前回、諏訪禄と言う名の災難に遭ってから数日後、帝王はまた夕食を取りに、一人店を閉めて出かけた。人気のない住宅地を抜け、目的の店が近付いたところ(正に禄と出合った場所)で、またも向こうの方から近付いてくる自転車が見えた。 速攻で元来た道を戻ったのは言うまでもない。だがその背中に聞き覚えのある声が聞こえてしまった。 「よお、帝王じゃねーか。」 聞こえなかったことにしよう。だが、さり気なさを装って逃げようとする帝王よりも、自転車が追いつく方が早かった。(多分に下り坂だったせいだろう。) 「おい、待てよ。なんでえ、奇遇じゃねーか。何してんだよ?」 人の気も知らずに、高校で同級生だったという、今は小学校の保健医の金髪男は軽い調子で聞いてくる。 「・・・・・・飯食いに行くとこや。」 「お、それってこの前禄が行ったってとこか?美味いんだって?ちょーどいいや、俺も飯まだなんだよ。」 「・・・・・・・・・そうかい。」 結局帝王は二度とは付き合うまいと誓った幼馴染カルテット(単品)とまたも食事に行くことになった。 もう、多くは語るまい。健康診断だかなんだか知らないが、面倒な仕事を終らせたところだったという怜が、勝手に祝杯を挙げ始めたとか、初めて飲んだという珍しい地酒が殊の外気に入ったようだとか、その酒がかなり飲み口がよいものだったらしく、止める前にスタートダッシュで飲んで(そして潰れて)いたとか、そのままカウンターで寝てしまい、揺すっても叩いても(かなり本気で)起きなかったとか、結局自転車を店に置かせてもらい担いで帰ることになったとか、コイツの家が分らないので静紗亜に連絡しようか迷って余計面倒が増えそうだから止めたとか、そうすると結局持って帰るしかなくて、その後も夜中いきなり吐きそうになる奴を抱えてトイレまで連れて行ったり、状況を一切認識してない奴がうるさく喚くので、その度に水を持っていってやったりと、とにかく最悪だった。 やっぱりこいつらは単品で付き合うもんじゃない。だが、今までの災難に比べれば割と普通の迷惑かもしれない。・・・いや、ここで認めたら負ける。 「夜が明けたら絶対、目ぇ覚める前に店の前に捨てたる・・・。」 こいつらに自宅の場所を知られるなんて、冗談じゃなかった。 |
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