞こえてくるようです。 これでは出発前の心配振りも頷けますね! 反対にこの発言に喜んだのはオオカミです。 そこまで教えてもらえれば、何もここで手を出さなくても、と、頭の中はこれからのウハウハ計画で一杯です。その姿はとてつもなく、所(以下略)。 チン!と音を立てて完成した計画を遂行すべく、オオカミは行動開始です。 まずは赤ずきんを足止めするのです。 「そーかい、偉いねえ!おや?だけどお花を持っていないじゃないか。お見舞いと言えば花束がつき物だろう?そうだ!ここから東へ少し行ったところにお花畑があって、いまちょうどきれいに咲いているはずだ!それを摘んで持って行ったら、おばあさんはきっと喜ぶと思うよ?」と、いかにも親切そうに言うと、 「そっか、お見舞いには花束だよね!ありがとうきこりさん!桃行ってみるね!」 と、桃ちゃんはすっかりその気になって、お花畑へ向かったのです。 残されたオオカミはにんまり。 「しめしめ!この間におばあさんの家まで先回りして、赤ずきんな桃ちゅわんを待ち伏せよーっと!」と嬉しそう。 「そーだ!おばあさんに成りすましたら、桃ちゃんきっとびっくりするだろうなーぐふふ。そのためにはおばあさんを・・・ぬっふっふ・・・」となにやら黒いことを思いついたようです。 口元に握りこぶしを二つ当てて笑うその姿のキショ・・・いやいや、恐ろしいこと!早速のようにおばあさんの家までダッシュですよ奥さん! そして森の真中にあるおばあさんの家まで来ると、コンコンッと小さくノック!そーっと家の中に入りながら、裏声を出して言います。 「こんにちはおばあちゃん!桃お見舞いにきたのー!」 わずかの間に掴んだらしく、桃ちゃんそっくりの口調で言いつつ忍び足するその姿は言うまでもなく(以下略)!! と・こ・ろ・が!! 世の中とはままならぬもの・・・。 「あら、桃早かったのね?」 言う声の落ち着いた艶、サラリとベットから流れた長い美しい黒髪!これはもしや・・・!!! 「ま、まさか・・・!!」小さく呟くと、(どっから出したんだか)台本をパラパラと めくったオオカミは、そこで驚愕の真実を知るのです!! ――おばあさん役の遥ホープの名前には上から線が引かれ、その隣に・・・林檎ホープの名前があったのです!! ガタガタと震えるオオカミの後ろにスッとおばあさんが立ちます! そして指をボキボキと鳴らしながら、 「あんたがオオカミなのに、遥にこんな危険な役をさせる訳には行かなかったからね。代えてもらったのよ。それとね、良いことを教えてあげるわ。猟師役の貴行が腹痛を起こしてね。そっちも代役になったのよ?」 オオカミは脂汗を流し、その言葉の半分も聞くことが出来ませんでした。 それは背後からのプレッシャーより何より、ちらり、と見えた猟師の代役の名前・・・その場所に一番見たくない名前を見たような気がしたからに他なりません! (う、嘘だ!!見間違いだと思いたい!!) オオカミは痛切に、そう思いました。 しかし願いはむなしく・・・ ドガッ!!!と、目の前にあったドアが蹴り開けられ、真剣に聞きたくなかった声が響きました。 「林檎、助っ人にきたぞ。」 そう、そこにいたのは・・・ 「かかかか会長!?」 「会長ではない。今は猟師と呼べ。そら林檎、これを使え。」 ひょいっと投げられたものを難なく掴むと、おばあさんが言いました。 「あんた、なんてかっこうしてんのよ?それで猟師?しかもこれ重いんだけど?」 そう、猟師の格好とは、この森にはあんまり似つかわしくない迷彩重装備で、持っている重そうな銃器と相まって、どちらかと言えば、戦争映画がお似合いの代物だったのです。 「以外に似合うだろ?スワットの装備だ。服も武器も本物だからな。重いのも道理さ。なんたって、悪いオオカミを懲らしめるんだろ?これくらいはしなきゃ、な?」 「そーいうこと?なら・・・」 「「覚悟はいいかしら?」」 オオカミはもう腰が抜けて逃げることが出来ません。 ただ森中にその悲鳴が響いただけでした・・・。 椎奈ママの心配にはこれも込みだったんですね!さすが苦労人! こうして桃ちゃんは危機を逃れ、森には平和が訪れたということです。 めでたしめでたし? 完!! |
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